経済地理学年報
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40 巻, 1 号
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  • 原稿種別: 表紙
    1994 年 40 巻 1 号 p. Cover1-
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    1994 年 40 巻 1 号 p. Cover2-
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1994 年 40 巻 1 号 p. App1-
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
  • 水内 俊雄
    原稿種別: 本文
    1994 年 40 巻 1 号 p. 1-19
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
    空間への言及は近年隣接諸科学において著しいものがある. 中でも都市史研究は, 都市論, 江戸・東京論と接合して, 多くの研究蓄積をみる. 本稿では特に, 明治期以降の近代都市空間形成を分析対象にした都市史研究にいかなる蓄積があるかを概観した. 中でも地理学の研究視角に符合し, それでいながら, 地理学が不問にしてきたいくつかの問題群について, 空間構築論, 空間を創出する思想, 計画的意図, それらを背景から支える政治的・社会的コンテキストを踏まえた立場からの研究整理を行なった. 明治期においては, 東京の市区改正事業を除いて, 都市の経済基盤を支える成長部門への投下が市営事業の成立につながり, 加えてイベントを利用した街路整備事業が主流をなしたこと, 大正中期の本格的都市政策の登場の背景として, 都市イデオローグの存在の重要性を指摘し, その制度自体が社会政策・住宅政策と混合し, なおかつ都市計画も包含されるような, まさしく都市社会政策が, 新たな都市空間の創出をになったこと, 震災復興事業などで実際の事業が大々的に進行してゆく中で, 区画整理事業などが全国的に一般化したこと, 戦時体制では, 規格化・標準化の流れの中で, 都市計画, 住宅政策の質的転換がみられ, 社会政策的色合いが薄くなり, その画期をなす事業がニュータウンづくりの原初形態としての新興工業都市計画事業であったことなどを指摘した. なお, 創出された都市空間のさまざまな断片をいかに解読するか, その行為や心性を読み, 文化を摘出する作業は, 本稿では紙幅の関係もあり, 触れていない.
  • 高木 彰彦
    原稿種別: 本文
    1994 年 40 巻 1 号 p. 20-31
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
    政治地理学は伝統的に国家を対象とする学問であったが, 伝統的アプローチにおいては, 有機体的国家観が支配的であった. 先進諸国では, 1960年代以降, 福祉攻策の充実化にともなって国家の役割が増大し, 地理学者の国家の役割に関する関心も高まることとなった. 同時期に政治学において「マルクス主義国家論のルネッサンス」が進行したため, こうした研究動向が地理学内にも導入されるようになった. その結果, 地理学においても国家の形態や機能に関する研究が増加した. 政治経済的アプローチに依拠するこうした研究は伝統的なアプローチとは異なり, 国家の役割や国家と社会あるいは社会集団との関係を問題規するものであった. しかしながら, わが国の地理学においてはこうした研究の展開はみられない. 本来地理学者が行ってしかるべき研究が政治学者によって行われている状況が認められる. 社会諸科学において空間への熱いまなざしが語られる中, 政治学においても「空間」に注目した研究が増加の兆しを見せており, わが国地理学界においても, 国家への関心の高まりが期待されるところである.
  • 小野塚 佳光
    原稿種別: 本文
    1994 年 40 巻 1 号 p. 32-44
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
    社会の空間的再編成は, 経済学の理論化にも重要な影響を与えてきた. 現代の「リストラクチャリング」過程においても, 距離の克服と市場拡大が, 経済学に新しい課題を提示している. 古代ギリシャの都市国家も中世ヨーロッパの自治都市も, 地域社会の領域を超えて拡大する政治空間と経済空間によって解体された. 現代の多国籍企業や銀行は, 単一世界市場を求めており, これを制御できるのは世界政府しかないだろう. しかし, 資本による世界社会の形成過程は, 排他的制度と分極化傾向を強める. ハーヴェイは, ポスト・モダニズムとして流布される文化を, 資本による新しい「時間・空間的圧縮」の表現とみなす. 他方, カステルは, 情報革命の社会・経済的影響を重視し, 「情報型発展様式」がもたらす社会の地理的再編成に新しい変革主体を展望する. 情報都市や世界都市を通じて, この再編過程を支配する情報と資本の流れは, 地域的な単位に拠って, 人々の生活を回復する運動と対立している. 国民国家の領土的統合力・調整力を失わせたのは, 諸主体と諸要素の世界的な移動性である. 財政政策や金融政策による成長・雇用と安定化の目標が, 増大する国際的不均衡と移動性の高まる世界では放棄された. 変動相場制と国際資本移動に強いられた調整コストは, しばしば増幅され, 不公平に分担されている. 国際産業政策や世界中央銀行に向けた提案は, 世界市民的な規制によって, 調整を平準化し, 合理的に分担することを目指している. 他方, 世界的解決策の非現実性と政治性を考えれば, 各国による国民通貨管理と財政安定化が優先される. 不均衡の調整は, 工業化と都市化を社会的合意に基づいて制御する地域的制度を必要とする. 市場と政府の拡大は, 今日の空間的な再編過程を統治できる新しい地域的共同体の誕生に向かうときにのみ, 許容される.
  • 水岡 不二雄
    原稿種別: 本文
    1994 年 40 巻 1 号 p. 45-62
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
    本論は大きく2部にわかれる. 前半は, これまで体制としての地理学の中にあって伝統的地理学の非社会科学性を批判することに存在意義を見いだしてきた「批判的地理学」と呼ばれる立場がはらむパラドクシカルな論理の検討であり, 後半は, 筆者が前著『経済地理学』で提示した, 空間の経済・社会への包摂とそれをつうじた空間編成ならびに建造環境生産にかかわる経済・社会空間論の基本的枠組みの要約的な説明にあてられている. 非空間的な伝統的社会科学の導入による「社会科学としての地理学」を唱導して伝統的地理学を批判してきた地理学者は, 一方で地理学そのものを否定してこれを社会科学一般に解消することを導きながら, 他方では, その経済学・社会学修得の不十分さゆえ, 伝統的地理学への寄生的共存から抜け出しがたい, というパラドクスにおちいった. このため, 社会科学に学際的研究がすすんで学問の「仕切り」が開放的になり, また, 社会諸科学が空間論という新たなフロンティアに理論展開の方向を求めるようになったとき, 批判的地理学はこれに十分対応できる力量を持ち合わせていなかった. かくて批判的地理学の流れをくむ人々は, 自己の学問的アイデンティティーを求め, 一転して先祖返りし, 例外主義や機能・等質地域論, 立地論など伝統的地理学・経済地理学とおなじパラダイムを奉ずるようになった. このような逆説的な状況から抜け出すためには, 地理学を経済・社会空間編成の科学と位置付け, 空間が素材的にもつ物質性が社会に包摂されることによって, どのように社会・経済の諸過程ならびに諸関係の態様が変容するかを説明する, 経済・社会空間論の体系を構築しなくてはならない. この理論によりはじめて, 地理学は独自のdisciplineをもって他の社会科学と対等の学際的共同関係を築くことができる. 素材的空間を包摂した経済社会諸過程にかかわる論理体系は, 大要次のようなものである. 原初的空間は, 大きく絶対空間と相対空間の属性に分けられる. 絶対空間は, 空間の無限に広がる連続性であり, 空間のなかにある物質を相互に関係づけて均等化・同質化する性向をもつ. 他方相対空間は, 位置ごとの個別性と位置相互間の距離が生み出す隔離・分断の性向をもつ. 絶対空間を形式的に包摂した社会では, 主体・集団ないし行為の独立性が奪われないよう, 空間の連続性を仕切り, 「領域」が生産されなくてはならない. するとその中だけで同質化過程が作用し, 互いに異質なロカリティーができあがる. だが, 領域生産の他の一面の目的は社会関係をとり結ぶことだから, これらの異質的ロカリティーをもつ領域が集まってつくりだされた「集合的絶対空間」は, その上により広い領域を構成する社会関係の層を作りだす. こうして生産された複数の集合的絶対空間の層相互において, 空間的「連続性」と「分断」との間の関係という矛盾が発生する. 他方, 相対空間を形式的に包摂した社会は, その隔離の属性のために社会関係が破断しないよう, 集積をはかり, また交通網のネットワーク構築により「空間の絶滅」を行って, 領域内部の同質化を実際に達成しなくてはならない. しかし, 1次元の線のネットワークで2次元の面を絶滅するという交通路, ならびに点である集積が合わさってできた建造環境の編成は, その点や線と平面上の各位置との間の距離関係というあらたな空間的差異をつくりだし, 領域の同質化をめざすほどロカリティーの多様化が進む, という矛盾を生み出さざるを得ない. ここから, この2種類の生産された空間的に不均等な建造環境の編成が作り出す新たな素材的空間である「相関空間」をあらためて社会が実質的に包摂する, という課題が生じてくる. この相関空間の編成過程は, 集積とネットワークからなる空間と, さまざまな土地利用編成という集合的絶対空間の両面にわたって行われなくてはならない. これはいずれも, グローバルな空間の層のなかにあって個々のロカリティーが調整され, 新たな物質的空間としてまとめあげられてゆく過程である. ハーヴェイが語った, 「個別性や特定の場所と時間における経験と, 普遍的一般化との関係」という地理学的考察に取りついてきた「悪魔」(Harvey, 1985a, p. 61)は, こうした筋道だった空間的社会過程にかかわる考察によって解消することができる. そして同時にそのなかで, 地理学は, 経済・社会空間の編成論を究める分野として, 社会諸科学の分業のなかで自己の存在理由を主張することができるようになるのである.
  • レイ デイヴィッド
    原稿種別: 本文
    1994 年 40 巻 1 号 p. 63-75
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
    近年の研究において, この25年間ほどの間に展開されてきた(英語圏における)人文地理学での豊富な理論的アプローチのなかで, 主要な3つの理論, すなわち論理実証主義, 構造主義, 人文主義, の間の競合が明らかにされている. 論理実証主義のアプローチは, 1960年代に始まった計量革命と密接に結びついており, それは選択的に採用された変数と, 一連の統計的手続きによるそれらの計測と処理の解析的抽象化を強調する. 対照的に, 構造主義者の理論は, もっとも重要な因果関係的プロセスは(表層的には)観察しえないことを主張する. 我々が垣間みることが出来るすべては, 深層に潜んだ(生成)構造の表層的な結果にすぎず, その構造は忍耐強い知的な分析によってしか明らかにすることは出来ないという. 構造主義が必ずしもマルクス主義ではないのであるが, 人文地理学では, 深層構造を資本主義的生産関係としてとらえる政治経済分野において, この二つの用語は相互に置き換えられながら使われている. 人文主義では, 論理実証主義も構造主義も主体としての人間を不適当に概念化していると論ずる. 人文主義者は, 階級や人種, 年齢, 等々に対応して変化する人々の役割と主休的地位は多元的である, と指摘する. その結果, そこには, 場所と自己認識との可変的な結合である地理的環境(セッティング)の, 限られた範囲での人間経験が存在することになる. こうして, 場所の地理学(ローカルジオグラフィ)は経済地理学を超えるものとなる. すなわち主休としての人間の行為は, 経済機能のみに矮小化しえないのである. これらの理論の多様な出発点は, 経験科学研究のあり方に影響を与えた. この論文の次の部分では, インナーシティのジェントリフィケーションを研究している文献を手短に概観する. なお, ジェントリフィケーションとは, かつて低所得階層の人々によって居住されていた古いインナーシティの近隣社会に, 専門的職業についている中流階層の人々が移人してくる事象であり, 都市理論はもちろん都市政策においても重要な意味をもつ動きである. この三つの理論的アプローチを創り出した仮定の相違は, 各々が同じ現象を調査しても全く異なった研究の伝統を導き出しているのである. この数年間に, これらの三つの理論的展望の豊富化が, いくらかの相互交流によって生じている. 異なった理論的アプローチの洞察力を取り込むことで, より以上に統合的な人文地理学が出現しつつあるという望ましい傾向が生じている. しかし, 理論の排他主義への傾倒が過去ほど独断的ではなくなっているとしても, 本質的な理論の役割は, 経験科学的研究の方向性を形づくり, より広範な意義を与える道具として, 存在するのである.
  • 原稿種別: 付録等
    1994 年 40 巻 1 号 p. 76-96
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1994 年 40 巻 1 号 p. 97-101
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1994 年 40 巻 1 号 p. App2-
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    1994 年 40 巻 1 号 p. Cover3-
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    1994 年 40 巻 1 号 p. Cover4-
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
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