実験社会心理学研究
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25 巻, 1 号
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  • 仮定された類似性をめぐって
    今川 民雄
    1985 年 25 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1985/08/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は, 好ましい他者の価値態度を認知する際, 仮定された類似性が実際の類似性よりも大きいという仮説を, 3種類の指標に基づいて検討すると同時に, 3種の指標間の関連についても検討した。
    被験者は大学生の男女50名づつ計100名である。価値態度はGordon &菊池 (1974) の個人的価値尺度 (KG-SPV) を用いた。実験は集団で行なわれ, 被験者は2部のKG-SPVテスト用紙に, 自己の価値態度と, 同じ大学内で最っとも好ましい同性の友人の価値態度についての推測を, 別々に記入した。
    結果は, (1) 個人内の相関係数に基づく指標, (2) 個人内の価値態度別の, 評定間の差の絶対値に基づく指標, (3) 価値態度別の全体の相関係数に基づく指標の3種の指標によって分析された。結果は次の通りである。
    1) 仮定された類似性が実際の類似性よりも大きいという仮説は, 3つの指標のいずれにおいても支持された。
    2) 3種の指標間の関連を検討したところ, 差の絶対値に基づく指標と全体の相関係数に基づく指標との間には密接な関連が見られた。しかし, 個人内の相関係数に基づく指標は, 他の2つの指標とは関連がみられなかった。
  • 松原 敏浩, 林 文俊
    1985 年 25 巻 1 号 p. 7-16
    発行日: 1985/08/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究では, リーダーシップ行動と認知されたリーダーのパーソナリティ (性格特性, リーダー資質) との関連性を, 職務特性による仲介効果を考慮しながら検討した。調査対象者は, 3つの企業 (製造業) に勤務する一般作業員230名。
    得られた主な結果は, 次のとおりである。
    1. リーダーの性格特性に関した認知次元としては, 「親近性」, 「人のよさ」, 「仕事への自信」, 「親分的貫禄」と命名される4つの因子が抽出された。これらの4因子は, 林 (1978, 1979) のいうパーソナリティ認知の基本3次元の枠組から捉えることが可能であった。
    2. リーダーの資質に関した認知次元としては, 「部下中心志向」, 「仕事中心志向」, 「自己中心志向」, 「対人関係志向」といった4つの因子が抽出された。
    3. リーダーのM行動と認知されたパーソナリティとの間には, 比較的強い関連性が認められた。それに対してP行動は, 8つの認知次元のうちで, 「仕事への自信」ならびに「仕事中心志向」とのみ関連性を示した。
    4. 認知されたパーソナリティは, PM型リーダーが概して高評価を受けているのに対して, pm型リーダーのそれは, 低いものであった。また, M型リーダーは, 《力本性》や「自己中心志向」といった次元で高く認知される傾向にあった。
    5. 職務特性の仲介効果は, 〈多様性〉とく協力の必要性〉の2特性について検討されたが, 結果は, 職務特性の種類によってその効果が異なることが示された。すなわち, 認知されたパーソナリティとP行動と関連性には〈協力の必要性〉が, M行動との関連性には〈多様性〉が相対的に大きな仲介効果を示した。
    最後に, 本研究で得られたリーダーに対するパーソナリティ認知次元, リーダーシップ行動とパーソナリティ認知との関連性に及ぼす職務特性の仲介効果などについて討論がなされた。
  • 廣岡 秀一
    1985 年 25 巻 1 号 p. 17-25
    発行日: 1985/08/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は, 社会的状況がどういった次元上で認知されているか, といった問題からアプローチし, 状況認知における性差について検討することを目的とした。
    大学生男子58名, 女子58名の被験者が, 30種の状況をその相互類似性に基づいて分類した。さらに, 被験者は個々の状況を12対の状況評定尺度上で評定するよう求められた。
    得られた主な結果は以下の通りである。
    状況評定資料の分析から, 親密性, 課題志向性, 不安の3次元が抽出された。また, 同資料のINDSCALモデルによる分析から, 不安次元においては女性が, 課題志向性次元においては男性が, より大きなウェイトを置いていることが明らかとなった。
    加えて, これらの分析の対象となった状況評定尺度の妥当性について, 状況の分類資料から得られた構造上にこれらの尺度を回帰させることにより吟味された。その結果, 本研究で用いられた尺度の妥当性はかなり高いことが明らかにされたが, 同時に, これらの尺度からは抽出しえない認知次元が存在する可能性も示唆された。
  • 認知的複雑性, 対人的志向性, 集団の成功領域の効果をめぐって
    浦 光博
    1985 年 25 巻 1 号 p. 27-35
    発行日: 1985/08/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    The purpose of this study was to examine the effects of some individual traits and a situational factor on causal attribution processes for group success. One hundred and three undergraduates read a story about either interpersonal or task success which resulted from group activities of a university tennis team. And then subjects were devided into either a high or a low cognitive complexity group and a high or a low interpersonal orientation group, on the basis of their scores on two questionnaires. Therefore, factorial design was 2×2×2. Results indicated that (1) cognitively simple individuals tended to attribute success more to a leader's ability, especially for task success, than cognitively complex individuals, (2) cognitively complex and highly interpersonaloriented individuals, when attributing for task success, tended to attribute success more to a subordinate's ability than cognitively simple and low interpersonal-oriented individuals attributing for interpersonal success. Furthermore, cognitively simple individuals were found to attribute cause more differently from leader to subordinate for interperspnal success than for task success. Causal attribution processes of cognitivly complex individuals were found to be even more complex than those of cognitively simple ones.
  • schema incongruityがメタ認知的感情の喚起に及ぼす効果
    桑原 尚史
    1985 年 25 巻 1 号 p. 37-46
    発行日: 1985/08/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究では, 感情のなかでも, その喚起および表出にメタ認知過程を媒介とする感情をメタ認知的感情とよび, そしてそのなかでも, 認知に対して促進作用をもつpositiveな感情をとりあげ, その喚起過程を検討することを目的とした。
    研究1では, 不一致とメタ認知的感情との関係を検討することを目的とし, ここでは不一致の程度が増加すれば, メタ認知的感情の強度も増加することが示された。
    研究2では, 不一致に対する解決方略とメタ認知感情との関係を検討することを目的とし, ここでは, 解決方略が複雑になるにつれてメタ認知的感情の喚起が高まることが示された。
    これらのことより, メタ認知的感情は, 不一致の程度およびそれに対する問題解決によって決定されることが示唆された。そして, 本研究においては, メタ認知的感情は, 不一致の程度が増加し, 解決可能性が低くなればなるほどその強度は増加することが明らかにされた。すなわち, メタ認知的感情が喚起されるのは, スキーマによってなされる期待あるいは予期と, 認知との間に何らかの“ずれ”が生じたときである。そして, その強度は, 不一致の程度およびその解決に用いられる解決方略によって決定されることが示された。
  • 広瀬 幸雄
    1985 年 25 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 1985/08/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    洗剤汚染, ゴミ問題, 渇水というコミュニティの環境問題は, 公的利益と私的利益が対立する共有地の悲劇事態と考えられる。本研究の目的は, これら環境問題における消費者の対処行動とその規定因の因果連関を明らかにすることである。
    57名の男子大学生に, 洗剤, ゴミ, 渇水の各仮想事態を提示したのち, 各事態毎に, コミュニティ全体の動向予測, 予想される事態の深刻度と生起可能性評価, 対処行動の有効性評価, 対処行動の意図を評定させた。
    パス解析によって得られた各事態での対処行動と規定因の因果連関は次のとおりである。
    洗剤問題では, 全体の動向予測→深刻事態の生起可能性→事態の深刻度→対処行動の意図, 全体の動向予測→対処行動の意図に有意な連関がみられた。
    ゴミ問題では, 全体の動向予測→生起可能性→深刻度→行動意図, 全体の動向予測→行動意図, 有効性評価→行動意図に有意な連関がみられた。
    渇水問題では, 生起可能性→深刻度→行動意図, 全体の動向予測→行動意図に有意な連関がみられた。
  • 飯塚 雄一, 三島 勝正, 松本 卓三
    1985 年 25 巻 1 号 p. 53-63
    発行日: 1985/08/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究では, 面接場面において, 被面接者に面接者が見えるか見えないかということと話題の性質が, 被面接者のパラ言語にあらわれる流暢性にどのような影響を与えるかについて検討を行った。仮説としては, 1. 一般的話題より当惑的話題の場合に, 被面接者の発話において初発時間が長く, 無声休止, 有声休止, スピーチ混乱の割合が多くなり, 発話量が少なくなるであろう。また, 2. 一般的話題の場合には, ついたて条件より対面条件のときに初発時間が短く, 無声休止, 有声休止, スピーチ混乱の割合が少なくなり, また発話量は多くなるであろう。他方, 当惑的話題の場合には, 対面条件よりついたて条件のときに初発時間が短く, 無声休止, 有声休止, スピーチ混乱の割合が少なくなり, また発話量が多くなるであろう。
    被験者は92名の男子大学生で, 面接者は男子大学生2名であった。被験者は, 面接者が見える条件, ついたてがあって見えない条件および一般的話題と当惑的話題による2×2の4条件にランダムに割り当てられ, 面接を受けた。
    結果は, 仮説1については, スピーチ混乱率以外の変数について支持された。すなわち, 一般的話題より当惑的話題の場合に被面接者の発話の流暢性がそこなわれることが明らかにされた。仮説2は, 発話量 (発話時間, 発話語数) についてのみ支持された。つまり, 一般的話題の場合, ついたて条件より対面条件で発話量が多い方向になった。他方, 当惑的話題の場合には, 対面条件よりついたて条件で, 被面接者は多く話し, 発話がより流暢に進むことが確かめられた。
  • 岡本 真一郎
    1985 年 25 巻 1 号 p. 65-76
    発行日: 1985/08/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 渕上 克義
    1985 年 25 巻 1 号 p. 77-83
    発行日: 1985/08/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
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