気相スモークラジカルの生成機構を明らかにするため,代表的可燃物としてポリプロピレンを用い,燃焼条件が生成物の挙動に及ぽす影響をガスクロマトグラフィー(GC)を用いて調べ,気相スモークラジカル生成挙動との関係を考察した,その結果,アセトンなどの含酸素化合物の生成挙動とラジカル生成挙動との闇に相関が認められた.特に発炎燃焼が起こった場合は,含酸素化合物の生成量はわずかであり,気相スモークラジカルもほとんど検出されなかった.また,アセトンの燃焼スモークからも気相スモークラジカルが検出されたことから,高反応性で見かけ上長寿命の気相スモークラジカルの生成を説明するものとして提案されている,ジアルキルトリオキシドのような準安定な中問体は,含酸素化合物の燃焼によって生じる可能性が示唆される.
設備の異常検知と診断には,異常の時にでる特徴的な信号をとらえることが重要である.しかし,その信号が定常ではなく間欠的なときなどは平均化されてしまい,検知が難しい.そこで,時間一周波数解析手法の一一つであるウェーブレット変換に着目した.本報では,歯車の異常検知について,おもに実験的に本解析の適用法を検討した.歯車の異常としては,歯面摩耗と歯折損を取りあげた.軸受軸に取り付けた振動センサー信号にウェーブレット変換を行い,各周波数成分の強度の時系列データを得た.このデータから異常の検知とその識別する方法にっいて考察した.また,高速フーリエ変換(FFT)解析と比較した.そして,ウェーブレット変換解析を用いることにより異常の識別能が向上することを明 らかにした.
本稿では欧州の化学会社3社のリスク評価手法を紹介する.ICI社については「6段階危険性評価システム」,「モンド指標」,BASF社にっいては3段階で行う「標準的安全レピュー」,ミニ・HAZOPによる「安全レビュー改良法」,Sandoz社(現Novartis社)については「ハザードアナリシス」を示した.
これまで鉄道の安全対策は主として経験に基づいて行われてきたが,日本の鉄道の安全性はすでにかなりの高水準に達しており,経験則だけに立脚した安全対策で今後とも効果的に安全性を向上していくことは困難な段階に入っている。 そこで本研究では,安全戦略の最適な意志決定に資することを目的として,確率論的リスクアセスメントの方法論を鉄道分野に応用し,鉄道のための科学的・総合的な安全性評価手法を新たに構築した.また,同手法および事故とインシデントの実データを使用してJR東日本のリスク内訳およびその分布を実際に算出し,その安全性を定量的に評価した.
インターネットの急速な進展により,ネットワークセキュリティの重要性が叫ばれるようになってきた.ネットワークセキュリティ対策はさまざまな面から施さねばならないが,その基盤をなすのは,技術的対策である.なかでも暗号技術は,守秘と認証という基本機能をもち,情報を直接守るとともに,他のセキュリティ技術の要素技術としても用いられる.本稿では,この暗号技術の現状と動向を中心に,ネットワークセキュリティ対策について概観する.
医薬品工場建設におけるエンジニアリング会社の最も重要な役割は,医薬品業界が担っている『人の健康と福祉に貢献する』理念を,工場構築に確実に反映することと考えられる. つまり,対象となる医薬品工場の特徴を十分に理解した上で,医薬品会社の志向に適合したハードとソフトを提供するトータルエンジニアリングの展開が必要と考えられる. 医薬品工場の計画,設計から建設,試運転,バリデーションを業務としているエンジニアリング会社の一担当者の観点から,医薬品工場構築上の留意点をGMP対応,バリデーション遂行を中心に概説する.
設備診断技術のうち,最も実用性が高いといわれている振動音響解析による回転機械の異常診断につ き概説する. ばじめに回転機械に発生する代表的異常とその振動特性につきのべ,ついで信号処理技術とそれを用いた特徴抽出法および代表的異常の診断法を概説する. 最後にコンピュータによる自動診断技術の実例として主成分分析を用いた回転機械の自動診断についてのべる.
ユーザーが安心して使用できる機器開発では,製品安全のマネジメントとユーザーインタフェースの認知心理学的な検討が重要になる. マネジメントでは,安全に関する基本方針の確立と組織成員への浸透が基本となる.ユーザーインタフェースでは,ユーザーの視点に立った機器開発を進めていくため,使用の場におけるユーザーのエラーの実態の認識とともに人間とコンピュータの情報処理の相違など人問の情報処理の基本的な仕組みを理解して機器仕様を設定することが大切になる.