安全教育学研究
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24 巻, 1 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 山崎 雅史
    2024 年 24 巻 1 号 p. 3-12
    発行日: 2024/09/30
    公開日: 2025/06/19
    ジャーナル フリー
    第1次学校安全の推進に関する計画策定時から現在まで継続して、安全教育に係る時間の確保が課題として挙げられている。加えて、より効果的な安全教育を推進するために、系統的・体系的に進めることが求められている。そこで、本研究では、小学校学習指導要領(平成29年告示)解説各教科等に記述されている安全教育に関する内容を抽出し、安全教育実施状況評価シートの作成を試みた。 評価シートは、生活安全、交通安全、災害安全、現代的諸課題の4つの領域が分かるように、そして学校現場で活用してもらいやすくするために学年別に作成した。さらに教科等横断的な取組が必要となることから、各教科等との関連についても明らかとなるような工夫を施した。作成した評価シートは、小学校や教育委員会事務局、学会や研究会等で約300枚配付した。配付時や配付後には、評価シートに対する多くの肯定的な意見と、今後の課題となる意見を収集することができた。 今後、配付先に対して、安全教育の実施状況や安全教育実施状況評価シートの活用状況等を追跡調査し、小学校現場がより安全教育を推進しやすくなるための資料作成に取り組んでいきたい。
  • 森重 比奈, 野村 純, 伊藤 裕志, 吉本 一紀, 加藤 徹也
    2024 年 24 巻 1 号 p. 13-23
    発行日: 2024/09/30
    公開日: 2025/06/19
    ジャーナル フリー
    学校において児童生徒の安全は最優先に考えなければならない事項である。本論文では、教育実習を終えた理科教員・養護教諭志望の教員養成学部4年生を対象として、理科の授業中の事故を想定したロールプレイ演習を教職実践演習の授業で実践し、その学習効果について分析した。調査は実践の前後でアンケートにより行った。分析にはWilcoxonの符号付順位和検定と自由記述のテキストマイニングを用い、学生の自己効力感の変化と実践から得る学びを明らかにした。検定の結果、本授業により、理科授業中の事故対応能力に関する自己効力感の向上が認められた。さらに、テキストマイニングから、事故に関する一連の対応のための知識のほか、合同で授業を行ったことによる学びが抽出された。
  • 水谷 幸恵, Christofer BULLSMITH
    2024 年 24 巻 1 号 p. 25-37
    発行日: 2024/09/30
    公開日: 2025/06/19
    ジャーナル フリー
    本研究では、大規模な地震災害の発生に際し、優れた災害への対応力をもって教育活動継続の役割を果たしたUniversity of Canterbury(UC)の事例を取り上げて、今後の強健な災害対応力構築のための一助となるよう、その災害対応力についての学びを報告する。クライストチャーチ地震は甚大な人的・物的被害をもたらし大規模災害であったが、UCの災害への対応は迅速になされ、早期の教育活動再開を実現し、街の災害支援にも貢献している。これはリソースを最大限に活用して損失を最小限に抑え、緊急対応後からの早期回復に向けた緊急時管理が機能していたことによるものであったと考えられる。避難訓練の形骸化がみられることや、責任者不在の場合の対応が示されていないこと等がある場合には、災害対応の備えについて、その在り方を再考する必要がある。そのためには、その場にいる誰もが自らの力で対応できるようなシステムの構築および防災教育の展開が望まれる。そして、平時の訓練より学外関係機関との人間関係を構築して信頼関係をつくること、その信頼のもとにあらゆる事態にあってもそれに対峙してゆくことが求められる。
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