日本集中治療医学会雑誌
Online ISSN : 1882-966X
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27 巻, 5 号
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編集委員会より
原著
  • 森田 恭成, 渡辺 伸一, 大野 美香, 自見 孝一朗, 荒川 立郎, 難波 智矢, 堀部 達也, 劉 啓文
    2020 年27 巻5 号 p. 395-402
    発行日: 2020/09/01
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル フリー

    【目的】リハビリテーション(リハ)の介入日数と人工呼吸患者の日常生活動作(activities of daily living, ADL)との関係を検討した。ADLの評価には,Barthel index(BI)を用いた。【方法】共通の離床プロトコルに基づいたリハを週7日と週5日で行う施設群間で比較した。診療録より2017年1月から13ヶ月間のリハに関する情報を収集し,検討した。【結果】週7日群100例,週5日群106例が登録された。BIは両群で差を認めなかった(75対60,P=0.310)が,週7日群はリハ開始とICU退室が早く(2日対3日,P<0.0001,8日対10日,P=0.004),また,端坐位達成率が高く(41.0%対28.3%,P<0.0001),せん妄発生率が低かった(24.0%対45.3%,P=0.001)。多変量解析でBIに関係した因子は年齢であり,せん妄に関係した因子は週7日介入,年齢,鎮静プロトコルであった。【結語】週7日群と週5日群でBIには差を認めなかったが,週7日群でリハ開始とICU退室が早くなり,端坐位達成が多く,せん妄発生は少なかった。

症例報告
  • 山根 光知, 青山 正, 桃原 寛典, 榎本 尚助, 服部 晶子, 野々垣 幹雄, 竹市 広, 足立 裕史
    2020 年27 巻5 号 p. 403-407
    発行日: 2020/09/01
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル フリー

    40歳の妊婦が発熱,腹痛を主訴に前医を受診し,常位胎盤早期剥離およびhaemolysis, elevated liver enzymes, low platelet count(HELLP)症候群の疑いで当院に救急搬送され,緊急帝王切開術を施行した。問診および術中所見から劇症型溶連菌感染症による「劇症分娩型」を疑い,アンピシリン,クリンダマイシンによる抗菌薬治療を術中から開始した。血液検査では溶血性貧血,腎機能障害を認め,血栓性微小血管症の合併が疑われ,早急に血漿交換を含む集学的治療を開始した。治療開始とともに全身状態が改善し,第7病日にICUから退室し良好な転帰を得られた。早期の抗菌薬治療の開始,昇圧薬投与,輸血療法,血漿交換を含む集学的治療により救命できたと考えられた。

短報
調査報告
  • 櫻本 秀明, 卯野木 健, 白坂 雅子, 田本 光拡, 佐藤 智夫, 大内 玲, 佐土根 岳, 藤谷 茂樹
    2020 年27 巻5 号 p. 429-432
    発行日: 2020/09/01
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル フリー

    鎮静・鎮痛・せん妄・睡眠管理およびICU diaryに関する実践を明らかにすることを目的に,Webアンケートによる実態調査を実施した。ICU/high care unit(HCU)看護師からの227件の回答を分析し,鎮静目標が明確な施設は66.1%,目標鎮静設定を毎日見直すは22.9%であった。ほぼ全ての施設で定期的に鎮静評価が行われていた。客観的疼痛評価はbehavioral pain scale(BPS)37.4%,critical-care pain observation tool(CPOT)38.3%で行われていた。せん妄評価ツールを全く使用していない施設は13.7%にとどまった。睡眠促進は,明るさの調整(84.6%),モニター音の調整(48.5%)であった。ICU diaryを全く使用していない施設は77.5%に上った。重症患者に対する鎮静・鎮痛・せん妄評価,睡眠の促進は広く普及しつつあるが,ICU diaryも含めるといまだ十分とはいえず,今後も適切な普及に組織的に取り組む必要性が示唆された。

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