国内における連日の猛暑や豪雨の頻発など,異常気象が際だってきている.この異常気象はロシア,中国,インドなど世界的な規模で生じているが,この原因としては地球温暖化の影響が最も大きいと認識されている.このため,地球温暖化対策は特に緊急を要する課題となっているが,問題解決のためには国際的な協力関係が不可欠である. そこで,地球温暖化問題に対する国際的な枠組みを設定した気候変動枠組条約の概要と最高意志決定機関である締約国会議の活動,特に重要な役割を果たした京都議定書を紹介するとともに,今後の課題について言及した.
簡易フロート型内部浮き蓋は,石油タンクの内容液の揮発の抑制を目的として設置されるものであり,日本国内に多数設置されている.昨今の揮発性有機化合物対策として,供用中の石油タンクに後付けで設置される例も多い. 平成15 年十勝沖地震では,苫小牧市や石狩市でアルミニウム製の簡易フロート型浮き蓋が大破する被害が生じている.この内部浮き蓋については,地震時に発生するスロッシングに対する耐震性の検討が重要であると考えられる. 本報では,大規模振動台を使用して,模型タンクと実機簡易フロート型浮き蓋とを用いた揺動実験を行った結果を報告する.減衰係数は揺動高さが高い時には概ね0.5%程度になる.歪みについては,速度応答で250 cm/s 程度になると急激に歪みが大きくなる傾向が見られた.
現在,変電所等の電気所は殆ど無人であり,地域ごとに配置された給電制御所では当直要員の24 時間交替勤務により集中監視制御が行われている.給電制御所における業務は人間が判断・対処する内容が多いため当直要員数はヒューマンファクターを考慮して設計する必要があり,これらは同時にヒューマンエラーの防止に資するものでもある. これまで中部電力においては,「給電制御所の1 班あたりの人数」すなわち「当直要員数」は,主に給電制御所が管轄する遮断器台数を指標とした経験モデルにて決定してきたが,業務環境の変化に伴い指標見直しの必要性が高まってきた. 本研究では中部電力の地方給電制御所を対象として,(1)基礎データ調査,(2)平常時現地調査(実地調査とヒアリング調査),(3)事故復旧訓練調査(実地調査とヒアリング調査),(4)アンケート意識調査,等を実施し,①実態的な業務負荷,②負担感と当直要員数のトレードオフ,③チーム活動における要件(役割分担・コミュニケーション・管理スパン),等に関してヒューマンファクターを考慮した検討を行ったうえで,地方給電制御所の当直要員数に関する評価モデルの再構築を行った.