調査紙法を用いて, 2選択肢N人対等ゲームにおける選択行動を網羅的に調査した。瀧川 (1989) が開発したゲーム分類法に基づいて, 11人のプレイヤー用のゲーム39種が2組用いられた。1組は線形利得関数 (L条件), もう1組は2区間定値利得関数 (S条件) で作成された。39種のゲームは利得関数の4つの端点値の組合せによって定義され, ゲームの各々は端点水準とあらわす4個の英字 (A>B>C>D) によって識別される。
被験者は132人の大学生で, それぞれランダムに2つの条件のいずれかにあてられた。
Table 3は選択結果と7点尺度上で評定された難易度の結果を示している。これらの結果は2条件でほとんど差がなかった。利得和の観点から被験者の選択を評価するために効率の要素が計算された。Fig. 1と2は効率を縦軸に, 難易度を横軸にとって, 各条件の39種のゲームが2次元上でどのように分布しているかを示している。この2次元上の分布から, 各ゲームは4つのカテゴリー, 高難易度-高効率, 高難易度-低効率, 低難易度-高効率, 低難易度-低効率, のいずれかに分類された。また, N人PD (DBCA) に加えて, 自明ではない注目すべきゲームとして, BBBA, CABA, CBAD, CBCAなどがあることが指摘された。
被験者によって選択時に言語報告された選択理由から7つの選択動機が抽出された。選択肢の型, maximax, minimax, 利得和, α基準, β基準, 格差基準である。Table 4はこれら7つの動機によって各ゲームでいずれの選択肢が選好されることになるかを要約している。この知見に基づいて, 等価的ディレンマと排他的ディレンマが区別され, コンフリクトとの関係が考察された。最後に実験ゲーム研究の方法論が議論された。
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