感染症学雑誌
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69 巻, 5 号
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  • 刑部 陽宅, 細呂木 志保, 島田 俊雄
    1995 年 69 巻 5 号 p. 501-505
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    さまざまな国で分離されたVibrio cholerae O139, 56株の染色体DNAを制限酵素 (Sfi I, Not I) で切断し, パルスフィールド電気泳動 (PFGE) で解析した. インド, バングラディシュおよびタイで分離されたCT遺伝子陽性の大部分の菌株のPFGE像は同一, または類似していたが, インドとネパールで分離された2株のPFGE像とはやや異なっていた. 一方, アルゼンチン, バングラディシュおよびスリランカ由来のCT遺伝子陰性3株のPFGE像は互いに異なるだけではなく, CT遺伝子陽性菌のPFGE像とも著しく異なっていた. インドで分離された, V. cholerae O1 E1 Torの中に, CT遺伝子陽性V. cholerae O139と類似のPFGE像を示す菌株が認められた.
  • 北条 聡子, 藤田 次郎, 根ケ山 清, 大西 隆行, 徐 光, 山地 康文, 岡田 宏基, 高原 二郎
    1995 年 69 巻 5 号 p. 506-510
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    MRSAによる院内感染症は現在社会問題にもなっており, その対策は重要な課題である. 院内感染症の証明にはMRSAの正確なtypingが必要不可欠である. しかしながら, 近年コアグラーゼII型の占める割合が増加し, コアグラーゼ型別によるtypingは困難となってきている. 今回我々は当科入院中の患者より分離されたMRSA株に対し, 新たなtyping法としてarbitrarily-primed polymerase chainreaction (AP-PCR) 法を試み, このPCRに最適な条件を, i) DNAの抽出法, ii) Bufferの種類, iii) PCRの温度と回数, および, iv) 用いたprimerの種類ごとに検討した. また, AP-PCR法によるMRSAのtypingの結果は, 現在MRSAのtyping法として確立しているpulsed-field gel electrophoresis法の結果と比較した. 最終的に, Insta Gene kitを用いてDNAを抽出し, Mg濃度3.5mM, pH 8.5のbufferを用い, 2段階PCR法を選択し, primerはM13 reverseのみを用いる方法が最適であると結論した. また, AP-PCR法によるtypingとpulsed-field gel electrophoresis法によるtypingとは近似の結果が得られた. AP-PCR法を用いたtypingは, MRSA院内感染の実態をより簡便かっ正確に解析しうる点で臨床的に有用と考えられた.
  • 小野寺 昭一, 岸本 幸一, 清田 浩, 後藤 博一, 五十嵐 宏, 川原 元, 大石 幸彦, 岡崎 武二郎, 吉田 博明
    1995 年 69 巻 5 号 p. 511-516
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1991年2月から1992年1月までの間に受診した淋菌性尿道炎患者から分離され, 保存し得た淋菌のうちニューキノロン薬低感受性株10株を選び, キノロン耐性機構の解析を行った. 最初に, PCG感受性でニューキノロン薬耐性の3株を用いて, 大腸菌gyrA遺伝子をもつプラスミドによる淋菌の形質転換実験を行い, 次いで, PCR法により淋菌gyrA遺伝子上の塩基配列を決定した. 形質転換実験を行った3株のうち2株で形質転換体が得られ, その中の1株はnorfioxacin (NFLX) で8倍感性化し, この株はgyrA変異を有していることが推定された. PCR法による淋菌gyrA遺伝子上の塩基配列の検討の結果, 2株はいずれも, gyrA遺伝子上にSer-83 (TCC) →Phe (TTC) 変異を有しており, もう1株ではこのSer→Pheへの変異に加えて, Asp-87 (GAC) →Gly (GGC) の変異を併せもっていた. こうしたキノロン耐性淋菌のgyrA遺伝子上の変異は, 大腸菌など他の細菌で報告されている変異と相同性が高く, わが国におけるニューキノロン薬の使用頻度の増加がこうした耐性淋菌の蔓延と関連が深いことが推測された.
  • 林 嘉光, 浅野 高行, 伊藤 剛, 山田 保夫
    1995 年 69 巻 5 号 p. 517-523
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    菌球型肺アスペルギルス症の42歳男性と66歳女性の2症例に菌球を形成した肺区域の気管支で気管支肺胞洗浄 (BAL) をそれぞれ経時的に9回, 11回行った. BAL液 (BALF) の総細胞数, 細胞分画を測定し, 呼吸器感染症のないコントロール群15例, マイコプラズマ肺炎7例, クラミジア肺炎5例, 肺結核7例, 細菌性肺炎6例と比較した. 菌球型肺アスペルギルス症ではBAL液総細胞数の増加, 細胞分画では好中球の増加がみられ, 本症における生体防御機構は, 主として好中球である事が推測された. 女性症例ではmiconazole (MCZ) の静脈内とnucytosine (5-FC) 経口投与を行い, 血清中濃度とBALF中濃度を経時的に測定した. 血清中濃度はMCZは0.1以下から0.3μg/ml (平均0.2μg/ml), 5-FCは0.2以下から9.36μg/ml (平均5.46μg/ml), BALF中濃度はMCZでは0.1以下から14.4μg/ml, 5-FCは0.4以下から1.5μg/ml (平均0.95μg/ml) であった. MCZの静脈内投与では薬剤の病巣への移行が不十分であり, 本症の治療にはMCZの空洞内局所投与と5-FCの併用が適切と思われる.
  • 保科 健, 糸川 浩司, 板垣 朝夫, 五明田 斈, 内田 孝宏
    1995 年 69 巻 5 号 p. 524-531
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    紅斑熱群リケッチアの感染経路を解明する目的として, 自然宿主と思われる動物の抗体保有状況調査とオトリ動物を使った感染実験を実施した. 抗体価≧1: 40を陽性とし, 結果は以下の通りであった.
    1. 処分犬 (115頭) は18.3%が抗体 (平均抗体価1: 68) を保有していたのに対し, 猟犬 (8頭) は全てが抗体 (平均抗体価1: 67) を保有していた.
    2. 牛 (234頭) は17.9%が抗体を保有し, その抗体価の分布は1: 40~1: 160 (平均1: 68) であった.
    3. 野生鹿 (69頭) は92.7%が抗体を保有し, その抗体価の分布は1: 40~1: 640 (平均1: 89) と, 調査した動物血清の中では最も高い値を示した.
    4. 捕獲した野ネズミは, アカネズミ (Apodemus soeciosus) が552匹, ヒメネズミ (Apodemus argenteus) が46匹, スミスネズミ (Eothenomys smithi smithi) が13匹であった. 抗体保有率はアカネズミが16.5%と最も高く, 次いでヒメネズミが4.3%, スミスネズミが0%であり, 野ネズミの種類によって抗体保有率に大きな差がみられた. また, アカネズミの抗体保有率を患者発生地域 (280匹) と対照地域 (272匹) に区分して比較すると, 対照地域が10.4%であるのに対し, 患者発生地域では22.8%であった.また, 患者発生地域内でも捕獲地点により抗体保有率に差 (0~32.2%) が認められ, 感染野ネズミの分布は限局した場所と考えられた.
    5. 実施した感染実験では, オトリ動物からは紅斑熱群リケッチアに対する抗体は検出されなかった.
  • 島越 由紀子, 佐野 浩一, 中野 隆史, 中村 積方, 大柴 三郎, 勝 健一, 中井 益代
    1995 年 69 巻 5 号 p. 532-538
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    我々は, ヒト免疫不全ウイルス (HIV-1) に対する消毒薬の効果判定方法であるmicrosuspension-testを開発し, その信頼性を検討した. 浮遊状態のHIV-1持続感染細胞を消毒薬と作用させ, 非感染細胞と混合培養し, 巨細胞形成 (GCF) と上清中の逆転写酵素活性 (RTA) によって, 残存する感染性を調べた. 培養2日目にGCFとRTAを検討するshort。term assayと, 培養28日目までRTAを検討する10ng-term assayとで構成されており, 感度はそれぞれ1×103, 1×101感染細胞であった. エタノール, グルタールアルデヒド, ホルマリン, 次亜塩素酸ナトリウム, ポビドンヨードの5分間処理での最低有効濃度は, それぞれ20v/v%, 0.01v/v%, 5v/v%, 0.05v/v, 0.1v/v%であり, 濃度依存性, 時間依存性の消毒効果をみることができた. micro-suspension-testは, 簡便で, 感度もよいため, HIV-1に対する消毒薬の効果判定として有効であると考えた.
  • 後藤 美江子, 奥住 捷子, 坂井 康郎, 竹脇 俊一, 立川 夏夫, 岩本 愛吉, 木村 哲, 島田 馨
    1995 年 69 巻 5 号 p. 539-545
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    核酸増幅法による結核菌検体直接検出用のMTD法とアンプリコア法がキット化された. これまで実施してきたPCR法 (東大法) とこれら2種類のキットにて同じサンプルから結核菌の検出を試み, 従来法の塗抹, 培養の結果も合わせて, 比較検討した. 前3者間の比較では同一の結核菌菌希釈系列による検出感度は, reactintubeあたり東大法は0.2CFU, MTD法は0.01~0.1CFU, アンプリコア法では0.625CFUで大きな差はみられなかった. 喀痰など臨床検体からの検出率も同等であった. 機能的には2種類のキットは全行程4~5時間で結果が得られ, 簡便である. これら3種類の核酸増幅法と従来法の検出率の比較では同等の結果が得られ, 2種類のキットは迅速性の点からも非常に有用性が高い. しかし, 核酸増幅の宿命上, 高感度であるがゆえに厳密な技術的安定状態で測定すること, 得られた結果については臨床的にも慎重に意味づけられることが重要である.
  • 布上 董
    1995 年 69 巻 5 号 p. 546-552
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    新しくバキュロウイルスをベクターとして昆虫細胞を利用して造られたヒトパルボウイルスB19の構造蛋白粒子の抗原性が, 流行年によって少しずつ変異する野生株ウイルスの感染による抗体に, 普遍性を示すか否かを検討した. 他の方法により未感染と感染が明確であり, 感染による病日が明確な健康者の血清につき, 1968年, 1980年, 1987年および1992年のそれぞれを中心とする流行時の, 感染後の検体103, その例の中で感染前の時期にあった検体14, 未感染対照23検体, 計140検体のIgG, IgM抗体を酵素抗体法で調べた. その結果, 感染後の103検体はすべて病日に応じた陽性度を示し, 未感染者と感染者で感染前の計37検体はすべて陰性を示した. 新しい抗原の抗体認識性は過去25年間に流行を起こしたパルボウイルスB 19に対して普遍的である.
  • 太田見 宏
    1995 年 69 巻 5 号 p. 553-567
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    びまん性汎細気管支炎 (DPB) の特徴の一つとしてムコイド型緑膿菌の気道内長期定着があげられる. 本研究はDPBにおける緑膿菌アルギネートの意義を明確にする目的に行われ以下の成績を得た. 1.気道内におけるムコイド型菌の存在は, 周辺にアルギネートを多量に産生している. このアルギネートが抗原となり生体側にこれに対する抗アルギネート抗体が産生され, そのIgG抗体価は緑膿菌陽性のDPB症例 (13例) では健常者 (11例), DPB緑膿菌陰性例 (14例) に比し有意に高値であった (p<0.01). 2.マウスを用いた実験成績から, アルギネート免疫マウスに緑膿菌PT1252株を噴霧させた結果, 感染直後に末梢気道周辺に著明なリンパ球集積が発現した. この変化は免疫マウスに特徴的であり気道末梢部におけるアルギネートを抗原とした抗原抗体反応とみなされた. さらに反復感染を施行した結果, これらリンパ球集積は持続し肉芽腫様変化がみられ, これに伴う気道の変形狭窄かつ内腔への好中球浸潤がみられた. この所見はヒトDPBにみられる組織所見と極めて類似していた. さらに血清中免疫複合体量はヒトDPBにおいて, その病像活動性に比例にして高値が示され, 活動性が低い群では低値であった (p<0.01). さらに気道内好中球浸潤はこれら免疫複合体により誘導されていることが考えられた.
    以上によりDPBにおける感染病態の発現はムコイド型緑膿菌の気道内長期定着によるアルギネートを介した免疫反応とこれにもとづく免疫複合体に依存するものと解され, アルギネートがDPBの病態形成に重要な役割を呈することが示された.
  • 岸下 雅通, 竹田 美文, 南出 和喜夫, 藤田 晃三
    1995 年 69 巻 5 号 p. 568-571
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    私どもの開発したPCR法により, ヒト咽頭由来のA群レンサ球菌400菌株における発赤毒遺伝子 (SpeA, BおよびC) の保有率を調べ, 以下の成績を得た.
    speAは60菌株, speBは399菌株, speCは308菌株に認められ, 被検菌株中1菌株のみで, いずれの遺伝子も検出されなかった. また, 同一菌株中には, 複数の遺伝子を保有する菌株があり, speBとCを保有する株が最も多く258菌株で, speAとBさらにこれにCを保有する株が, ともに30菌株ずつあった. しかし, 今回の検討ではspeAとCを共有する株はなかった.
    PCR法による発赤毒遺伝子の検出・型別は, その特異性・迅速性・検出感度の点よりきわめて有用な方法であり, 臨床より分離されるA群レンサ球菌の発赤毒遺伝子を同定でき, 疫学的研究への利用が可能である.
  • 石田 佳久
    1995 年 69 巻 5 号 p. 572-581
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    酢酸ヒドロコルチゾン (CA) 処置による免疫抑制モルモットに作出した緑膿菌性肺炎の病態をbiomm形成の関与の観点から解析した. 本感染は病理組織学的には, 化膿性肉芽腫性肺炎を呈し, 接種菌は肉芽腫の中心部にほぼ球形の外殻 (shell) に被覆された菌塊 (grain) を形成し, 感染後4週間以上にわたって肺に局在した. このshellはPAS染色陽性であり, さらにruthenium redで染色されたことから多糖を構成成分とすることが示唆された. CA非処置の健常動物に感染した場合には, 感染3時間後から気管支肺胞洗浄液中に好中球の著しい増加を認め, 接種菌は感染3日後には除菌された. この感染初期の肺への好中球の浸潤は, CA処置によって一過性ではあるが抑制される傾向を示した. 健常動物ではgrainの形成は認められず, 本感染の成立と遷延化におけるgrain形成の重要性が示唆された. 一方, 供試菌株は生理食塩液中で培養することにより, テフロン片表面に強固なbiommを形成した. キノロン剤レボフロキサシンは1MICでこのbiofilm形成菌に対して殺菌作用を示したが, アミノ配糖体剤ゲンタマイシンおよびβ-ラクタム剤セフタジジムでは活性が認められなかった. これらの抗菌剤の本感染に対する治療効果を検討したところ, レボフロキサシンのみが明瞭な治療効果を示した. 以上の成績から, 本感染系の特徴的な病変であるgrainの外殻を構成するshellがbiofilmの一形態である可能性が示され, その緑膿菌によるbiofilm感染症モデルとしての有用性が示唆された.
  • 全身性アスペルギルス症に対する感染防御効果およびマクロファージ機能への作用
    藤田 英之, 増田 博俊, 中島 常隆, 矢田 考治, 渡辺 正弘, 鍵谷 昌男
    1995 年 69 巻 5 号 p. 582-589
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    Human Macrophage Colony-Stimulating Factor (以下hM-CSFと略す) の真菌感染症に対する作用を検討するため, 正常マウスで全身性アスペルギルス症モデルを作製し, hM-CSF単独またはamphotericin B (以下AMPH-Bと略す) との併用により真菌感染防御作用の検討を行った. さらにその作用機序を探る一端としてマクロファージ (以下Mφと略す) の細胞内殺徽能, 活性酸素および活性窒素産生能について検討を加えた.
    その結果, hM-CSFは全身性アスペルギルス症に対し感染防御作用を示し, AMPH-Bとの併用によりhM-CSFの感染防御作用は亢進した. また, hM-CSFはマウス腹腔内Mφの貪食能および殺徽能を亢進するとともに, Mφが貪食した微生物を殺すための主たる役割を担う活性酸素および活性窒素の産生能を亢進した.
    以上の結果より, hM-CSFはマウスのMφの貪食・殺徽能を賦活化し, 低濃度の抗真菌剤との併用により真菌感染モデルに対して感染防御効果のあることが示された.
  • 徐 光, 藤田 次郎, 根ケ山 清, 宮脇 裕史, 北条 聡子, 瀧川 圭一, 大西 隆行, 岡田 宏基, 山地 康文, 高原 二郎
    1995 年 69 巻 5 号 p. 590-596
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    近年マクロライド系抗菌薬は抗菌薬としての特質のみならず, 生体の免疫能に対する影響を有することが報告されている. 今回我々はエリスロマイシンのマクロファージ各種機能に与える影響について検討した. マクロファージはマウス細胞株J774.1を用いた. 検討したマクロファージの機能として, エリスロマイシンのマクロファージへの直接作用として, i) 遊走能, ii) 運動能, および, iii) 増殖能, に対する影響を検討した. また間接作用として, i) ビーズ貧食能, ii) lipopolysaccharide (以下LPS) に対する遊走能, および, ii) Candida albicans殺菌能, に対する影響を検討した. エリスロマイシンはマクロファージへの直接作用として, 遊走能, 運動能を増強し, さらに増殖促進作用を示した. また間接作用として, ビーズ貧食能, LPSに対する遊走能, およびCandida albicans殺菌能のいずれをも増強した. これらの効果はエリスロマイシン0.04~0.2μg/mlで認められ, 臨床的にも到達可能な濃度で効果を示した. エリスロマイシンによるマクロファージの活性化は, 慢性下気道感染症に対するエリスロマイシンの有効性を説明する一因子となりうる可能性が示唆された.
  • 斧 康雄, 恵 雅子, 杉山 肇, 青木 ますみ, 徳村 保昌, 加藤 淳子, 大谷津 功, 宮下 琢, 西谷 肇, 国井 乙彦, 宮下 英 ...
    1995 年 69 巻 5 号 p. 597-601
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    A 47-year-old male with a history of alcohol abuse had a sore throat on June 8, 1994. On June 13, he had swelling and pain on his right fore-arm. He had tense swelling, redness and pain on the right lower abdomen, left upper arm and left lower leg with high fever and noticed erythema and blisters on his back of the right hand on June 18, which gradually expanding to the entire fore-arm. He was admitted to the local hospital on July 2, where he was operated with excision of the skin and drainage for an abdominal subcutaneous abscess and was given three antibiotics and an intravenous immunoglobulin preparation. Although he showed transient hypotension and moderate liver dysfunction, his condition improved day by day under such treatment. He was transferred to our hospital on July 7 because of the unknown etiology. Aspirate from the abscess contained gram-positive cocci in chains, and group A streptococci were isolated. Panipenem/betamipron was used for an antibiotic during roughly two weeks and excision of the skin and drainage for abscess was performed twice. His skin lesions were continued to improve, normalizing peripheral white blood cell counts, serum levels of CRP and the liver function. On July 24, the antibiotic was changed to intravenous ampicillin and administered for 16 daysand amoxicillin was given orally after that, and he was discharged on August 16.
    An isolate of the infecting Streptococcus pyogenes produced pyrogenic exotoxin A, B and the serotype was T-3 type.
  • 稲井 邦博, 上田 孝典, 加川 大三郎, 岩崎 博道, 中村 徹
    1995 年 69 巻 5 号 p. 602-607
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    In September 1990, a 55-year-old female with erythroleukemia was treated with enocitabine, mitoxantrone, vincristine, and etoposide. Despite prophylaxis of infectious diseases by oral administration of 2, 400 mg/day amphotericin B (AMPH), 600 mg/day ofloxacin, and 1, 500 mg/day kanamycin, pneumonia with refractory pyrexia appeared and developed cystic lesions with air crescent signs thereafter. Finally, the cystic one formed fungus balls. The pneumonia was diagnosed as aspergillus pneumonia by fungus growth in the tissue in the transbronchial lung biopsy specimens and by an elevation of serum anti-Aspergillus antibody.
    The patient had continuously been administered with AMPH for 16 days, increasing the drug doses every 2 days. The maximum plasma level of AMPH rose up to 0.78μg/ml, the total amount up to 166 mg. The fungus balls disappeared completely without adverse effects except a transient decrease of plasma potassium level.
    Pharmacological studies had been reported that tissue AMPH levels elevated more than twice as much as that of the plasma. Although the maximum plasma level was less than that of MIC for Aspergillus, the lung tissue drug level was suspected to have been maintained higher by continuous drip infusion.
    These findings indicate that continuous drip infusion of AMPH is one of the useful treatment for lung aspergillosis.
  • 和田 靖之, 佐藤 達也, 久保 政勝
    1995 年 69 巻 5 号 p. 608-614
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    We encountered 5 cases of Clostridium difficile enteritis that is rate in infancy. Its clinical symptoms consisted mainly of diarrhea, fever and vomiting. Also progressive abdominal enlargement was characteristically noted. Hematological examination revealed an increase in the number of leukocytes predominant with granulocytes in addition to accelerated erythrocyte sedimentation rate, an incrase in α2 globulin value and high LDH. On the bacteriological examination, detecting bacteria was difficult because of diarrhea being frequent and small in quantity, so bacteria were detected in only 2 out 5 cases. However, reaction to a CD latex agglutination test turned positive in all the cases during the clinical course, which was consistent with changes in the symptoms. Prognosis was good except one cases which in the symptoms. Prognosis was good except one case which had recurrence.
    Early diagnosis and early administration of Vancomycin are important in preventing severe complications. To that end, the CD latex agglutination test is considered useful even at present in the domain of pediatrics.
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