膝窩動脈瘤に対する治療は通常のバイパス術に加え,最近血管内治療の報告が増加してきている.しかし,本症例のような大腿–膝窩動脈バイパス術後の仮性動脈瘤に対し末梢血管用ステントグラフト治療を行った症例は稀である.症例は82歳男性.閉塞性動脈硬化症で左外腸骨動脈–浅大腿動脈閉塞および右総腸骨動脈–外腸骨動脈狭窄を認め,7年前に当科で右浅大腿動脈–左膝窩動脈バイパス術および右総腸骨動脈–外腸骨動脈にステント留置を施行していた.1カ月前から左膝窩痛・腫脹を自覚し,造影CTにて末梢吻合部仮性動脈瘤を認めた.患者は高齢であるためVIABAHN(W. L. Gore, Flagstaff, AZ, USA)の血管内治療を選択した.全身麻酔下に大腿人工血管アプローチで末梢用ステントグラフトVIABAHNをグラフト末梢吻合部に留置した.合併症を認めず,術後5日で退院した.
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