安全教育学研究
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海外の大学の災害対応事例からの学び―強健な災害対応力構築に向けて―
水谷 幸恵Christofer BULLSMITH
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2024 年 24 巻 1 号 p. 25-37

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抄録
本研究では、大規模な地震災害の発生に際し、優れた災害への対応力をもって教育活動継続の役割を果たしたUniversity of Canterbury(UC)の事例を取り上げて、今後の強健な災害対応力構築のための一助となるよう、その災害対応力についての学びを報告する。クライストチャーチ地震は甚大な人的・物的被害をもたらし大規模災害であったが、UCの災害への対応は迅速になされ、早期の教育活動再開を実現し、街の災害支援にも貢献している。これはリソースを最大限に活用して損失を最小限に抑え、緊急対応後からの早期回復に向けた緊急時管理が機能していたことによるものであったと考えられる。避難訓練の形骸化がみられることや、責任者不在の場合の対応が示されていないこと等がある場合には、災害対応の備えについて、その在り方を再考する必要がある。そのためには、その場にいる誰もが自らの力で対応できるようなシステムの構築および防災教育の展開が望まれる。そして、平時の訓練より学外関係機関との人間関係を構築して信頼関係をつくること、その信頼のもとにあらゆる事態にあってもそれに対峙してゆくことが求められる。
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