ウレアーゼA遺伝子の特異的断片を増幅するPCR法を用いて, 胃液中の
H. pyloriの検出を試みた. また, PCR法による
H. pyloriに特異的なDNAの増幅は, その中間域のサザン法にて確認した. 22株の臨床分離株と標準株を対象とし, すべての
H. pylori株において, サザン法にて確認された356bpの産物を得たが, 20株の非
H. pylori株においては増幅されなかった. また今回の方法では,
H. ptlori菌体50CFU又はDNA0.1pgにて検出可能であった. さらに50例の消化器症状を有する患者に, 前庭部生検よりの培養, ラピッドウレアーゼテスト及び組織法と, 加えて胃液のPCR法により
H. pyloriの存在診断を行った.
H. pyloriの存在は, 前出の3法のうち少なくとも2法の陽性により判定したこの方法により, 50例中34例が陽性と判定された. さらに, この34例中32例 (94.1%) がPCR陽性であった. PCR法は,
H.pyloriの検出の感度と特異性において, 培養とラピッドウレアーゼテストに比べ優れていた. さらに, DNAの抽出法を改良する事により, 迅速にかつ簡便な検出法を確立した. 今回の研究で, 胃液のPCR法は高感度で特異的な手法として
H. Pylori感染の診断において有用な方法である事が実証された.
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