経済地理学年報
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53 巻, 5 号
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  • 原稿種別: 表紙
    2007 年53 巻5 号 p. Cover1-
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    2007 年53 巻5 号 p. Cover2-
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2007 年53 巻5 号 p. App1-
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
  • 松原 宏
    原稿種別: 本文
    2007 年53 巻5 号 p. 441-442
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
  • 松原 宏
    原稿種別: 本文
    2007 年53 巻5 号 p. 443-460
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
    1990年代は「失われた10年」と言われるが,この時期は企業集団の再編,企業組織の重要な変更が行われ,都市システムの一大変革期であった.グローバル化と少子高齢化,市町村合併等の行財政改革の下で,さまざまな側面で都市間格差が顕在化している.まず第1に,地方圏はもちろん三大都市圏においても,人口増加率の比較的高い都市は,人口規模の大きい都市に限定されつつある.第2に,自動車や液晶,高度部材の大工場が立地する一部の成長都市を除いて,旧産炭都市や伝統的な工業都市,観光都市,条件不利地域の中心都市など,衰退傾向を示す都市が大幅に増えている.第3に,バブル崩壊後に低下していた東京圏の卸売業および情報サービス業の対全国比が再度上昇し,大阪圏との差を拡げてきている.とりわけ東京圏では,インターネット関連などの新しい産業の特化係数が高く,しかも大阪圏や名古屋圏に比べ,多様な産業の集積が形成されている.また,1980年代にはいずれも高い成長率を示してきた地方中枢都市の間でも,格差の拡大がみられる.人口増加率では,札幌や福岡が高く,仙台と広島が相対的に低くなる傾向が,特化係数の高い産業の数では,福岡と他の中枢都市との差が明確であった.ところで,都市内部構造の変容に関しては,大都市圏と地方都市との対照性が注目される.すなわち,大都市圏では郊外での人口増加に代わり,都心およびその周辺で人口が増加する「都心回帰現象」が顕著であるのに対し,地方都市では郊外への人口拡散や公共機能の移転,中心市街地をはじめ都心部の衰退傾向が問題となっている.とくに東京圏では,1980年代後半のバブル期以降,地価の高騰・暴落といった変動に対応して,オフィス供給・マンション供給の動向はめまぐるしい変化をみせてきた.バブル期のオフィスブームに代わり,バブル崩壊後の1990年代は地価の低下とともにマンションブームが到来,その後1999年以降はマンションブームとオフィスブームとが並存する状況を迎えた.しかも,最近のオフィスブームは,「都市再生特別措置法」,都心再開発,不動産証券投資といった新たな制度的枠組みや事業スタイルの下で,都心3区のシェアが高くなっている.地方都市でも,中心市街地の衰退をくいとめる施策が各地でくりひろげられている.なかでも青森市では,複合的な公共施設を駅前に設けたり,都心周辺部でのマンション建設を活発化させるなど,コンパクト・シティをめざす動きを盛んにしている.こうした状況下で,国土政策と産業立地政策も転換期を迎えている.中央と地方との格差を埋める政策,工業の地方分散政策に代わって,地域経済の自立と国際競争力の強化が重要になってきている.50年余続いた「国土総合開発法」に代わって,「国土形成計画」が打ち出され,各地方ブロック圏域では,「広域地方計画」の策定に向けた動きが加速している.都市の階層性に応じた都市政策が求められており,東京では創造性を醸成する環境整備を進め,都市集積の国際競争力を強化することが,地方中枢都市では支店経済への依存を改め,産学官連携を通じた研究開発機能を充実させることが,地方中心都市では産業集積の高度化を図り,都市間の都市機能の補完や連携を進めていくことが,それぞれ重要な課題となろう.
  • 坪本 裕之
    原稿種別: 本文
    2007 年53 巻5 号 p. 461-477
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
    本研究は,1990年代以降の,大規模再開発が進められている東京中心部におけるオフィス業務の変化と企業再構築,そしてそれらが反映されると考えられる新しいオフィス形態の導入が,都心とそれを含む大都市圏空間にもたらす影響について考察した.事例として,バブル経済崩壊後に急成長を遂げた経営コンサルティング企業に代表される知識基盤産業のオフィス構築活動を検討し,新しいオフィスの形態とそれを支える要素について考察した.米国に親会社をもつ旧会計事務所系経営コンサルティング企業では,1990年代前半に企業再構築の柱として,情報共有を目的とした情報化の推進とチーム制の導入,能力主義的業績評価をはじめとする人的資源管理(Human Resource management)の刷新が行われ,それに伴って,コンサルタントの執務するスペースにフリーアドレスが導入され改良されていった.フリーアドレスでは,コンサルタントはあらかじめ決められた席を持たず,必要があるごとに自由に席を決める.この新たなオフィスの形態を導入した結果,コンサルタントの大量採用が進む一方で,従業員一人当たりが占有する床面積とそれにかかるコストは大幅に縮小され,利用目的の再考と効率的なオフィススペースの活用が試みられた.さらにモバイルオフィスの導入によってコンサルタントの業務はフットルースとなり,フリーアドレスはオフィスから都市空間に拡張された.そして,オフィスとその外部の都市空間はワークプレイス(workplace)として統一的に扱われるようになりつつある.1990年代初頭にサテライトオフィスを開設した企業では,経営コンサルティング企業と同様に情報技術の利用と人的資源管理の刷新を行った結果,郊外に設けられた施設型分散オフィスの利用価値が低下している.一方,その核として位置づけられる中心部のオフィスは,チームプロジェクトの結節点としての機能が強化されつつ,顧客との関係強化においては,ワークプレイスそれ自身が含まれる不可視的な商品を具現化するショールームとしての機能が重視され,顧客企業本社からの近接性が高く,2000年代に入って再開発が進行しオフィス床の供給が増加した中央業務地区(CBD)での立地が強化されている.こうした動向は,オフィスがその内部における情報流やオフィス組織,そしてそれらを有機的に結びつけようとする企業活動が反映された土地利用形態であることを示している.事例として挙げた,情報へのアクセスの均質性が実現されたフリーアドレスと,それが外部に拡張してできるワークプレイスは,業務の遂行とサービスの付加価値の向上に必要とされる協同作業,言い換えればチーム構成員の相互補完を前提とした業務空間である.しかし,この補完性はオフィス形態を支えてきた潜在的な本質であり,ワークプレイスが構築されるに伴って表出したに過ぎない.既往の都市内部レベルのオフィス研究においては,対面接触の情報通信手段による代替性が基本的な概念として強調され,それが不可能な情報交換の手段として対面接触が位置づけられて都心の集積が評価されたが,今後の都市内部および大都市圏レベルのオフィス研究においては,オフィス業務の持つ補完性の考慮がより重要となろう.都市内部の業務地域を,機能的空間として考察してきた都市地理学の有用性は,この点の考慮にあるといっても過言ではない.
  • 堤 純
    原稿種別: 本文
    2007 年53 巻5 号 p. 478-489
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
    近年,オフィスの空室率や地価水準といった経済状況を示す代表的な指標をみると,札幌の経済は1990年代後半以降に進んだ深刻な不況からの改善傾向がみてとれる.しかし,これが本当に札幌の今後の更なる成長や発展を意味するかどうかは疑問である.1972年の札幌冬季オリンピック開催とそれに並ぶ地下鉄南北線の開通および政令指定都市化が続き,この時期に札幌駅前通りを中心にビルの高層化が著しく進展した.これらのビルの多くは旧財閥系の大手資本によるオフィスビルであった.これらのオフィスビルには,本州から数多くの企業が進出し,札幌の成長は長らく「支店経済」によって支えられてきた.1990年代後半以降,北海道経済は深刻な不況に陥った.これまで札幌の成長を支えてきた支店経済そのものが縮小することが懸念された.一方で,新たな成長産業の柱として,IT関連産業の発展および,北海道大学周辺への同関連産業の集積(「サッポロ・バレー」)がみられた.確かに,従業員規模の小さいIT関連事業所の新設や集積は確認できるものの,この産業が札幌の成長を牽引するほど強固なものとはいえない.また,近年の札幌では確かに「情報通信業」の従業者数や事業所数は増加傾向にあるが,新設だけでなく廃業も高率で推移することが指摘されている.中でも,コールセンターの従業者は急増しているものの,同時に関連する派遣従業者(非正規雇用)の増加も深刻な問題となっている.深刻な不況がさけばれる中,札幌市内には,2000年以降も新規のオフィスビル建設が続いた.JR札幌駅前に2003年に竣工したJRタワーは,札幌では最高の立地条件を備えたオフィスビルといえる.JRタワーに入居するオフィスに関して特筆すべき点として,ホテルや各種オフィスの中に,東京から進出したコールセンターが複数階に渡って入居していることが挙げられる.これは従業員の技術水準が立地要因ではなく,単に東京に比べて安いオフィス賃料水準や安い人件費に起因する企業進出と考えられる,一方,北海道内の周辺市町村(とくに農村部)では深刻な不況に拍車がかかっている.「札幌で働く」あるいは「札幌の一等地にあるJRタワーで働く」ということは,有望な就職先に乏しい北海道の周辺市町村の若者にとって非常に魅力的である.札幌で働けるのであれば,職種や雇用の形態は大きな問題とはならない傾向にある.進出企業にとっては,札幌の一等地にオフィスを開設することで,人材確保の問題を克服できる利点もある.また,札幌のオフィスビル内部でのテナント移動を詳細にみてみると,多くのビルにおいて空室率の上昇が確認できた.中でも,敷地面積の狭小な個人所有のビルや,建築年次の古いビルにおいて空室率が高い傾向が確認できた.かつては最高の立地条件と言われた札幌駅前通り沿線や,そこから1ブロック奥の通りにおいても空きテナントが目立つ状況となっている.一方で,近年竣工した複数の大規模オフィスビルの殆どで空きテナントはみられない.生駒CBREのデータによれば,札幌のオフィス事情は向こうしばらくの間は好況が続くとみられている.その理由は,北海道内の他都市に立地する支店の札幌支店への統合・再編や,札幌市内の都心周辺部(創成川東や西11丁目周辺等)から札幌市都心部への拡張移転や館内増床の動きが顕著にみられるからである.これらの動向をみる限り,札幌は今後も成長を続けると判断することも出来るかもしれない.しかし現状は,北海道内における札幌の一極集中の加速とみるべきであり,今後も持続的な成長が見込めるかどうかは不確実とみるのが妥当であろう.
  • 武者 忠彦
    原稿種別: 本文
    2007 年53 巻5 号 p. 490-506
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
    本研究は,長野県松本市の中央西土地区画整理事業を事例に,地方都市における中心市街地再開発のメカニズムについて,商店経営者の戦略を中心に分析したものである.衰退著しい中心市街地の再開発は,今や地方都市に共通の政策課題となっているが,一方で,これらの再開発はハード事業に偏重し,ソフト面での活性化には結びつかない「ハコモノ主義」であるとの批判も継続的になされてきた.本来,商店街を活性化させるはずの再開発が,なぜハコモノ主義として批判されるようになったのか.この問いに答えるため,本研究では再開発の主たるアクターである商店経営者に着目し,インタビュー調査をベースに,再開発に対する彼らの「戦略」が転換していく様を描き出すことを通じて,中心市街地再開発のメカニズムを明らかにした.松本市では,1970年代に進められた松本駅周辺の再開発によって,商業重心が既存商店街から駅周辺地区へとシフトした.これに危機感を抱いた商店経営者らは,行政とインフォーマルな関係を構築することで既存商店街の再開発計画を推進したが,1980年代を通じて計画は停滞した.この停滞は,構造的には地方移転支出の削減という財政的要因によって説明されるが,それとは異なる文脈として,商店街の規範や大店法強化などを背景に,現状維持的な戦略を志向した商店経営者の影響を指摘することができる.1990年代に入ると,大店法の緩和を契機に,松本市の再開発計画は大きな展開をみせた.大型店問題に対応する形で行政内部に推進体制が整備されたことに加え,開発主義を標榜する市長の誕生によって,自主財源や地方債にもとづく再開発への積極的な投資がなされた.また,都市間競争などをスローガンに中心市街地への投資が正当化され,各種地域団体の動員も図られた.しかし,商店経営者の戦略はこうした枠組みとは必ずしも連動していなかった.商店街組織や個々の経営体が弱体化した既存商店街では,固定資産税の増加などを契機に撤退戦略が波及する一方,かつての成功体験や商店街への愛着などの要因が複合的に作用して,商店街に残留する戦略がみられた.残留した地権者は,経営継続とテナント賃貸業への転換という戦略に分かれたが,これによるテナントの供給増や若年層向け大型店の新規立地に対応して,新たに商店街へ進出する戦略もみられた.このように個々の商店経営者の戦略が多様化したことは,区画整理事業の展開や事業後の経営環境の維持にプラスに作用した.その一方で,戦略の多様化によって商店街と行政との相互依存的関係が維持されなくなったことは,中心市街地再開発の目的を商店街振興から都市成長へとシフトさせ,行政主導の再開発を加速させるという結果をもたらしたのである.以上のようなメカニズムの理解を踏まえて,今後,新しい都市空間を創造していくためには,ローカル・ガバナンスを構築することが不可欠である.すなわち,かつてのような行政と組織化された商業セクターのインフォーマルな関係ではなく,「協働」の論理によって結びついた多様なアクターによって開発が進められるべきである.そうした関係の中では,もはや商店経営者は従来のようなヒエラルキー型組織の一員ではなく,NPOやボランティアなどと同様,主体性を持った一市民としてまちづくりに参加することが求められている.日本の地方都市における今後の都市空間形成は,このような地域に潜在している知的・人的資源を活用しながら,地域性を考慮した事業を展開していくことが重要になる.そうした事業は,いわゆる都市開発だけではなく,環境や福祉,観光,交通など,様々な政策分野と関連性を持った内容となるだろう.
  • 原稿種別: 付録等
    2007 年53 巻5 号 p. App2-
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2007 年53 巻5 号 p. App3-
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    2007 年53 巻5 号 p. Cover3-
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    2007 年53 巻5 号 p. Cover4-
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
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