われわれは, 先に多品種在庫モデルの定期・定量発注方式で発注費に含まれる固定費と変動費のうち, 変動費に対して学習効果を考慮したモデルを提案した.本論文では仕入先から製品を仕入れて販売する小売業者を対象とし, 製品の搬送の経験が増すことによる入荷品質の改善を学習効果としてとらえ, 発注ならびに入荷品質に関して学習効果を考慮し, 受入検査を行うモデルを考える.このモデルについて個別発注方式と一括発注方式の両方式に対する発注量, 発注回数および検査率の最適決定について論じ, さらに両方式の経済性比較を行う.

抄録全体を表示

近年, 古川・太田・加瀬は計数規準型逐次抜取検査の検査履歴が最短格子経路で表される点に着目して, これに基づく計数規準型逐次抜取検査の新しい設計法を提案している.この設計法によれば, 従来の逐次確率比検定に基づくWaldの設計法による計数規準型遂次抜取検査方式の生産者危険と消費者危険が指定値を近似的に満足するものであるのに対して, 両者の危険を確実に指定値以下におさえる検査方式が得られるばかりでなく, 任意の不良率についての検査特性も厳密に算出できるといった特徴がある.本研究では, この最短格子経路に基づく計数規準型逐次抜取検査方式の設計法の特徴を利用して, これまで規定されていなかった計数選別型逐次抜取検査の設計法を新たに提案し, その有効性について考察する.

抄録全体を表示

m種類の製品があって, それぞれに確定的定常需要が見込まれている.1台の機械を切り換えて, どの品目にも品切れが起きないように, かつ, 最も経済的な生産をするためのスケジュールを立てたい.本研究では, 切り換えを伴うこの問題の最適スケジュールを生成する計算理論を提案する.すなわち, (i)問題をDynamic programmingの線に沿って定式化して, 最適コスト関数の最適性条件を導き, 続いて, これからQuasi-Variational Inequality系と称する偏微分不等式系を導出する.(ii)さらに, この最適コスト関数がそれらに基づいて定義されたある関数の集合におけるmaximum elementであるとして, これの特徴付けを行う.(iii)問題の最適政策を導出して, これが定常政策でさらに最適コスト関数を基礎にしたインデックスポリシーの構造を有することを示す.

抄録全体を表示

この研究では"多品目単一機械ロットサイズスケジューリング問題のQuasi-Variational Inequality理論"において明らかにした基礎理論に基づいて, 問題の具体的な解法を提案する.すなわち, ある関数の集合のmaximum elementとして特徴づけられたこの問題の最適コスト関数u(x)=(u^0(x), ・・・, u^m(x))を求めるために, まず線形有限要素法によるQVI系の近似式を導く.次に適当なオペレータを定義して, これの不動点としてu^d(x)の数値解を求めるアルゴリズムを提案し, これが幾何収束することを示す.さらに, 収束を加速化するアルゴリズムを提案し, これが単調に減少して有限回で収束することを示す.これらのu^d(x)の数値を先の研究で導いた最適政策の式に代入して, 実際にスケジュールを生成する.この方法によって2つの例題を解いて結果を提示する.

抄録全体を表示

従来, 定期引き取り形態のかんばん方式について, 数理的な解析がなされてきたが, それらの研究では, 対象とする部品の単位時間当りの使用量は一定であるとの前提条件, およびコンテナ内に収納できる部品の量(コンテナ容量)は決められた所与の値であるとの前提条件に基づいていた.本報文では, 定期引き取り形態のかんばん方式で, 単位時間当りの部品使用量が変化する場合を対象に, コンテナの部品収納数可変の運用法, およびかんばん枚数可変の運用法に対して, かんばん方式運用総費用を最小にするアルゴリズムを示す.また, 具体的な数値例を提案アルゴリズムで解き, コンテナの部品収納数可変の運用法による費用とかんばん枚数可変の運用法による費用の比較を試みた.その結果, 運用総費用の面において, コンテナの部品収納数可変の運用法の方が有効であることが示された.

抄録全体を表示

スケジューリングは本来複数の評価基準を考慮した多目的問題として扱われるべきであるが, 多目的スケジューリング法に関する研究はまだわずかである.前報では, 多目的スケジューリング問題の効率的な近似解法として, 複合ランダム・サンプリングによる方法を提案した.既存の多目的スケジューリング法のほとんどが特定の問題にしか適用できないのに対し, 提案法は多くの問題に適用できる可能性がある.本報では, 複合ランダム・サンプリングによる多目的スケジューリング法が効率的解法のない他のスケジューリング問題に対しても有効に適用できることを示す.そのために, 3目的2機械フローショップ・スケジューリング問題をとりあげ, シミュレーション実験を行った.提案法によれば, この問題に対しても短い計算時間で近似の度合いの高い非劣解集合が得られた.

抄録全体を表示

本研究では, 納期がすべてのジョブで共通かつ十分大きい場合の並列機械コスト最小化スケジューリング問題を取り上げる.コスト関数はすべてのジョブで同一であり, ジョブの滞留時間に伴うコストと納期遅れおよび納期余裕に伴うペナルティーコストからなる非対称非線形凸関数とする.このスケジューリング問題に対していくつかの最適スケジュールの必要条件を導く.これらの必要条件に基づき, ヒューリスティック解法を提案し, 数値実験により, これらの有効性を検討する.

抄録全体を表示

本研究では生産計画立案のための意思決定支援システムについて, 製造のパフォーマンス分析と代替案作成分析支援の2つの機能を持つDSSコンセプトについて論じている.ここでは, まず, 製造パフォーマンス分析により, 決定変数がシステムのパフォーマンスに与える影響について明確にする.その結果に基づいて, 代替案作成プロセスにより, マネジメントが優先度や許容限界を与えることによって, 代替案の作成や, 決定変数の設定を支援する.そして, 生産計画のDSSプロトタイプによる例を提供している.

抄録全体を表示