発電スケジューリング問題は, 種々の制約条件下で燃料費が最小となるように, 各発電機の各時間帯における起動・停止および発電量を決定する問題である.この問題は, 一般の生産スケジューリングと比較して, 以下の3つの相違点を有する.第1に, 生産と消費が同時に行われるため, 在庫を有することができない.第2に, 周波数や電圧を規定値に保つため, 需給バランスをとる必要がある.第3に, 段取り替え費用に相当する起動停止費用が発電機の稼動・休止時間に依存する.このような複雑で特殊な問題に対して, 従来からラグランジュ緩和法による解法が提案されている.この解法の計算効率はラグランジュ乗数の決定方法に依存する.本研究では, ニューラル・ネットワークのパターン認識能力を用いて, ラグランジュ乗数の最適値を過去の電力需要から推定する方法を提案する.数値実験による提案法と従来法の比較検討も行ったので, その結果についても報告する.
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