日本集中治療医学会雑誌
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8 巻, 1 号
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  • 青山 直善
    2001 年8 巻1 号 p. 5-9
    発行日: 2001/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    急性心筋炎は,感冒様症状と心電図異常にとどまる軽症のものから,致死的な不整脈や心不全を生じて急速な経過で心原性ショックに陥り死亡するものまで多彩である。特に急激に発症し,ポンプ失調や重篤な不整脈を併発して急速な経過で心肺危機に陥り,時に死亡するものを劇症型心筋炎という。近年,従来では救命しえなかった劇症型心筋炎症例が,大動脈内バルーンパンピング(intraaortic balloon pumping, IABP),経皮的心肺補助(percutaneous cardiopulmonary support, PCPS)や補助人工心臓(ventricular assistant device, VAS)の使用により救命可能となり,積極的な急性期救命治療が提唱されている。日本循環器学会学術委員会では1997~1999年度にかけて「心肺補助循環を用いた劇症型心筋炎の治療と予後」と題した調査研究(班長:北里大学医学部内科和泉徹)を展開し,心肺補助循環を必要とした劇症型心筋炎症例について,適応基準や管理方針,合併症対策や離脱基準を標準化するために検索が積まれてきた。本稿ではその調査結果も多少含めて,PCPSを必要とした劇症型心筋炎症例の臨床的な特徴,補助循環法に至るまでの導入経過およびPCPSの適応,管理・離脱法や合併症予防・対策を具体的に掲げ,その運用法を解説した。
  • 後藤 孝治, 伊東 浩司, 日高 正剛, 工藤 享祐, 竹島 直純, 新宮 千尋, 吉武 重徳, 野口 隆之
    2001 年8 巻1 号 p. 11-14
    発行日: 2001/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    心臓大血管手術後患者10名を対象として,α型ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(α-hANP)の低用量持続投与を行い,血行動態,尿量,ならびに頭蓋内血流に及ぼす影響を比較検討した。頭蓋内血流として経頭蓋超音波ドプラ法を用い内頸動脈サイホン部血流速度,pulsatility index (PI)を薬物投与前および投与後で測定した。α-hANP0.05μg・kg-1・min-1投与で尿量の有意な増加を認めたが,血行動態,内頸動脈サイホン部血流速度およびPIには変化を認めなかった。心臓大血管手術後患者へのα-hANPの低用量持続投与は脳血流や血行動態に影響を及ぼすことなく尿量を増加させる可能性が示唆された。
  • 坂本 篤裕, 清水 淳, 鈴木 規仁, 松村 純也, 小川 龍
    2001 年8 巻1 号 p. 15-19
    発行日: 2001/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    エンドトキシンショック時には,誘導型一酸化窒素合成酵素による一酸お化窒素(NO)の過剰産生とともに,誘導型ヘムオキシゲナーゼによる一酸化炭素(CO)の過剰産生が病態進展に重要な役割を担うことが示唆されている。NOとCOはともにグアニリルシクラーゼのヘム分子に結合し,cGMP増加による血管平滑筋弛緩作用を示すとされるが,その結合の競合作用や,産生酵素活性の抑制作用などの相互調節機構も存在することが示されている。一方,リポポリサッカライド(LPS)などの過剰な刺激における両者の相互影響や病態進展への役割については不明であり,本研究ではラットエンドトキシンショックモデルにおいてnitrosyl hemoglobin (NO-Hb)およびcarboxy-hemoglobin(CO-Hb)を指標に,それぞれの合成酵素阻害薬であるL-canavanine(CAN)およびzinc protoporphyrin (ZPP)による影響を血圧変動とともに検討した。LPSの投与により経時的血圧低下とNO-HbおよびCO-Hbの増加を認めた。CANおよびZPPはともに血圧低下抑制効果を認めたが,CANはNO-Hb増加のみを,ZPPはCO-Hb増加のみを抑制した。致死的エンドトキシンショック時にはNO産生系とCO産生系抑制はともに血圧低下抑制に有用であるが,それぞれの産生酵素阻害薬の効果からみた場合,生体調節機構に有用と考えられる相互作用は認められなかった。
  • 藤田 文彦, 又吉 康俊, 中村 久美子, 近藤 香, 松田 憲昌, 歌田 浩二, 田村 尚
    2001 年8 巻1 号 p. 21-25
    発行日: 2001/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    頸髄損傷治療経過中に発症した第VIII因子インヒビタ出現による後天性凝固異常症の1症例を経験した。症例は44歳の男性で,第4頸椎脱臼骨折による頸髄損傷に対し,頸椎前方・後方固定術が施行された。その後,ICUで人工呼吸管理中の第21病日に突然血尿が出現し,引き続き無尿となったため持続血液濾過透折を開始した。1週間で利尿は得られたが,血尿が持統するため,凝固・線溶系検査を行った。その結果,第VIII因子インヒビタ(6 Bethesda unit・ml-1)による第VIII因子活性の著明な低下(<1.6%)が原因と考えられた。第VIII因子製剤投与のみでは血尿が改善せず,第48病日からの血漿交換(計4回),第VIII因子製剤の増量,プレドニゾロン,シクロホスファミド投与により第69病日以降,血尿は完全に消失した。本症例において,インヒビタ出現の病因は確定しえなかったが,早期診断は可能であった。結果的には血尿が遷延しており,血漿交換,免疫抑制剤,ステロイドの併用をもっと早期に開始すべきであった。
  • 藤林 哲男, 小野 靖志, 高倉 康, 杉浦 良啓, 福田 悟
    2001 年8 巻1 号 p. 27-31
    発行日: 2001/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    集中治療の鎮静目的で用いたプロポフォールにより,横紋筋融解が遷延した小児の悪性症候群の1症例を経験した。症例は6歳の女児で,異常運動(夜間の暴力的行為,舞踏病様運動,全身強直発作)のため小児科に入院(筋緊張亢進に対しジアゼパム,フェニトインなどを投与)するが,意識レベル低下,高体温(42℃),無尿となり,第11病日ICUに収容した。悪性症候群を疑い,強制冷却,ダントリウム投与,血漿交換,持続血液濾過を施行した。収容時のクレアチン・ホスホキナーゼ(creatine phosphokinase, CPK)は310×103IU・l-1と高値を示したが第15病日には40×103IU・l-1となった。第15病日より人工呼吸中の鎮静目的でプロポフォールを3mg・kg-1・hr-1で開始し,11日間投与したが,CPKは4~8×103IU・l-1の間を推移し低下を認めなかった。プロポフォールを中止したところ,3日後には1×103IU・l-1を下回り以後低下した。小児に対する集中治療での鎮静目的でのプロポフォールの使用は,推奨用量(3mg・kg-1・hr-1以下)であっても横紋筋融解を生じる可能性があり,避けるべきであると考えられた。
  • 斉藤 朗子, 依田 建吾, 滝澤 洋之, 平田 学, 安達 麻由子
    2001 年8 巻1 号 p. 33-37
    発行日: 2001/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    Stanford A型急性大動脈解離に対し,逆行性脳灌流併用超低体温循環停止下に上行大動脈人工血管置換術を施行し,術後横紋筋融解を発症した症例を経験した。患者は55歳男性,身長169cm,体重120kg,体格係数(BMI)42.0kg・m-2。術中より赤色尿が持続し,術後2日目クレアチンホスホキナーゼ(CPK)22,320U・l-1,クレアチニン2.2mg・dl-1,血中ミオグロビン43,000ng・ml-1,尿中ミオグロビン850,000ng・ml-1に上昇した。大量輸液,利尿薬投与によるwashout療法,積極的体位変換による筋組織虚血防止で腎不全は軽快し,術後18日目にICUを退室したが,術後40日目に敗血症のため死亡した。体外循環や循環停止後の高度肥満患者では,虚血後再灌流障害により横紋筋融解を発症し,術後の無動化により増悪する可能性があり注意が必要である。
  • 鈴木 頼快, 石原 均, 神田 裕文, 関 章, 浅岡 峰雄, 安藤 浩
    2001 年8 巻1 号 p. 39-42
    発行日: 2001/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    心原性ショックに陥った左冠動脈主幹部病変の急性心筋梗塞症例に対して,長期に補助循環を使用し救命しえた。患者は51歳,男性。経皮的心肺補助(percutaneous cardiopulmonary support, PCPS)・大動脈内バルーンパンピング(intraaortic balloon pumping, IABP)サポート下で経皮的冠動脈形成術(percutaneous transluminal coronary angioplasty, PTCA)を施行後,高度心不全,腎不全に陥りPCPS離脱が不能となった。そのため,さらに左心補助効果が強く長期使用可能な左心補助人工心臓(left ventricular assist device, LVAD)を装着し,離脱に成功した。しかし腎機能は回復せず慢性腎不全となった。この症例を通じ急性心筋梗塞後の高度心不全症例に対して,補助循環を使用して心機能の回復まで全身状態を維持する,あるいは心移植が1つの治療法となった現在では心移植までのブリッジとし救命しうる可能性が示唆された。
  • 瀬口 雅人, 立石 彰男, 副島 由行, 國廣 充, 村上 不二夫, 河岡 徹, 河原 聖二, 福本 陽平
    2001 年8 巻1 号 p. 43-44
    発行日: 2001/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 明星 康裕, 遠山 一喜, 瀧 康則, 棚木 直人
    2001 年8 巻1 号 p. 45-46
    発行日: 2001/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 馬瀬 泰美, 井戸 美穂子, 角谷 栄子, 千種 弘章, 丸山 一男, 高尾 仁二, 矢田 公
    2001 年8 巻1 号 p. 47-48
    発行日: 2001/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 木村 太, 志賀 健人, 鎌田 信仁, 長尾 乃婦子, 中村 敏克, 木村 邦之, 石原 弘規
    2001 年8 巻1 号 p. 49-50
    発行日: 2001/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
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