日本集中治療医学会雑誌
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2 巻, 3 号
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  • 病態や臨床との関連
    中村 元行, 平盛 勝彦
    1995 年2 巻3 号 p. 73-79
    発行日: 1995/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    生体内に大量にあるアミノ酸L-アルギニンを基質として合成される一酸化窒素(NO)は,血管内皮細胞のみならず血管平滑筋や心筋組織でも産生される。NOは強力な血管弛緩作用,抗血小板凝集作用,抗平滑筋増殖作用や陰性変力作用を持つ。そのため,動脈硬化症,狭心症,心筋梗塞症,慢性心不全や敗血症性ショックなどの心血管系疾患の病態理解や新たな治療法の展開に重要な因子と考えられる。本稿では,NOが動脈硬化症を含めた循環器疾患の臨床を考える上で,どのような意義があるかを,最新の情報とともに,われわれの研究結果を含めて概説した。
  • 丸藤 哲, 酒井 寛人, 牧瀬 博, 手戸 一郎
    1995 年2 巻3 号 p. 81-85
    発行日: 1995/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    凝固線溶系指標で急性心筋梗塞と肺血栓塞栓症の鑑別が可能か否かを検討した。胸痛,呼吸困難を主訴として搬入され最終的に急性心筋梗塞(n=8),肺血栓塞栓症(n=16)と診断された24症例を対象とした。各種治療開始前に採血してフィブリノペプチドA(FPA),フィブリノペプチドBβ15-42(FPBβ15-42),フィブリンおよびフィブリノゲン分解産物(FDP)を測定した。FPA(40.0±22.1vs.17.9±24.8ng・ml-1,mean±SD,p=0.0085),FPBβ15-42(34.1±20.8vs.12.8±8.7ng・ml-1,p=0.0044),FDP(37.5±36.7vs.6.3±6.5μg・ml-1,p=0.0022)は,いずれも肺血栓塞栓症が有意に高値となった。カットオフ値をFPA(20ng・ml-1),FPBβ15-42(15ng・ml-1),FDP(10μg・ml-1)に設定するといずれのマーカーも肺血栓塞詮症の診断に高い感度と特異度が得られた。急性心筋梗塞と肺血栓塞栓症の鑑別が困難な場合治療開始前に,FPA>20ng・ml-1,FPBβ15-42>15ng・ml-1,FDP>10μg・ml-1のいずれかを満たせば急性心筋梗塞より肺血栓塞栓症を強く疑うべきである.
  • 森永 俊彦, 篠崎 正博, 岡本 光明, 小野 知美, 川崎 貞男, 中 敏夫, 星屋 博信, 友渕 佳明
    1995 年2 巻3 号 p. 87-91
    発行日: 1995/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    敗血症性ショックでは一酸化窒素(NO)に起因するcyclic 3',5'-guanosine monophosphate(cGMP)の増加が末梢血管抵抗低下の原因となっている。われわれは敗血症性ショック患者にcGMP産生を抑制するmethylene blue(MB;可溶性グアニール酸シクラーゼ阻害剤)を投与して循環とガス交換への影響を調べた。Hyperdynamic state (CI>3.5l・min-1・m-2)を示した敗血症患者8例を対象として,MB2mg・kg-1を30分間で投与した。投与前,投与直後,投与終了1,2,24時間後に呼吸,循環の各パラメータ,血中cyclic 3',5'-adenosine monophosphate (cAMP),cGMP濃度を測定した。その結果,平均動脈圧,全身血管抵抗係数はMB投与終了直後に著明な増加を認め,1時間後にはやや低下したが24時間後まで有意な増加が持続した。平均肺動脈圧,肺内シャント率,呼吸係数は投与前後で有意に変化しなかった。cGMPは投与終了2時間後に有意に低下したがcAMPは変化しなかった。以上よりMBは敗血症性ショックに対して全身循環動態を改善させるがガス交換には影響を与えないことがわかった。
  • 中野 実
    1995 年2 巻3 号 p. 93-99
    発行日: 1995/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    駆血下の下肢手術が凝固線溶系検査に与える影響を偏側下肢手術患者44症例で駆血前と解除1時間後に動脈血と患側大腿静脈血で検討した。凝固線溶系検査として部分活性化トロンビン時間(APTT)・プロトロンビン時間比(PT比)・フィブリノゲン(Fbg)・アンチトロンビンIII(AT III)・トロンビン-アンチトロンビンIII複合体(TAT)・プラスミノゲン(Plg)・α2プラスミンインヒビター(α2PI)・プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC),組織損傷の指標として総クレアチンキナーゼ活性(CK)・ミオグロビン(Mb)を測定した。駆血前と解除後ともにTATは静脈血で高値を示した。解除後の動脈血・静脈血ともにPT比・Fbg・AT III・Plg・α2PIは減少し,TAT・PICは増加した。解除後において動脈血・静脈血ともにTAT・PICはCK・Mbと正の相関が得られた。駆血下の下肢手術後では凝固線溶系検査測定値は修飾を受けるので慎重に評価する必要がある。
  • 安田 聡, 野々木 宏, 後藤 葉一, 宮崎 俊一, 伊藤 彰, 大黒 哲, 笹子 佳門, 土師 一夫
    1995 年2 巻3 号 p. 101-106
    発行日: 1995/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    [目的]経皮的人工心肺装置(Percutaneous cardiopulmonary support system: PCPS)の臨床的有用性とその問題点を明らかにすること。
    [対象]'90年1月から'93年4月までに施行されたPCPS21例のうち,待機的に使用された5例を除いた16例(男11例,女5例,平均年齢61歳:心原性ショック10例,blow-out型心破裂3例,致死的心室性不整脈3例)を対象とした。
    [結果]基礎疾患は14例(88%)が虚血性心疾患で,拡張型心筋症,弁膜症が各々1例であった。PCPSから離脱し救命できたのは4例(25%:心原性ショック3例,心室細動1例)であった。心原性ショック3例の基礎疾患は虚血性心疾患で,全例PCPS下の血行再建により救命し得た。5例(31%)では,大動脈内バルーンポンプ法が無効で,PCPSが血行動態の維持に有用であった。蘇生術に伴う縦隔内出血を2例で合併し,1例が出血性ショックのために死亡した。下肢血管損傷の合併例はなかった。
    [総括]PCPSによる心筋保護効果は不十分で,ショックが遷延した場合には,不可逆性の心筋障害をきたして救命が困難であった。そのため特に虚血例では,PCPSの開始とともに早期の血行再建が必要であると考えられた。また,PCPSに必要な抗凝固療法に伴い,重篤な出血性合併症を発生することがあり,蘇生術後の症例では注意が必要であると思われた。
  • 笠岡 俊志, 神田 育紀, 井上 健, 鶴田 良介, 副島 由行, 定光 大海, 立石 彰男, 前川 剛志
    1995 年2 巻3 号 p. 107-111
    発行日: 1995/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    1990年10月より1994年2月までに当センターに心・呼吸停止状態で搬送された患者151例のうち,生存退室した12例の心拍再開後の心筋障害について検討した。心筋障害の評価は標準12誘導心電図,断層心エコー図およびSwan-Ganzカテーテルによる血行動態パラメーターにて行った。来院時心電図は心室細動5例,心静止7例で,直流除細動を7例(58%)に行った。心拍再開直後にはST上昇を8例,異常Q波を1例に認めたが,時間経過とともに異常Q波や陰性T波を認める症例が増加した。断層心エコー図では左室の局所壁運動低下を8例,び漫性壁運動低下を1例に認めたが,そのうち2例は時間経過とともに改善した。血行動態的には,心肺蘇生に30分以上要した症例において左室ポンプ機能の低下を全症例に認めた。以上より,心肺蘇生後には心筋障害を認める頻度が高いため,心機能を評価しながら注意深く全身管理を行う必要があると考えられた。
  • 山内 順子, 丸川 征四郎, 尾崎 孝平, 藤田 啓起, 森 亜子, 垣下 栄三
    1995 年2 巻3 号 p. 113-118
    発行日: 1995/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    重症型妊娠中毒症の産褥期に合併し,軽快の途中で感染症の合併を契機に再増悪した血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の1症例を経験した。五主徴がすべて出現し,TTPの診断が確定するまでに10日以上を要した。抗血小板薬,抗凝固療法,ステロイドなどに加え,血漿交換療法を連日施行した。血漿交換療法を開始後,急速に血小板数の回復,症状の軽快が得られたが,第21病日,感染症の合併とともに増悪し連日の血漿交換療法にも反応せず,第29病日に死亡した。本例の治療経過を報告するとともに,妊娠,産褥期に合併した本症の報告例について考察した。
  • 石部 裕一, 佐藤 暢, 加藤 典夫, 林 健, 泰多 計城
    1995 年2 巻3 号 p. 119
    発行日: 1995/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 西田 博, 鈴木 進, 西中 知博, 渋谷 益宏, 勝間田 敬弘, 青見 茂之, 遠藤 真弘, 小柳 仁
    1995 年2 巻3 号 p. 121
    発行日: 1995/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
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