有機農業研究
Online ISSN : 2434-6217
Print ISSN : 1884-5665
最新号
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【巻頭言】
【特集】第24回大会 地域セッション
【特集】第24回大会 特別セッション
【論文】
  • 松平 尚也
    2024 年 16 巻 1 号 p. 29-39
    発行日: 2024/06/28
    公開日: 2025/07/22
    ジャーナル フリー

    本研究では,日本の有機農家の農場実践に関する聞き取り結果を,欧州の農業社会学のプルフ小農論の概念である共同-生産と自立/自律性の視点から分析と考察を行った.

    その結果,有機農家らの農場実践が共同-生産の要素である農業生産における社会的関係が鍵となり展開し,自然資源と社会資源の活用において均衡し,相互作用・変換し,それぞれの有機農業を形成していることが確認された.

    有機農業現場を担う有機農家らが農場実践の中で,小農や家族農業という形態を自らの農業と自然資源,社会資源の維持・保全の側面から評価していることが観察された.その有様からは有機農業の再定義の方向性が示された.また農業の大規模・企業化による影響や農業資源の維持・保全という観点から批判的意見が形成されており,それに対する小農や家族農業への評価が同時的に観察された.

  • 加藤 孝太郎, 奈良 吉主, 横田 克長, 秋山 博子
    2024 年 16 巻 1 号 p. 40-57
    発行日: 2024/06/28
    公開日: 2025/07/22
    ジャーナル フリー

    草質堆肥と培養土(GOF区),牛ふん堆肥(CMC区),化成肥料(CF区)を施用して,年2作,17年間キャベツ栽培した試験区のメタン(CH4)および一酸化二窒素(N2O)フラックスと土壌理化学性の調査,さらにメタンモノオキシゲナーゼ遺伝子(pmoA)とアンモニアモノオキシゲナーゼ遺伝子(amoA)の多様性および分子系統解析を行った.GOF区のCH4吸収量は有意に多く,土壌の仮比重や孔隙率と相関が認められた.GOFおよびCMC区のpmoAMethylocaldum属およびMethylocystis属と,CF区ではMethylocystis属と近縁だったが,CMCおよびCF区には非培養法で検出された遺伝子にも近縁なものがあった.GOF区では土壌中へのCH4の拡散が増え,MOB群集が発達した可能性が考えられた.N2O排出量は試験区間で有意差は認められなかったが,施肥N量に対するN2O排出量の割合はGOF区が最少で,GOF区とCF区に有意差が認められた.アンモニア酸化細菌のamoAは,GOFおよびCMC区はNitrospira属やNitrosomonas属と近縁だったが,CF区の多くは非培養法で検出された遺伝子と近縁だった.アンモニア酸化古細菌のamoAは,各試験区とも多くが非培養法で検出された遺伝子と近縁だったが,GOFおよびCMC区とCF区では遺伝的に遠かった.GOF区の施肥N量に対するN2O排出量の割合が最少だったことには,これらアンモニア酸化に関する微生物性の差異が影響していたことが示唆された.

【調査論文】
  • 稲垣 栄洋, 岩瀬 結子
    2024 年 16 巻 1 号 p. 58-68
    発行日: 2024/06/28
    公開日: 2025/07/22
    ジャーナル フリー

    有機茶栽培の拡大を阻害する要因に,除草作業がある.本調査では,20年以上前から先駆的に有機茶栽培を行なう農家を対象として除草方法の実態を調査した.その結果,有機茶農家の除草方法は,徹底的に除草を行なう「徹底管理」だけでなく,できるだけ除草を行なわず大きな雑草だけ除草する「粗放管理」,畝間を広くして草刈り機械で管理をする「機械管理」のように雑草を生やす管理をする農家が見られた.徹底管理の畝間では雑草の被度が小さかったが,畝頭では有害雑草やつる性雑草が多くなるリスクが認められた.粗放管理はススキやコセンダングサ等の大型の雑草が発生するが,雑草の被度は小さかった.機械管理は,ミドリハコベが優占し,有害雑草の被度は小さかった.

【書評】
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