日本集中治療医学会雑誌
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駆血下の下肢手術が凝固線溶系検査に与える影響
中野 実
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1995 年 2 巻 3 号 p. 93-99

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抄録
駆血下の下肢手術が凝固線溶系検査に与える影響を偏側下肢手術患者44症例で駆血前と解除1時間後に動脈血と患側大腿静脈血で検討した。凝固線溶系検査として部分活性化トロンビン時間(APTT)・プロトロンビン時間比(PT比)・フィブリノゲン(Fbg)・アンチトロンビンIII(AT III)・トロンビン-アンチトロンビンIII複合体(TAT)・プラスミノゲン(Plg)・α2プラスミンインヒビター(α2PI)・プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC),組織損傷の指標として総クレアチンキナーゼ活性(CK)・ミオグロビン(Mb)を測定した。駆血前と解除後ともにTATは静脈血で高値を示した。解除後の動脈血・静脈血ともにPT比・Fbg・AT III・Plg・α2PIは減少し,TAT・PICは増加した。解除後において動脈血・静脈血ともにTAT・PICはCK・Mbと正の相関が得られた。駆血下の下肢手術後では凝固線溶系検査測定値は修飾を受けるので慎重に評価する必要がある。
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