日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2189-4760
Print ISSN : 1881-7319
ISSN-L : 1881-7319
21 巻, 3 号
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
教育講演Ⅴ
  • 塩谷 隆信, 佐竹 將宏, 玉木 彰, 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 本間 光信
    原稿種別: 教育講演
    2011 年21 巻3 号 p. 175-185
    発行日: 2011/12/28
    公開日: 2016/07/05
    ジャーナル フリー
    COPD患者では高頻度に栄養障害が存在し,呼吸機能,感染防御能,運動耐容能の低下に深く関与し,さらに予後とも関連している.こうしたことから,栄養療法は,COPD治療・管理における重要な治療戦略と考えられている.栄養療法は,栄養アセスメントに始まり,栄養指導,栄養補給療法などがNSTを中心として栄養リハビリとして包括的に実施される.しかし,COPDの栄養療法に関するメタアナリシスでは,栄養補給療法単独での十分な有用性は確認されていない.
    近年の栄養学の進歩により,抗炎症作用を有する栄養補助食品およびBCAA強化補助食品などが開発されている.また,栄養療法と運動療法の併用の有用性などが報告されてきた.今後,わが国においては,多施設多数例における栄養補給療法や栄養リハビリに関する臨床研究が行われ,その成績を基にして,COPDにおける栄養療法が日常診療の場で,いっそう普及することが期待される.
教育講演Ⅶ
  • 山本 善裕, 飯田 哲也, 河野 茂
    原稿種別: 教育講演
    2011 年21 巻3 号 p. 186-190
    発行日: 2011/12/28
    公開日: 2016/07/05
    ジャーナル フリー
    人工呼吸器関連肺炎(Ventilator-Associated Pneumonia:VAP)は肺炎のなかでもきわめて重篤な疾患である.臨床症状と微生物学的検査等から迅速に診断し,適切な治療を行うことが重要である.VAPの合併により死亡率や入院期間,医療費が増加することが知られており,発症予防が特に重要である.呼吸ケアチームが人工呼吸器管理下の患者を定期的に診察し,医療者に適切な指導・助言を行うことにより,VAPの減少や人工呼吸器装着期間の短縮,再挿管率の減少など,患者の生命予後を改善することが診療の基本となろう.
教育講演Ⅷ
  • 田平 一行
    原稿種別: 教育講演
    2011 年21 巻3 号 p. 191-196
    発行日: 2011/12/28
    公開日: 2016/07/05
    ジャーナル フリー
    吸練習,リラクセーションなどコンディショニングのエビデンスは弱いとされているが,臨床的には著効を示す症例もある.呼吸器疾患患者の運動制限因子は,換気障害,低酸素血症が主体ではあるが,循環器,骨格筋などの影響も大きく,改善のメカニズムは健常者とあまり変わらない.マニュアルを踏まえつつも「運動を制限している要因は何か」を症例ごとに評価し,コンディショニングを含めたアプローチを考えるべきである.
教育講演Ⅺ
ワークショップⅢ
ワークショップⅣ
ランチョンセミナーⅢ
  • 井上 登太
    原稿種別: ランチョンセミナー
    2011 年21 巻3 号 p. 238-244
    発行日: 2011/12/28
    公開日: 2016/07/05
    ジャーナル フリー
    高齢化に伴い老人性肺炎,誤嚥性肺炎の増加は非常に大きな問題とされている.嚥下食の問題として,一般的に使用されている増粘剤やゼリーの特徴の理解が必要であり,病態の問題として,誤嚥性肺炎の4病態それぞれ発生原因・治療方法が異なることを覚えておく必要がある.さらに,リスク管理として,多くの全身的要因により影響され慢性的経過をとることが多いことを忘れず,全身状態・評価環境と摂食環境を併せた総合的な判定が重要である.
    これらを踏まえ,多職種の協力とチーム内の認識統一,本人・家族の希望,社会的状況,残存機能を踏まえた指導内容の決定,予防,早期治療のため地域啓発,医療・介護職の知識・技術の啓発を含む包括的呼吸嚥下リハビリテーションが進められている.
ランチョンセミナーⅩ
原著
  • ─運動習慣測定器による検討─
    濱田 麻紀子, 植田 聖也, 阿部 聖裕, 渡邉 彰
    原稿種別: 原著
    2011 年21 巻3 号 p. 250-253
    発行日: 2011/12/28
    公開日: 2016/07/05
    ジャーナル フリー
    当院に外来通院中の安定期COPD患者16名(男性13名,女性3名,平均年齢70.0±9.7歳)を対象に,運動習慣測定器を用いて,1日の歩数と栄養状態・呼吸機能・ADL・運動耐容能・HRQOLとの関連を検討した.平均歩数4,000歩/日以上の群(H群8名)と4,000歩/日未満の群(L群8名)間で各項目について分析した結果,H群において%FEV1.0,TP値,Alb値,Shuttle Walking Test Distance(SWTD)が有意に高値を示した.また,歩数とSWTDとの間で,強い相関関係(r=0.79)がみられた.さらに,在宅用NRADLの全項目,SF-36v2の,PH(身体機能)・GH(全体的健康感)の2項目でH群が有意に高値を示した.以上より,安定期COPD患者において,1日の歩数を測定することは,運動耐容能やHRQOL等を推測する簡便で有用な一手段になりうる可能性が示唆された.
  • 佐々木 由美子, 藤本 進, 久保 規彦, 光國 若也, 牛村 美穂子, 八家 方代, 中林 健一, 井上 義一, 鈴木 克洋, 林 清二
    原稿種別: 原著
    2011 年21 巻3 号 p. 254-258
    発行日: 2011/12/28
    公開日: 2016/07/05
    ジャーナル フリー
    6分間歩行試験(6-minute walk test: 6MWT)は運動耐容能の評価法として汎用されているが,一定のリスクがある.当院では6MWTに加えて6分間マイペース歩行試験(6-minute voluntary walk test: 6MVWT)も実施し比較している.今回われわれは特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonias: IIPs)患者における6MVWTの意義を後ろ向きに検討した.その結果,6MVWTはより安全に施行でき,また歩行距離において6MWTに比べ優る群が存在した.この群は有意に高齢で%DLcoが低値であった.また同群は6MWDと6MVWDの差が小さく,この患者群にとってマイペース歩行とは,より長く歩くための最適歩行速度であることが示唆された.6MVWTは高齢で%DLco低値群において安全な代替法となりうる.
  • 大我 仁美, 小野 清子, 野崎 博美, 北川 知佳, 宮本 直美, 角野 直, 城石 涼太, 力富 直人
    原稿種別: 原著
    2011 年21 巻3 号 p. 259-263
    発行日: 2011/12/28
    公開日: 2016/07/05
    ジャーナル フリー
    呼吸リハビリテーション目的で入院した慢性肺疾患患者55名を対象に,24時間SpO2モニタリングと万歩計を用い入院時と退院前で比較検討した.退院前の歩数は入院時と比較すると増加しており運動量の増加がみられたが,それに伴うSpO2値の低下はなかった.ADL指導においてSpO2モニタリングと万歩計評価を活用することは,実際の活動量や低酸素血症を確認でき,看護師が個別にADL指導を行ううえで有用と考えられた.
  • 堀江 淳, 村田 伸, 林 真一郎, 村田 潤, 宮崎 純弥, 大田尾 浩, 溝田 勝彦, 堀川 悦夫
    原稿種別: 原著
    2011 年21 巻3 号 p. 264-269
    発行日: 2011/12/28
    公開日: 2016/07/05
    ジャーナル フリー
    居宅高齢者における運動習慣の呼吸機能,呼吸筋力,6分間歩行距離(6MWD)への影響をみた.対象を運動習慣の有無で2群に分類した.呼吸機能,呼吸筋力では有意差はないが,後者はあり群で高値となる傾向を示した.6MWDに影響する要因は,あり群で最大吸気口腔内圧,FEV1.0,なし群でFVCであった.居宅高齢者において運動習慣を確保することは,呼吸筋力を増加させる効果も加わり,運動耐容能を維持,増進させる可能性が示唆された.
総説
  • 山下 芳典, 原田 洋明, 竹中 千恵, 吉川 幸織, 高橋 雄介, 松川 洋平, 道広 博之, 大河内友美 , 坪井 和美, 白野 容子
    原稿種別: 総説
    2011 年21 巻3 号 p. 270-276
    発行日: 2011/12/28
    公開日: 2016/07/05
    ジャーナル フリー
    経鼻胃管(NG)から経腸栄養(EN)を施行すれば,肺炎に罹患する危険性は高まるのか?ICUに収容された急性期の患者なのか,あるいは脳血管障害の後に嚥下障害が発症した慢性期の患者なのか,患者の背景を明確にする必要がある.欧米では古くから多くの後ろ向き研究の報告があるが,総じてNGと嚥下性肺炎の関連性ありとされてきた.一方,前向き試験においては,大規模で各群がうまくマッチされ無作為に割り付けられた報告はみられない.前向きの無作為比較試験において,ENを施行するにあたりNGの口径を細くしたり,小腸に留置することにより嚥下性肺炎を予防する効果は認められなかった.現在までのところ,NGが嚥下性肺炎を誘発するとの決定的な証拠はなく,その因果関係は不明と考えざるをえない.NGが挿入されENが施行される場合には,その管理が最も重要であるが,薬剤や口腔ケアなどさまざまな予防対策を講じる必要がある.
feedback
Top