この研究は, 山岳トンネルの事前設計と実施工における地山評価の不一致原因を明らかにすることを目的とした. 原因を, 1) 地質調査の技術的限界, 2) 地質情報の不足, 3) 地質技術者の地山解釈に関する個人差, 4) 地質, 設計および施工技術者の地山評価差の計4項目に集約した. 4項目の評価を行うため, 3本の既施工トンネルを例にとり, 弾性波速度および地質調査の再評価, 地質, 設計および施工技術者の地山評価に関するアンケート調査と面接を実施した. その結果, トンネル毎に事前設計から施工段階までの地山評価の実態が明らかとなった. 不一致は, 事前調査の量や質に依存するのみならず, トンネル毎の地質条件, 地質技術者の地質解釈, 施工の安全性評価等に起因することがわかった.
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