日本応用動物昆虫学会誌
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7 巻, 2 号
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  • 第1報 フジコナカイガラムシ越冬幼虫の行動
    上野 晴久
    1963 年 7 巻 2 号 p. 85-91
    発行日: 1963/06/15
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    フジコナカイガラムシの越冬幼虫が,春に芽に移動寄生するとき,どのような寄生のしかたをするかを,18年生の富有ガキを材料として調査を行なった。
    1. 1本の樹について樹全体の枝の調査をしたところ,結果母樹総数206本,総芽数460芽で,これに寄生していた総虫数は489頭であった。
    2. 芽および結果母枝単位の分布型をみるとP-E分布によく適合した。
    3. 頂芽における寄生率は他の芽にくらべて著しく高かった。
    4. 長い結果母枝程1結果母枝当りの虫数は多かったが,特に31cm以上の結果母枝には目立って多い。
    5. 総結果母枝数から割り出した一定数の任意抜きとり調査は,単なる1芽あるいは1結果母枝平均虫数では全枝調査と大差なかったが,分布型,芽順別1芽当り虫数,長さ別の1結果母枝当り虫数などで差が出てくる。
    6. 時期別に分布型をしらべてみると,全枝調査ではつねにP-E分布を示したが,一定数任意抜きとり調査では,高密度のときと低密度のときで,分布型が異ってくる。
    7. 時期別の幼虫生存率は頂芽のものが他の芽のものにくらべて著しく高い。
  • 大串 竜一
    1963 年 7 巻 2 号 p. 92-96
    発行日: 1963/06/15
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Citrus flat-headed borer, Agrilus auriventris auriventris, is an important citrus pest in southern Japan. Sometimes this species increases in a restricted area and heavily infests citrus trees.
    In this paper, the author wishes to show the development of ovary of these adult beetles rearing in glass vials under laboratory conditions. The beetles that emerged from Hassaku orange tree in August and September were used for dissection of ovaries.
    The longevity of adult beetles that fed on citrus leaves was about 10 days average, and 5 days without any food. The eggs were not observed in ovarioles just after the time of the adult emergence. In feeding individuals, the ovum was formed in 5 or 6 days after emergence. But the full grown eggs were observed in 8 or 10 days and the oviposition began in 10 or more days after emergence. On the other hand, in individuals without food, any full grown ovum was not observed.
    From these observations, it seemed that the eggs in the ovary of these beetles were formed slowly and many of the individuals could not live out to meet the time of oviposition.
  • 第1報 実験用ネズミ類についての基礎的研究
    北川 晴雄, 岩城 利一郎, 斎藤 晴夫, 望月 正巳, 竹田 隆昌, 鈴木 外史晴, 敦賀 正教, 稲塚 直数, 小川 浄
    1963 年 7 巻 2 号 p. 97-101
    発行日: 1963/06/15
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    According to the previous findings that coumarin-3-carboxylic acid and 6-coumarinylamine coumarin-3-carboxylate have a strong hypothermal action and toxic action to rats, a study was made in an effort to apply these compounds as rat poisons. These compounds and in addition, thallium coumarin-3-carboxylate have superior toxic effect on rat (Rattus norvegicus var. albinus) and mouse (Mus musclus), and have a little toxicity for domestic animals such as dogs and cats. Thus, there may be a possibility of application of these coumarins as rat poisons for practical use.
  • 第1報 一定時間内の行動様式について
    奥井 一満
    1963 年 7 巻 2 号 p. 102-108
    発行日: 1963/06/15
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1. 家蚕の集合性行動の存在を確かめるため,1961∼1962年の四飼育期に,(支124×日124), (2:4×5:4),および(銀白×瑞光)の三品種を用い,季節間,令期別に検討した。
    2. 桑を与える前の個体を,桑を除いた平面に,等間隔で分散して置き,60分間にわたって各個体の行動を観察し,また単独個体として存在する個体数を5分毎にかぞえた。60分後における非集合個体の全個体に対する百分率は,1961年夏30.9%, 1961年秋12.6%, 1962年春19.6%, 1962年夏10.8%であった。このことは逆にそれぞれ,69.1%, 87.4%, 80.4%, 89.2%の集合率を示すことになる。
    3. 実験開始後30分位までに,単独個体は急減,2個体の接近,接触が起り,その後より大きな群に発展する傾向が強いが,大群とはならず4∼6個体を中心とした小群がいくつかできる。
    4. 一度接触を経験した個体は,第二体節以上を左右にふる行動や移動行動などを停止し,静止状態に入る場合が多い。
    5. これらの傾向は,季節(品種),令期の間に著しい差は無く,家蚕個有の性質といえる。しかし令期間では,若令期程活発に動きまわり短時間に集合するが,再び分散する量も多く,老令期はその逆で単独個体の減る率は遅いが,最後には高い集合率を示す傾向にある。
    6. これらのことはklinotaxicな行動が,試行錯誤運動を続けるうちに,接触する機会を生じて集合する結果となることを示している。
    7. 以上の結果から,家蚕には集合性行動の存在することが確認された。
  • 金光 桂二
    1963 年 7 巻 2 号 p. 109-112
    発行日: 1963/06/15
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Seasonal variation of population of the pine shoot moths and their hymenopterous parasites in Aichi, Central Japan, was determined by examining the infested shoots collected from plantation of the Japanese black pine, Pinus Thunbergii PARL. Throughout a year, Evetria cristata WALSHINGHAM was the dominant species among four species of pine shoot moths found, and responsible for a large part of infestation in the pine shoots. Rhyacionia duplana simulata HEINRICH was the sub-abundant species, particularly in June and July, but level of population densities of Dioryctria splendidella and Eurhodope sp. were the lowest throughout a year. Among the hymenopterous parasites, Lissonota evetriae UCHIDA, Temelucha sp. and Pediobius sp. were fairly dominant.
  • 桐谷 圭治, 法橋 信彦, 木村 勝千代
    1963 年 7 巻 2 号 p. 113-124
    発行日: 1963/06/15
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    2m3の網室4個を水稲圃場内に設け,5令幼虫を収容して,羽化成虫雌71,雄65について日令別産卵数,生存率,不妊率をしらべた。調査は3日間隔でおこない成虫には個体識別をほどこした。卵は調査ごとに計数して取除き,個体ごとの生死,交尾行動を記録した。産卵と交尾の関係を網室と同じ世代の成虫,すなわち15対(第1世代),27対(第2世代)を使用して毎日しらべた。
    網室内の成虫寿命は雄18.7±14.2日,雌27.5±19.2日,実験室内では雄36.6±10.9,雌45.4±12.2で前者は後者の約半分であるが,変異係数は逆に約2倍に達する。網室内での生存曲線は初期に高い死亡がみられるが,それ以後は約60%が死亡する時期までほぼ一定で,最後に日令とともに急激に死亡がおこる。羽化前後の死亡率は5令期中に10%,羽化直後の期間に13.4%と見積られた。
    成虫の性活動には個体間に大きな変異がみられ,雌雄とも半数以上の個体は交尾行為が観察されなかったが,雄では10回中7回,雌では11回中4回も交尾中であったものもふくまれている。雌の交尾行動は産卵と密接な関係があることから,実験室内でえられた雌の交尾頻度と不妊率の関係を使用して野外網室内の雌の不妊率を推定した。その結果雌の33%は産卵前期間中に死亡し,10%は寿命や外観上から正常個体と区別できないが,生理的原因による不妊雌と推定された。産卵雌のうちよく産卵するものは少くとも3卵塊を産む。雄のなかにも雌と同じ程度に性的に弱い個体があることも交尾頻度から推察される。
    高密度条件で平均産卵数が減少することは広く知られているが,これはたんに1雌当りの産卵数の減少と考えるべきでなく,産卵雌当りの平均産卵数の減少とあいまって不妊雌率の増加も考えあわすべきである。生命表からえられた卵より成虫羽化までの死亡率と,ここでえられた日令別産卵数,生存率を使用して世代当り増加率(R0)を計算すると第1世代では0.4,第2世代では2.4となり第1世代の減少が,おもに早期水稲で成育する第2世代の高い増殖率によって補償されている。発育期の死亡率が97.57%のときは個体群密度は世代間で平衡を保つ。ことなる発育期間および死亡率を仮定したときの自然増殖率(r)の価を他の昆虫のそれと比較するため示した。
  • 第1報 機械的剌戟にたいする幼虫の反応
    巌 俊一
    1963 年 7 巻 2 号 p. 125-131
    発行日: 1963/06/15
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    アワヨトウの相変異についてはさきに詳しく報告したが(巌,1962),高密度型と低密度型の行動上の相違については十分の分析が行なわれていなかった。本報では低密度の時みられる淡色型幼虫と高密度下で生ずる黒色型幼虫の,機械的刺戟に対する反応のちがいについて報告した。
    螢光灯照明下において一定の高さから幼虫を落下させるといわゆる偽死反応を示し,ついで逃避行動を起こす。淡色型幼虫では偽死の時間が長くしばしば5分以上にも及ぶが,黒色型幼虫では大部分1分以内に逃避行動にうつり,全く偽死反応を示さないものもある。この傾向は幼虫を1匹ずつ落下させても,数匹一度に落下させた場合でもかわらないが,後者では偽死の時間がやや短縮される。偽死から回復した後淡色型幼虫は暗所に向う傾向がつよいが,黒色型幼虫は光条件にそれほど影響されない。しかし,数匹まとめて落下させた場合には,前者にみられる負の光反応は不明瞭になり両型の差がなくなる。
    一方,植物上の幼虫に秒速5.5mの強い風を作用させると,この風による攪乱刺戟は偽死反応を誘起させるようには働かず,かえって植物上につよく密着しようとする行動を起させる。この植物への付着能力の点では淡色型幼虫の方が勝っている。
    以上の結果は,低密度型(淡色)幼虫が不活発で非移動的であり,高密度型(黒色)幼虫が活動的で移動性に富むという特性のちがいを反映したものとみることができる。
  • 伊藤 嘉昭, 平野 千里
    1963 年 7 巻 2 号 p. 132-139
    発行日: 1963/06/15
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    トウモロコシアブラムシはオオムギ,トウモロコシなどイネ科植物の害虫として知られているが,コムギにはほとんど寄生しない。栄養条件の異なる3区のコムギおよびオオムギ苗(無窒素砂耕区,高窒素砂耕区,施肥土壤区)における個体群増殖,生存日数および産仔数を調査した。
    1. どのような栄養条件下でも,オオムギ区のアブラムシはコムギ区のアブラムシにくらべて速かに個体群を増し,生存日数は長く,また産仔数も多かった。
    2. オオムギ区の間では,無窒素区での個体群増殖が高窒素区や施肥土壤区にくらべてやや劣っているが,生存日数や全産仔数は寄主の栄養状態によってほとんど影響をうけていない。
    3. コムギ区の間では,無窒素区ではゆっくりと個体群を増加したが,高窒素区や施肥土壤区ではほとんど増加せず大部分は絶滅した。またリーフ・ケージで生存日数や産仔数をしらべたところ,無窒素区が最も高く,以下高窒素区,施肥土壤区の順であった。
    4. 以上の結果を総合すると,トウモロコシアブラムシの寄主としての好適性は次の順となる:施肥土壤区オオムギ=高窒素区オオムギ>無窒素区オオムギ>無窒素区コムギ>高窒素区コムギ>施肥土壤区コムギ。
    5. コムギ苗の寄主としての好適性は苗体中の糖分と正の相関をもち,窒素含量と負の相関をもつようである.
    6. コムギ苗はトウモロコシアブラムシに対して抗生的に作用する物質を含有している可能性が示唆される。その物質の合成能あるいは活性は,窒素欠乏条件下では抑制されるのではないであろうか。
  • 富沢 長次郎
    1963 年 7 巻 2 号 p. 140-149
    発行日: 1963/06/15
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    滲透性殺虫剤O, O-dimethyl S-isopropyl-2-sulfinylethyl phosphorothiolateおよびその同族体の植物体における残留性を32P-標識殺虫剤を使用して調べた。本殺虫剤をミカンおよび水稲に施用すると,噴霧,バンディング,浸根処理などの処理方法の如何にかかわらず,植物体に吸収され体内を移行する。32P-標識殺虫剤を施用した植物体内の放射性物質のクロロホルム-水間の分配係数から,その分解程度を調べると,ミカンでは噴霧もバンディングも同じような分解経過を示した。また果実内における分布は果汁より果皮に濃縮される傾向を示した。リンゴにバンディング処理した場合,殺虫剤および分解産物の先端葉への集積はミカンの場合に類似するが,分解速度はミカンに比較して遅かった。殺虫剤を大根およびビートに噴霧した場合,その行動は両植物間で異なり,根への移行はビートより大根において少ない。また根における分解程度は両植物とも葉におけるよりも大であった。殺虫剤溶液に水稲根を浸漬すると,急速に吸収され葉鞘を通って葉身に集積した。移植後の水稲苗のポットの水に殺虫剤懸濁液を加えると,殺虫剤は葉鞘から吸収され葉身へ移行するが根への移行は極めて少ない。植物体内における殺虫剤の活性物質の代謝様式はシストックスのチオール異性体の場合と同じように殺虫剤のmercaptosulfur部分がsulfide→sulfoxide→sulfoneの変化をたどる。水溶性分解産物として無機燐酸およびdimethyl phosphoric acidが検出されたが,両化合物の生成割合は,供試植物間で相違が認められた。
  • 高楠 武正, 山内 寿美子
    1963 年 7 巻 2 号 p. 151-152
    発行日: 1963/06/15
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    局所施用法によって,エチルパラチオンに対するニカメイチュウの耐薬力を検定する場合,LD-50(μg/g)は,幼虫の体重によって変動し,一定の値が得られない。LD-50は幼虫の重さ以外に,幼虫の表面積にも関係があると考えられる。表面積の代りに体重の3分の2乗を用いて,LD-50(μg/g・cm2)を求め満足すべき結果を得た。
  • 松沢 寛, 小浜 礼孝, 豊村 啓輔
    1963 年 7 巻 2 号 p. 153-154
    発行日: 1963/06/15
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 梅谷 献二, 今井 栄一
    1963 年 7 巻 2 号 p. 154-156
    発行日: 1963/06/15
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 第2報 野生および半野生ネズミについての基礎的研究
    望月 正巳, 北川 晴雄, 岩城 利一郎, 斎藤 晴夫, 竹田 隆昌, 鈴木 外史晴, 敦賀 正教, 稲塚 直数, 小川 浄
    1963 年 7 巻 2 号 p. 157-158
    発行日: 1963/06/15
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 中田 正彦
    1963 年 7 巻 2 号 p. 159
    発行日: 1963/06/15
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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