オレオサイエンス
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22 巻, 11 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
特集総説論文
  • 佐藤 清隆
    2022 年22 巻11 号 p. 535-541
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/22
    ジャーナル フリー

    最近,油脂性食品に用いる固体成分としてのオレオゲルの構造と物性,およびその機能性に関する研究が急速に展開されている。オレオゲルでは約90%以上の液油をゲル化剤が包含するが,そのためには高温で液油とゲル化剤が混合したゾル状態を冷却してゲル化剤の緻密なネットワークを形成する必要がある。これまでの研究で,さまざまなゲル化剤を用いたオレオゲルの基礎物性が明らかにされるとともに,マーガリン,ショートニング,アイスクリームなどの油脂性食品だけでなく代替肉への応用が活発に研究されている。本論文ではオレオゲルの可能性と,食品への応用を目指す場合の問題点を整理する。

  • 柴田 雅史
    2022 年22 巻11 号 p. 543-549
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/22
    ジャーナル フリー

    オイルをワックスによって固化したワックスゲルの硬度制御技術について紹介する。ワックスゲルの硬度は,オイルの種類や複数のワックスを混合することによって変化し,その硬度差はゲル中に析出する板状結晶の形状とそれによって構成されるカードハウス構造の差異によって生じる。植物ワックスのゲル化能は炭化水素ワックスに比べて一般的に劣るが,長鎖エステルワックスや高融点高級アルコールの添加により硬度上昇をさせることが可能である。

  • 徳山 英昭
    2022 年22 巻11 号 p. 551-554
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/22
    ジャーナル フリー

    感温性ゲルとは,外部環境のわずかな温度変化に応答して形状や物理化学的特性が著しく変化するものである。様々なタイプの感温性ゲルがあるが,本稿では,アルキル側鎖を持つstearyl acrylate(SA)の高分子網目が油を吸収して膨潤したSAオルガノゲル,およびSAと親水性モノマーを共重合して水で膨潤したSA共重合ハイドロゲルの作製,感温特性,および応用を概説する。これらのゲルは,一般的なフリーラジカル重合により簡便に合成できる。基本的には両ゲルとも同様の感温性を示し,40℃程度を境に低温で硬化,高温で軟化する可逆的な変化を生じ,形状記憶性を持つ。この特性は,ステアリル側鎖の結晶アモルファス転移に起因している。SAオルガノゲルの薬物徐放材料としての応用についても紹介する。

  • 東海 直治, 懸橋 理枝
    2022 年22 巻11 号 p. 555-562
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/22
    ジャーナル フリー

    低分子オイルゲル化剤は,精密な分子設計により,ゲルの物理特性,温度特性,刺激応答性など,様々な用途に合わせたゲル化剤を開発できることから,近年注目されている。本稿では,長鎖アルキルジアミド型低分子オイルゲル化剤(2つのタイプのゲル化剤;ジカルボン酸アミドアミン型オイルゲル化剤,及び非対称ジアミド型オイルゲル化剤)の様々な油に対するゲル化能,及びアルキル基や親油基などの分子構造と溶液物性との関係について紹介する。

  • 佐伯 隆, 貝出 絢
    2022 年22 巻11 号 p. 563-568
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/22
    ジャーナル フリー

    低分子ゲル化剤は,分子量が1000以下の化合物が溶媒中で自己組織構造を形成し,溶媒の増粘やゲル化をする添加剤であり,超分子ゲルとして近年,注目されている。このうち,水系の増粘・ゲル化剤は,多くの商品があるが,非水系(疎水性流体)の商品は圧倒的に少ない。これまで増粘・ゲル化剤の発見は,偶然に頼る部分も多かったが,一方で,添加剤の分子設計指針の構築を目指しながら,開発を進めることが必要であると考える。本稿では,著者らが取り組んだ,ピロメリット酸テトラカルボキシアミドを対象とした研究を例とし,疎水性流体に有効な増粘・ゲル化剤の分子設計,レオロジー特性の評価,および反応装置のスケールアップに関する一連の研究を紹介する。

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