オレオサイエンス
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1 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
総合論文
  • 岸本 恭尚, 碇屋 隆雄
    2001 年1 巻4 号 p. 365-372,362
    発行日: 2001/04/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    超臨界流体は水素化, カルボニル化, 炭素-炭素結合生成および酸化などの触媒反応に対しグリーンな反応場を提供する。超臨界流体は従来の有機溶媒に代わる反応媒体となりうるばかりでなく, 超臨界流体自体のもつ特長をうまく利用すれば従来の溶媒中では達成できなかった高い反応速度, 高収率や高選択性などが達成できる。超臨界流体の中でCO2はその無害性, 安価性および容易に超臨界状態が設定できることなどのためにもっともよく使用される。CO2のような常温常圧で気体状態の物質を超臨界流体として用いれば, 反応後に脱圧力するだけで生成物を取り出すことができるため, 実質的には無溶媒反応となり分離操作の簡便化ができる。今後は超臨界流体自体のもつ性質を巧みに利用するだけでなく, 水やイオン性液体などの他の媒体との併用による多相系へ展開することによって, 合成反応の場としての超臨界流体の有効性と重要性は, 学術・技術両面において, さらに高まると考えられる。
  • 三島 健司, 松山 清
    2001 年1 巻4 号 p. 373-379,362
    発行日: 2001/04/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    超臨界二酸化炭素と貧溶媒の特異的共存効果により高分子を超臨界二酸化炭素中に溶解した後, 急速膨張により, タンパク質, 薬剤, 無機物質などの微粒子を内包する平均粒径が数μm~数十μmのマイクロカプセルを生成した。一般に, コーティングに用いるこれらの高分子の超臨界二酸化炭素や助溶剤として用いるエタノールやメタノールへの溶解度は極めて小さい。しかし, これら高分子の超臨界二酸化炭素への溶解度は, 助溶媒として低分子量のアルコールを使用することで20wt%程度まで増加する。これら高分子の溶解した超臨界二酸化炭素流体中では, タンパク質等の芯物質は攪拌により容易に分散できる。高分子を含む超臨界流体を, ノズルを通して高圧セルより常温大気圧下であるサンプル捕集室へ急速に膨張させることで, 高分子マイクロカプセルを生成した。膨張の後, エタノールなどの助溶媒がポリマーに対して貧溶媒であるので, 癒着のない高分子微粒子が得られた。高分子の仕込み組成を調整することで, マイクロカプセルのコーティング厚みならびに平均粒径を制御できる。
  • 佐古 猛
    2001 年1 巻4 号 p. 381-384,363
    発行日: 2001/04/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    512.6Kの臨界温度と809MPaの臨界圧力を越えた超臨界メタノールは, 将来の化学反応プロセスにおける有望な溶媒である。この流体は温度と圧力を操作することにより, 従来の液体溶媒よりもずっと広範囲かつ連続的に溶媒物性を変えることが出来ると共に, 溶媒和構造を容易に制御可能なので, 高い反応速度と反応選択性を同時に実現することが可能である。
    今回の総説では, 亜臨界~超臨界メタノールのミクロな溶媒物性の温度および圧力依存性, 溶媒物性と反応性の関係について簡単に説明し, その後, 超臨界メタノールを用いる高選択的で触媒不要の芳香環のメチル化, N-メチル化, O-メチル化, ケトンからのアセタール合成について説明する。
  • 生島 豊
    2001 年1 巻4 号 p. 385-394,363
    発行日: 2001/04/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    超臨界流体は圧縮性の媒体を臨界温度および臨界圧力以上にしたときの流体であり, 超臨界流体を酵素反応に適用することによってさまざまな利点が生じる。生成物による溶媒汚染の心配がない上, 超臨界流体の低粘度, 低表面張力, 高拡散性は溶質の物質移動を容易にし, 拡散律速反応の速度を促進することができる。また, 超臨界流体の種々の溶媒特性は, その圧力, 温度を変えることによって連続的に制御できるので, 溶媒自身の化学構造の変化に起因した酵素活性の低下も改善できる。酵素活性は, 酵素の水分含有量, 表面形態, 溶媒, 基質, 生成物の性質に左右される。超臨界流体はこのように酵素へ直接的な影響を与えるほかに, 溶媒の誘電率, 溶解度パラメーターのような物理的性質も非共有結合的相互作用に微妙な影響を与える。近年, 分光学的手法や計算機シミュレーション法により, 臨界点付近で溶解した溶質分子の近傍領域で水素結合のような化学的相互作用が特異的に変化することが見い出されており, このような観点から生体触媒反応についても検討がなされた結果, 超臨界流体中での酵素構造の2次構造変化が反応性の変化と密接に結びついていることが明らかになった。
  • 大竹 勝人
    2001 年1 巻4 号 p. 395-402,363
    発行日: 2001/04/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    二酸化炭素は, 超臨界条件においてヘキサン等の無極性溶媒と比較的類似した特性を持っているとともに, 地球上に天然にほぼ無尽蔵に存在するために安価であり, 毒性がきわめて低くかつ不燃性であり安全である。そのため, 現在の工業プロセスにおける揮発性有機溶媒使用削減の動きを受け, 代替溶媒としての利用が試みられるようになってきている。本総説では, 最近の超臨界二酸化炭素を溶媒とした, 種々のポリマー合成反応に関する研究ついて概説した。
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