感染症学雑誌
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エリスロマイシンのマクロファージ機能に対する影響
徐 光藤田 次郎根ケ山 清宮脇 裕史北条 聡子瀧川 圭一大西 隆行岡田 宏基山地 康文高原 二郎
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1995 年 69 巻 5 号 p. 590-596

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抄録
近年マクロライド系抗菌薬は抗菌薬としての特質のみならず, 生体の免疫能に対する影響を有することが報告されている. 今回我々はエリスロマイシンのマクロファージ各種機能に与える影響について検討した. マクロファージはマウス細胞株J774.1を用いた. 検討したマクロファージの機能として, エリスロマイシンのマクロファージへの直接作用として, i) 遊走能, ii) 運動能, および, iii) 増殖能, に対する影響を検討した. また間接作用として, i) ビーズ貧食能, ii) lipopolysaccharide (以下LPS) に対する遊走能, および, ii) Candida albicans殺菌能, に対する影響を検討した. エリスロマイシンはマクロファージへの直接作用として, 遊走能, 運動能を増強し, さらに増殖促進作用を示した. また間接作用として, ビーズ貧食能, LPSに対する遊走能, およびCandida albicans殺菌能のいずれをも増強した. これらの効果はエリスロマイシン0.04~0.2μg/mlで認められ, 臨床的にも到達可能な濃度で効果を示した. エリスロマイシンによるマクロファージの活性化は, 慢性下気道感染症に対するエリスロマイシンの有効性を説明する一因子となりうる可能性が示唆された.
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© 日本感染症学会
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