溶融塩の物理的および化学的性質は安全工学的な見地から魅力的なものである. この総説は次の項目から成っている,(1)反応媒体としての溶融塩の性質と特徴,(2)溶融塩の化学反応への応用に関する小史,(3)ハロゲン化,異性化,縮合,クラッキング,酸化,脱水,および交換友応などへの実用的応用例,(4)反応媒体として特に興味ある溶融塩,(5)公害防止化学プロセスヘの利用,(6)石炭めガス化への利用,(7)安全工学的な優位性
本研究は事故例をデータベース化し,これの様々な観点からの検索により,安全対策上の教訓を引き出そうとするものである.まず,独自に作成したデータベース管理システムと事故例データベースの試作過程について述べる.次に,項目と項目値のつけ方について考察し,データベースを再構築する,最後に検索例を与え,安全対策との係りを明らかにする.
実際のシステムに対するフォールト・ツリーは複雑な構造であり,したがって複雑なシステムに適用できるツリー作成のアルゴリズムが必要となる.本論文はフィードバック制御回路の結合系およびフィードフォワードとフィードパック制御回路の結合系に対するツリー作成のアルゴリズムを提案する.このアルゴリズムは第1報を拡張したものである.これより,フィードパック制御回路はツリーのトップ構造に位 置するが,フィードフォワード制御回路はその下部にある.一入力に過ぎないことが明らかとなった.
火災の炎を長時間露出で写莫撮影する方法を試みた.時間積分写真あるいは時間平均写真である.輻射熱による火災周辺の物体の加熱を問題とする場合等には,炎の瞬間の形状や位置よりも,ある長さの時間内の積分値あるいは平均値を必要とすることが多く,このような観測方法は利用価値がある.実際に撮影する場合の工夫と若干の注意事項について説明し,また,油火災,クリブ火災に応用したときの実例を,二,三掲げた.条件がとくに悪くなければかなりの好結果が期待できる.
無機添加剤と粉末口紙の混合試料にて爆発実験を行なった結果,一般に酸化剤とも還元剤とも考えられない物質の中に可燃性粉体の爆発性促進効果を示す物質が存在する.また,爆発の抑制剤として使用されている物賃も混入量によっては可燃性粉体の爆発性促進効果を示す恐れがある等のことが明らかになっ た. こうした可燃性粉体を取り扱うプラント等においては,その粉体の爆発性を促進させるような物質の使用に当たっては十分な注意が必要である.
前稿は大脳生理学の観点からヒューマン・エラーに対する見方と考え方について述べた.本稿では,化学プラントのほか産業各分野で実際に安全管理にたずさわる人々に事故原因となった作業ミス要因がどんな理由で発生し,どんな対策が有効かを自からの手で調査し,分析ができるようにすることを目的として,安全人間工学部会,石油化学分科会が作成した「人的事故の原因調査分析手順書」の試案を紹介した.またその使い方を理解してもらうため,過去に発生した化学プラント事故を分析事例として取り上 げ,その解析と評価の応用例を示した.