日本応用動物昆虫学会誌
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7 巻, 4 号
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  • 奥村 隆史
    1963 年7 巻4 号 p. 285-290
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    セジロウンカでは幼・成虫期を通じて短日,低温,出穂したイヌビエで飼育すれば,その成虫は休眠卵を産むことが知られているが,幼虫期を長日,高温(27.5°C)の非休眠条件で飼育した羽化直後の成虫を短日,低温(15°C)で飼育するとその成虫は休眠卵を産んだ。すなわち,成虫期のみを休眠誘起の環境条件においただけで休眠卵を産むことがわかった。その休眠誘起の剌激は徐々に受けるものと考えられる。
    トビイロウンカでは幼虫期を長日,高温(27.5°C),高密度,出穂稲の葉鞘で飼育しても羽化直後の成虫を短日,低温(15°C),低密度(1対),出穂稲の葉鞘で飼育するとその成虫の産んだ卵の中には発育遅延が見られた。
  • 大串 龍一, 宮下 栄蔵
    1963 年7 巻4 号 p. 291-299
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1. 長崎県におけるヤノネカイガラムシの発生予察のための地域区分を行なうことを目的として,県下26ヶ所について,その越冬令構成ならびに雌成虫の蔵卵状況について調査をおこなった。
    2. 1月下旬および3月中旬に調査したところでは,各地点とも主として雄の2令幼虫あるいは成熟幼虫,雌の未熟成虫あるいは成虫で越冬するが,島原半島および西彼杵半島外洋側では雄1令幼虫,雌2令幼虫の越冬がみられた。
    3. 5月上旬の調査ではほとんどすべての地区で雌成虫だけが見出された。この時期にみると孵化しはじめている1令幼虫の数が地点によってことなり,島原半島,野母半島では多く,その他の地点では少ない。
    4. 3月中旬に各地の雌成虫の蔵卵状況を調べると,島原半島では発育のすすんだ卵が多く,他の地点とことなっている。5月には地点の間の差は見られなくなる。
    5. 以上のような結果をまとめてみると,島原半島,野母半島および西彼杵半島外洋側は,ヤノネカイガラムシの越冬状態や発生からみて,その他の地区とことなっているもののようである。今のところ,それは年平均気温16.5°C線で分けられる。
  • 長沢 純夫, 浅野 昌司, 近藤 和信
    1963 年7 巻4 号 p. 300-306
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    (1) 大きさの変量の幅のひろい個体群を,供試材料として薬物の生物試験をおこなった場合,個体ごとの体重のちがいを平均化するための大きさの因子size factorを推定して,実験結果を解析する方法を究明した。
    (2) 種々の濃度のPCPの水溶液にドジョウを投入し,それらの死ぬまでの時間と,その体重とをはかり,3者の関係をまずひとつの多重回帰式にもとめた。薬量の対数x1,体重の対数x2,および致死速度(致死時間の逆数)の対数yとの間には,Y=-0.05834+0.58337x1-0.16823x2の関係がえられた。
    (3) b2/b1=hとおき,体重換算のsize factorをwhで定義すると,体重換算薬量z=log(dwh)=x1+hx2となり,このzに対するyの回帰は,Y=0.4936+0.5859(z-0.9452)となった。
    (4) h=b2/b1が-1の場合は,同じ反応をえるためには,体重に正比例して薬量をあたえることを意味し,h=0の場合は投薬量は体重には無関係となるが,本実験でえたh=-0.288は,体重がk倍のドジョウを同じ時間に殺すためにはk0.288倍のPCPをあたえればよいことを意味している。
    (5) hおよびzの信頼限界をもとめ,あわせて棄却検定の方法についても論及した。
  • 金光 桂二
    1963 年7 巻4 号 p. 307-310
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    東大愛知演習林内のクロマツ造林地において,マツヅアカシンムシに寄生する寄生蜂の1種Lissonota evetriaeの生活史がほぼ明らかにされた(第3図)。本種は原則として単独で寄主の幼虫体内に寄生し,寄生をうけたマツヅアカシンムシは蛹化しないで,寄生蜂の幼虫に食いつくされる10月まで老令幼虫のまま新穂内に生息する。クロマツ1本あたりの寄主と寄生蜂の生息密度を調査した結果(第2表),世代内でのL. evetriaeの個体数は,5∼6月の第1令幼虫期間の初期にもっとも大きく減少しているが,これは主として寄主がほかの原因により死亡したために共倒れとなった結果であると考えられる。7∼10月の間には,個体数の大きな減少はみとめられなかった。
  • 平野 千里, 野口 浩
    1963 年7 巻4 号 p. 311-315
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    食植性昆虫の食性と栄養に関する研究の一環として,代表的な広食性昆虫であるヨトウガ幼虫(終令)にテンサイ葉とサツマイモ葉とを与えて,両植物の食物としての価値のちがいを,幼虫による食物利用の面から解析した。
    幼虫の発育はテンサイ給与区でいちじるしく速かであり,蛹体重もテンサイ区で大きい。このような両植物の食物価のちがいの一半は,テンサイ葉がサツマイモ葉にくらべて窒素含量高く,また幼虫によってより好まれることに起因している。しかし原因の大部分は,幼虫によるサツマイモ葉の利用性がテンサイ葉にくらべて低いこと,とくに葉中の窒素の利用性が低いことにある。すなわちサツマイモ葉,とくにそのなかの含窒素化合物は,質的にヨトウガ幼虫の食物として適当でないと結論できよう。
    本研究にあたって御指導いただいた石井象二郎・湯嶋健両博士に厚く御礼申し上げる。
  • 応用上の見地から
    八木 誠政, 小山 長雄
    1963 年7 巻4 号 p. 316-320
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    In early 1963 the writers proposed that the structures of the compound eye can be used for the estimation of activities of Lepidopteran adults. In that book, an idea of the use of structures of the eye to estimate moths' activities was presented. However, the detailed meaning and the technique of the eye section were not adequately described. Therefore, in this article a principle of activity estimation and its practical use were explained with the whole groups of moths adding fifty more species. Consequently, two types of activities which exhibit values of 6-8 and 2-4 are newly added to ever known twenty-one types of activities.
  • 第2報 集合性行動に関係する感覚器官について
    奥井 一満
    1963 年7 巻4 号 p. 321-326
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1 1961年晩秋蚕より1962年晩秋蚕までの4飼育期の家蚕,(2:4×5:4),(銀白×瑞光),(支124×日124)を用いて集合性行動に作用する感覚系統について,視覚,嗅覚,接触感覚に大別し実験した。
    2 暗室を利用して集合性行動を実験すると,光線下の場合とほとんどかわらず,60分後には84.6%の集合率を示し,同時期の光線下の89.4%と大体一致する。ゆえに,視覚は集合性行動には関係ないと見られる。
    3 木片,画用紙,ゴム片,桑の枯枝に対する反応は,いずれも少なく,生体の接触の場合とは全く異なる。死体についても同様で,家蚕の接触性は,生きた個体相互にのみ発現するものと見られる。
    4 嗅孔の分布する部分を阻害すると,明らかに個体認知の能力が低下する。これは集合性にも影響し,処理区の集合率は,60分後に31.8%,正常区では83.3%で,嗅覚が,認知に重要な器官であることがいえる。
    5 桑の各部分(葉柄,枝,樹皮,木部,枯枝)では,桑葉に近いものほど,高い反応を示すが,食性に適しない場合は,いずれも個体間の集合性が発現している。
    6 個体相互間では,接触によって,群が安定し,移動や外部的な運動は減り,静止状態となる。しかも個体数の多いほど,群は安定する。
    7 以上の結果から,集合性行動は,先ず,嗅覚によって,個体相互の確認を行ない,接近または接触し,安定した状態をつくりあげる。すなわち,嗅覚,接触感覚が,この行動に重要な器官である。
  • 桐谷 圭治
    1963 年7 巻4 号 p. 327-337
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    総計1,161頭のミナミアオカメムシNezara viridulaの雌成虫を1962年の4月から12月にかけ4∼5日間隔で1回約20頭ずつ解剖し,(1)卵巣の成熟度(5段階),(2)交尾ずみか未交尾か,(3)産卵経験の有無,(4)卵発育の終期になって現われる卵巣小管内の“黒点”の存否,(5)成熟雌の蔵卵数,(6)脂肪体の多少とその細胞の形状をしらべた。また各世代の産卵期間における野外での産卵状況を調査するとともに誘ガ灯による捕殺虫数の記録もあわせて参考にした。
    交尾・産卵・黒点率曲線間の関係から産卵開始日や産卵盛期あるいは終期を越冬世代成虫では数週間前に予察しうる。また各世代の成虫は重なりあって出現するが解剖によれば多くの場合世代間の区別がつくうえ,年間世代数もわかる。また部分的に第4世代を生じる場合も親世代の卵巣発育度曲線の傾向から予測できる。
    産卵雌の割合と野外における累積産卵曲線の関係から自然における成虫個体群の産卵同数も推定できる。すなわち産卵末期まで生存した越冬世代成虫では3∼4卵塊,それ以後の世代では平均1卵塊しかうまない。成熟雌の蔵卵数は各世代の野外における卵塊サイズとよく一致した。脂肪体の量は越冬前には増加し越冬後活動の開始にともなって減少する。これはおもに脂肪体細胞の肥大によると考えられる。
    以上の結果から雌の生殖組織の変化はミナミアオカメムシの季節的消長を予察する上でたいへん有効な手段となりうることがわかった。この方法はひろく他の害虫にも応用できると思われるが,とくに他のカメムシ類については直ちに適用しうると思われる。
  • 平尾 重太郎
    1963 年7 巻4 号 p. 338-342
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    イネカラバエの生態型が安定なものかどうかについて2, 3の実験を行ない,つぎの結果を得た。
    春世代における幼虫の発育は3世代型では速く,2世代型ではおそかった。両型の交雑世代幼虫(F1, F2)の発育は3世代型から2世代型まで連続的に変異したが,発育の変異状態は両親の雌雄の組み合せによって異なり,偏母的な傾向をおびた。つぎに,3世代型(鳥取産)の材料を2世代型の生息地(秋田)で3年間(9世代)にわたり野外で継続飼育を行なったが,この間3世代型固有の生態的性質は失なわれなかった。以上のことから,イネカラバエの2つの生態型は環境依存的ではなく遺伝的に安定したものであると結論された。
  • 福島 正三
    1963 年7 巻4 号 p. 343-347
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ジベレリン処理リンゴ樹上のリンゴコブアブラムシ個体群が処理濃度の相違によって増減する程度をしらべたところ,高濃度処理樹上のものが低濃度におけるよりも減少することがわかった。個体数は少ないが,同様な傾向はナミハダニの場合にもみられる。このようなアブラムシの増減とリンゴ葉の還元糖および全糖の消長との関係において,全糖との間には一定の傾向をみとめがたいが,還元糖の減少がアブラムシ個体群を低下させる一因と考えられた。
  • 中田 正彦
    1963 年7 巻4 号 p. 348-349
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 高橋 保雄
    1963 年7 巻4 号 p. 350-351
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 釜野 静也
    1963 年7 巻4 号 p. 351-353
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 須貝 悦治
    1963 年7 巻4 号 p. 353-355
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 玉木 佳男
    1963 年7 巻4 号 p. 355-357
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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