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矢川 元基, 秋葉 博
2000 年2000 巻647 号 p.
1-15
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
大規模計算力学への期待が高まっており, 研究成果も出つつある. 固体系, 流体系, 分子シミュレーションなど, あらゆる分野にわたって計算規模は大きくなってきており, これはコンピュータのパフォーマンスの向上を実需が追いかけている気配がする. 一昔前ならば考えられなかった大規模な計算により, 空間スケール, 時間スケールでの未知の現象の把握がなされようとしている. 本論文では大規模計算力学の現状をサーベイし, それによって今後の発展を占う.
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鋼構造委員会鋼構造震災調査特別小委員会
2000 年2000 巻647 号 p.
17-30
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
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基本理論と線形材料への適用
目黒 公郎, タグエルディン ハテム
2000 年2000 巻647 号 p.
31-45
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
著者らは, 構造物の大変形問題や完全に崩壊に至るまでの挙動を, 高い精度でしかも適正な計算時間で解析することを目的に, 新しい構造解析手法 (応用要素法) の開発を進めている. 提案モデルでは, 解析対象媒質や構造物は仮想的に分割された小要素の集合体として考え, 各要素の辺同士は法線方向と接線方向にそれぞれ分布型のばねで結合されている. 本研究では, モデル構築の第一歩として行った線形材料の微小変形領域を対象とした基本理論の構築と定式化について紹介し, さらに提案モデルを用いた解析結果と理論解を比較することでその高い精度を確認した.
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堀 宗朗, 山下 頼行
2000 年2000 巻647 号 p.
47-56
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
精密に制御された微小正弦波の入力と長時間のスタッキングによってS/N比を向上させるアクロステクノロジーを用いた, 構造部材のヘルスモニタリングシステムを提案する. このシステムは送信受信装置のネットワークによる測定と, 計測データから損傷を推定する逆解析からなる. 送信受信装置のプロトタイプを用いたモデル実験と, 逆解析の数値シミュレーションの結果, 部材中の損傷を同定しうることが示された. これは提案されたヘルスモニタリングシステムの実用化の可能性を示唆するものである.
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堀 宗朗, 須藤 敦史, 斎藤 芳人
2000 年2000 巻647 号 p.
57-66
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
高密度強震動測定のために, 防犯用ビデオカメラを用いた強震動の測定方法を提案する. 測定精度はある程度犠牲にするものの, ビデオカメラは簡便で管理が容易な計測装置として利用できる. 測定方法はビデオ画像の画像解析と逆解析に基づくものであり, 画像内の物体の動きをとらえ, その動きを引き起こした入力加速度を計算する. モデル実験等を行い二つの解析の妥当性を検討したところ, 入力加速度を評価しうることが示された. これは提案された測定方法の可能性を裏付けるものである.
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穴見 健吾, 三木 千寿, 谷 秀樹, 山本 晴人
2000 年2000 巻647 号 p.
67-78
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本研究では, 高強度鋼溶接継手部の疲労強度向上を目指して, 面外ガセット継手を対象に, 溶接止端部処理による疲労強度向上法である, TIG処理, ハンマーピーニング処理による疲労強度向上効果を検討した. また各処理による疲労強度向上メカニズムを主に溶接止端部における応力集中, 残留応力の低減効果の面から検討した.
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渡邊 英一, 杉浦 邦征, Walter O. OYAWA
2000 年2000 巻647 号 p.
79-95
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本研究では, 3次元地震動に対する構造物の安全性を議論する上で不可欠な繰り返し弾塑性挙動に及ぼす水平2方向載荷の影響に関して実験的な検討を行った. 対象構造物としては, 鋼製中空長方形断面橋脚柱を取り上げ, 上部構造の自重を考慮した鉛直力と水平地震動を想定した水平2方向力を橋脚柱頭に作用させ, その強度と変形能を明らかにした. なお, 水平力は, 水平2方向に変位制御で与え, 1方向変位履歴, 2方向比例変位履歴, 4種類の非比例変位履歴を考慮した. 実験結果から, 非比例変位履歴により, 剛性, 強度および変形能が著しく低減することが明らかになった.
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臼木 恒雄, 真木 有岳
2000 年2000 巻647 号 p.
97-110
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
動的1次せん断変形板曲げ理論として著名な Mindlin 板の理論を任意高次の板曲げ理論に拡張した. 逐次近似的手法でせん断ひずみを真の解に近づけるとき, 必然的に Legendre 関数の単位反り関数群が発生することを示し, それを板厚方向に積分することで単位せん断応力関数群を求めた. この2種類の基底関数から, 連成の無い板の反り抵抗 (慣性モーメント) マトリックスおよび帯マトリックスとなるせん断抵抗マトリックスを誘導した, Hamilton の原理から板の運動方程式を導出し, 希望する数だけの位相速度曲線群を描いた. 中高周渋数領域での収束値のずれは, 断面諸量および弾性係数を周波数の関数とすることで解決した. 2次元弾性論の厳密解として著名な Rayleigh-Lamb の位相速度曲線と本理論のそれを比較し良好な結果を得た.
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林 正, 渡辺 力, 増井 由春, 上田 隆博
2000 年2000 巻647 号 p.
111-126
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本論文では, 全ラグランジュ表記法によるハイアラーキ平面シェル要素とソリッド要素の接線剛性行列を求め, 線形座屈理論に基づいたハイアラーキ要素による座屈解析法を開発する. 本解析法の精度を調べるために平板の座屈解析を行って, 提案する要素と各非線形項の影響を検討する. 平板の解析では, 一般に Kirchhoff 理論, Mindlin 理論と3次元弾性論が用いられるが, ハイアラーキ要素による解法では, それぞれの理論解に対して高精度の値が得られることを示す. また, 実用的な観点から, 計算効率の良い Mindlin 要素を用いて, 弾性論による解に匹敵する値が得られるせん断補正係数を提案する.
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林 正, 岩崎 英治, 斎藤 道生, 時 譲太
2000 年2000 巻647 号 p.
127-141
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
曲げねじりによる2次せん断変形を考慮した拡張 Timoshenko はりの自由振動解析は殆ど研究されていない. 本論文では, この問題の厳密解を解析的に求めるとともに, 拡張 Timoshenko 理論による
C0級のハイアラーキ棒要素と
C1級のエルミート棒要素を定式化する. 解析的手法により, Timoshenko はりにおけるせん断変形の影響を明らかにして, 両要素を用いた
p法と
h法による数値計算により骨組構造における影響を調べる.
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石原 元, 山尾 敏孝, 平井 一男
2000 年2000 巻647 号 p.
143-154
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
タイで結合した一対の曲がり部材が圧縮力を受ける場合の解析法をアーチ理論に基づいて展開し (提案法), 圧縮力に対する挙動および座屈挙動について検討した. 併せて幾何学的非線形性を考慮した骨組要素を用いた弾性有限要素解析 (FEM) も行い, 提案法との比較を行った. 提案法はFEMとよく対応しており, その妥当性を確認した. 提案法を用いると, 与えられたライズ-支間比に対して座屈変形モードおよび対応する弾性座屈荷重を近似的に計算でき, 曲がり部材の圧縮力に対する弾性挙動を把握できることもわかった. また, ライズ-支間比の大きな曲がり部材では圧縮力に対する挙動に及ぼす初期たわみの影響が小さくなることも判明した.
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佐藤 忠信, 梶 啓介
2000 年2000 巻647 号 p.
155-165
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本論文は強い非線形を有する構造系の同定手法を開発するのが目的である. まず, 逐次型線形化法を用いて, 復元力特性に関する情報が全く未知である非線形構造系の応答を線形構造モデルで再現する手法を提案する. さらに, 非線形復元力モデルが Vbrsatile 型復元力モデルで表現される構造系において, これまで困難とされていた累乗パラメータを含むすべてのパラメータを同定する手法を開発する. また, 観測値に異常値が混入した場合を対象として, 異常値の影響を受けないロバストカルマンフィルターを開発し, これを Versatile 型復元力モデルのパラメータ同定に適用する. 観測値としては, 非線形2自由度構造系と非線形8自由度構造系の応答シミュレーション結果にノイズを混入したものを用いた.
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柴田 俊文, 三上 隆, 佐藤 昌志, 須藤 敦史
2000 年2000 巻647 号 p.
167-176
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本研究は, 剛球と梁の衝撃問題において, 衝突点の局所変形の影響をばねで表し解析する際のその剛性の一算定式を提示したものである, 算定式 (法) は, 従来のそれが持つ問題点 (算定根拠が不明確等) に考慮を払い, 静的に定めたばね定数 (剛性) を基準にし, 剛球の初期速度, 剛球と梁の質量及び梁の断面形状で補正する形で陽に表示されたものである. 数値計算例では, 算定式から得られるばね (剛性) 特性について議論するとともに, それが任意支持条件の場合にも, 衝撃の様相が一回の衝撃で衝突現象が完了する場合や複数回の衝撃を生じる場合にも適用可能であることを明らかにした.
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岸 徳光, 三上 浩, 松岡 健一, 安藤 智啓
2000 年2000 巻647 号 p.
177-190
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本論文では, 鉄筋コンクリート (RC) 梁の簡易かつ合理的な耐衝撃設計法を確立することを目的として, 重錘落下による漸増繰り返し載荷および単一載荷を受けるRC梁の耐衝撃性に関する実験的検討を試みた. 実験に用いたRC梁は, 主鉄筋比, 断面寸法および純スパン長が異なり, かつ静載荷時に曲げ破壊が卓越する計38体である. 本研究の主な結論は以下のとおりである, 1) 静的曲げ耐力が同程度の場合には, RC梁の耐衝撃性はいずれの純スパン長に対しても断面寸法に関わらず同程度である, 2) RC梁の動的耐力は動的支点反力を用いて合理的に評価できる, 3) 最大動的支点反力と静的曲げ耐力の関係やエネルギー収支関係を用いて, 耐衝撃設計用静的曲げ耐力算定式を誘導し, その妥当性を確認できた.
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北川 徹哉, 水野 裕介, 木村 吉郎, 藤野 陽三
2000 年2000 巻647 号 p.
191-204
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
塔状円柱の自由端近傍に発生する“自由端渦”が“エンドセル励振 (高風速渦励振)”の励振源であることが著者らの研究により明らかにされつつある. 本研究においては, 自由端渦により作用する空気力特性を調べるために静止塔状円柱の圧力模型を用いた風洞実験を行う. 渦放出による変動空気力の3次元性を把握するとともに, 圧力データにPOD解析を適用して自由端渦による空気力の面的な作用形状を抽出する. また, POD解析により得られたモード時系列をウェーブレット変換を用いて解析し, 自由端渦発生の時間的推移を検討する. さらに, 測定された圧力データを用いて円柱ロッキング模型を対象とする応答解析を行い, 実験より得られた応答振幅と比較し, 自由端渦とエンドセル励振との関連性について考究する.
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岩本 政巳, 藤野 陽三
2000 年2000 巻647 号 p.
205-216
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
自由振動法に基づく橋桁の非定常空気力の同定では, 振動数の関数である空気力係数の一意性, 空気力モデルにおける調和振動仮定の問題があった. 本研究では, その係数パラメータが振動数に依存しない一般振動下の空気力モデルである, 有限次数近似モデルを基礎とする非定常空気力の同定手法について, その定式化と2種類の評価関数を示すとともに, 本手法の適用性を数値シミュレーションにより検討した.
本手法では上記2つの問題が解決されるほか, 計算作業上の利点も認められた. また, 有限次数近似モデルの係数パラメータについては評価関数によって同定の安定性に差異が見られたものの, モード情報や非定常空気力係数の再現性はいずれも良好であった.
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井嶋 克志, 帯屋 洋之, 錦織 真樹, 後藤 茂夫
2000 年2000 巻647 号 p.
217-228
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
落橋防止システムが義務付けられる中小規模の斜桁・曲線桁に対し, ゴム支承支持とし, 桁と橋台の衝突を許容することによって落橋防止を図る方法について検討したものである. 対象とする桁と橋台との衝突応答の正確な特性を得るためには, 入力の細かな増分に対する応答を求める必要がある. 衝突時のエネルギーに密接に関係する桁速度変化量を軽減する効果的な方法は, 遊間を小さくする他なく, 剛心位置や支承剛性では桁変位を小さくできるのみである. 落橋防止を必要とする橋梁では, 通常設定される遊間量より小さくとも, ゴム支承支持により桁の温度伸張に伴う桁移動が可能であり, 所定より小さい遊間によって, 地震時桁衝突による橋台被害を軽減できる可能性がある.
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伊津野 和行, 川村 弘昌, 森 泰樹, 小林 紘士
2000 年2000 巻647 号 p.
229-240
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
連続高架橋のように線状に連続した構造物の地震応答を低減するために, 隣接した構造物間の連結を応答に応じて能動的に制御することが考えられる. 本研究では, 隣接する構造物応答の卓越周期を観測し, 共振状態に応じて連結装置をON-OFF制御する手法について検討した. 連続する構造物のいろいろな部分で連結・非連結を行うことにより, 固有周期の変動幅を大きくとれ, 共振化を防ぐことが容易だと考えられる. 構造物が2個の場合と10個の場合について数値シミュレーションを行い, 簡易な制御則で十分に効果があることを示した.
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橘 吉宏, 辻角 学, 越後 滋, 高橋 昭一, 三木 千壽
2000 年2000 巻647 号 p.
241-251
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
2主桁橋は, 片方の主桁に損傷を受けたときに落橋の危険性がある, すなわち, リダンダンシーがない構造であると考えられ易い. しかしながらこのような考え方がある一方で, 2主桁橋は主桁損傷後の残存耐力を持ち得るとの報告がアメリカであり, 2主桁橋の残存耐力については整理されていないのが現状であると言える. そこで本研究は, 損傷の程度による挙動変化の把握や崩壊機構の解明を試みることを目的として, 1/2スケール模型の主桁に損傷を与え, 載荷試験を実施した結果を報告し, 加えて, 載荷試験により解明された崩壊機構に基づき, 実橋の2主桁橋における安全性の評価を行うために実施した解析的な検討結果を報告するものである.
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長井 正嗣, 謝 旭, 山口 宏樹, 野上 邦栄, 新井田 勇二
2000 年2000 巻647 号 p.
253-265
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本研究では, スパン600mの斜張橋を対象に, 弾塑性有限変位解析を用い, 桁高, 材質, 塔位置のケーブル吊間隔, 中央径間と側径間のスパン比が終局挙動や強度に与える影響を明らかにするとともに, 安定照査を不要とできる最小桁高選定に関する設計資料を提供している. 検討結果から, スパン600m程度までのマルチケーブルタイプ斜張橋であれば, 材質に関係なく桁高として2m以上を選べば全体の座屈安定性に関する照査は不要とできる可能性を示す.
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中洲 啓太, 依田 照彦, 佐藤 幸一, 櫻田 道博
2000 年2000 巻647 号 p.
267-279
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
鋼とコンクリートの合成桁において, 鋼板孔を用いたずれ止めである埋込み接合を利用すると, 従来のスタッドを用いたずれ止めと比べ, 鋼フランジの溶接が不要になり, 施工が容易になるという利点を有する. 埋込み接合に関しては, 過去に押抜きせん断試験や桁としての載荷実験が行われており, その有用性が認められているが, いずれの実験も鋼ウェブに平行な面内の挙動の検討にとどまっており, 偏心荷重や水平横力に起因してウェブ上端に交互曲げが生じる現象 (首振り現象) に対する検討は少ない. 偏心外力載荷時の首振り現象に関する模型実験およびFEM解析を行い, 鋼板孔を用いたずれ止めの設計方法についても考察を行ったので報告する.
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三木 千壽, 山田 真幸, 長江 進, 西 浩嗣
2000 年2000 巻647 号 p.
281-294
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
RC床版非合成桁橋梁では上フランジとRC床版との間にジベルは無く, 設計上鋼桁と床版との合成作用は考えられていない. しかし実際には付着やスラブ止め等により床版が主桁の一部として挙動し, 格子桁計算による主桁の活荷重応力は実際に発生する応力を大きく下回る. そのため実応力比αの評価は鋼桁の疲労照査において重要な項目となる. 本研究ではTL-20で設計された既設非合成桁橋梁に載荷試験を行い, その結果を設計に基づいた計算および詳細なFEM解析より検討し, 実測応力と計算応力で差異が生じる要因を検討した. またFEM解析では種々の仮定を検討し, 疲労照査, 補強の検討等で用いることが可能なFEMモデルを提案した.
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大橋 治一, 三木 千壽, 梁取 直樹, 小野 秀一
2000 年2000 巻647 号 p.
295-303
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
従来の鋼床版構造に比べて, デッキプレートを厚肉化するとともに縦リブに用いるトラフリブを大型化することにより横リブ間隔を拡げた新しい鋼床版構造に対して, 疲労上から弱点部とされる構造部位の応力計測を行うために, 実物大供試体を用いてトラック載荷試験を行なった. 試験結果よりトラフリブ現場継手部および縦リブ・横リブ交差部等における局部応力についての知見が得られた.
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杉浦 正美, 山崎 文雄
2000 年2000 巻647 号 p.
305-315
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本研究は, 兵庫県南部地震による宝塚市の建物被害データを用いて, 多角的観点から被害の特徴を検討し, 構造形式や建築年代などの建物特性を考慮した被害関数の構築を行ったものである. 具体的には, 震災直後に宝塚市が実施した固定資産台帳に基づく建物被害調査の結果を用いて, 構造形式・建築年代・地域分布等の観点から被害の特徴を検討した. さらに, 県内およびその周辺の強震記録と広域的な建物被害の関係より求められた地震動分布を用いて, 宝塚市の建物被害データによる構造形式・建築年代別の建物被害関数を構築した.
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豊貞 雅宏, 後藤 浩二, 渡辺 泰成
2000 年2000 巻647 号 p.
317-329
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
兵庫県南部地震では, ひずみ速度の増加に伴う鋼材の脆化が原因と考えられる鋼構造物の損傷が多数報告されている.
本報告ではひずみ速度の増加に伴う脆化を静的破壊靭性値の温度依存性から予測する手法を提示し, 同地震時の脆性破壊事故解析を実施した. その結果, 取り扱った事故解析例では, 脆性破壊の主原因は衝撃的な負荷に伴う破壊靱性値の低下である事が判明した. また事故解析の結果は, 水平部材については水平方向地震波, 垂直部材については上下方向地震波により脆性破壊事故が生じたという自然な考え方を支持している.
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酒造 敏廣, 川田 真也
2000 年2000 巻647 号 p.
331-342
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本論文は, 部分テーパー付きはり―柱部材の弾塑性履歴性状を実験によって調べている. 部分テーパー部材では, 早期の塑性変形集中を防ぎ, 局部座屈による耐力低下を遅延させる効果があることを示した. その特長として, 等断面構造の場合よりも, 剛性を上げないで損傷を小さくできること, および, 履歴エネルギーが大きくなることをあげた. さらに, テーパー部フランジ・プレート内で塑性変形が一様になることに起因して, 部材軸方向のわずかな区間において, 塑性変形箇所が半サイクル毎に交番する場合があることも示した. 最後に, 部分テーパー構造の利点を橋脚部材に生かすためには, テーパー部で抵抗断面力が小さくなる箇所の補剛構造が重要になることを考察した.
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崎元 達郎, 渡辺 浩, 中島 黄太
2000 年2000 巻647 号 p.
343-355
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
補剛箱形断面部材が繰り返し軸力を受ける場合を局部座屈を考慮してFEM解析し, その結果を利用して応力―ひずみレベルでの復元力モデルを提案した. これを汎用動的解析プログラムTDAP IIIのユーザーサブルーチンに組み込み, ファイバー要素を用いた動的応答解析が可能なプログラムを完成した. この手法による解析結果を既往のハイブリッド地震応答実験の結果と比較・検討した結果, 良好な一致が得られることを示した. また, 比較のため1自由度系の地震応答解析も行いファイバー要素による方法と1自由度系モデルによる方法の適用性などについて考察した.
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渡辺 浩, 崎元 達郎
2000 年2000 巻647 号 p.
357-368
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本論文では, 繰り返し水平力を受けて崩壊に至るコンクリート充填鋼管構造の鋼管の局部座屈等を考慮した動的解析の方法を提案する. 本解析法の特徴は, 材料の構成則として鋼管による充填コンクリートの拘束効果や充填コンクリートによる外側鋼管の局部座屈抑止効果を考慮する点にあり, ファイバー要素を用いた一般的な動的解析法により解を得ることができる. 本解析を既往の橋脚に関するハイブリッド地震応答実験による実験結果と比較したところ, 終局状態に達するまでの挙動をよく評価できることが明らかになった.
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茂木 秀則, 川上 英二
2000 年2000 巻647 号 p.
369-378
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
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フリー
最大加速度は確率変数と考えられるため, 信頼性解析などの工学的な利用に際してその確率分布, 特に散布度について検討が必要である. 本論文では, 千葉, 台湾SMART-1のアレー観測記録を用いて最大加速度比の確率分布を検討した著者らの従来の研究を発展させ, より広範囲の検討が可能なSIGNALのデータベースを用いて最大加速度比の統計解析を行った. まず, 本データベースの54地震の観測記録を用いて, 最大加速度比の平均値, 標準偏差などを求め, 二点間で生じる最大加速度の差違について論じた. また, アレー観測記録とSIGNALによる最大加速度比の平均値, 標準偏差を比較し, 両者で二点間距離が著しく異なるにも拘わらず, 連続した関係が得られることを示した.
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神山 眞, 吉田 勝
2000 年2000 巻647 号 p.
379-394
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
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フリー
本論文は実測の鉛直アレー強震記録を用いて地盤の剛性とダンピングを逆解析する手法について述べたものである. 軟弱地盤では強震時に地盤剛性の低下, ダンピングの増大とともに非線形応答が生じる. このような剛性低下とダンピングの増加は強震時に刻々と変化する非定常な特性を示すことが多い. 本論文は地盤剛性ならびにダンピングの非定常変動を逆解析する手法に重きを置いたものである. ここでは従来の応力―ひずみのローカスを図的に解く手法と異なり, コンプレックスエンベロップを用いたより定量的な解析法が提示される. この手法は1995年兵庫県南部地震のポートアイランドでの鉛直アレー強震記録に適用され, 液状化に伴う同地盤の剛性とダンピングの非定常変動が解析される.
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副田 悦生, 玉井 秀喜, 仲津 直之, 竹澤 請一郎, 山田 雅行
2000 年2000 巻647 号 p.
395-404
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
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南大阪地点の水平アレーで観測された兵庫県南部地震の本震記録について, NS成分が卓越する90~120秒付近の波群とEW成分が卓越する45~75秒付近の波群を対象に検討を行った結果, その周波数特性, 到来方向, 位相速度などから Love 波が卓越することが明らかになった. これにより, 実測記録に基づいて大阪平野南部における兵庫県南部地震時の表面波伝播性状の一典型を明らかにすることができた. この結果は表面波に主眼をおいた入力地震動評価に資するものであると考えられる.
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宮島 昌克, 野津 智, 北浦 勝, 山本 真樹
2000 年2000 巻647 号 p.
405-414
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
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本研究は, リアルタイム地震防災の観点から地震直後に液状化の発生範囲を知ることを目標とし, その第1段階として, 地表面に置かれた強震計で捉え得る液状化地盤特有の地震動特性を定量的に判定する方法を提案するものである. 本論文では, 液状化地盤における地盤震動特性として, 振幅特性と振動数特性のそれぞれに注目して液状化検知指標を提案するとともに, 地盤震動特性が液状化地盤と類似している軟弱地盤における強震記録に本検知指標を適用し, その信頼性を検証した. さらに, 100地点の強震記録に本論文で提案した液状化検知指標を適用し, その有効性を確認するとともに, 総合的検知法を提案した.
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紺野 克昭, 片岡 俊一
2000 年2000 巻647 号 p.
415-423
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
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深さ30mまでの平均S波速度
Vs30と地盤の増幅倍率にはよい相関があることが指摘されている. 通常,
Vs30の算出にはPS検層データが用いられる. 本研究では, アレイ微動観測からレイリー波の位相速度を求めることを前提に, この位相速度から
Vs30を直接推定する方法を提案している. 本提案方法は, 波長35~40mのレイリー波の位相速度は
Vs30とほぼ等しい, とするものである. 東京都, 神奈川県内の85地点の地盤モデルを使用して, 数値実験的に本提案方法の妥当性を示している.
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佐藤 忠信, 田中 悟
2000 年2000 巻647 号 p.
425-433
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
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可変減衰装置を用いたセミアクティブ震動制御を大地震時でも構造物の安全性を確保できる最有力制御方式と位置づけ可変減衰装置の実用化に関する研究を行う. モータの発電作用を利用して減衰力を発生させる電磁型可変減衰装置を試作して, 既に開発済みのオイル型可変減衰装置と共に装置が発生する減衰力の制御性を実験的に確認する. さらに計算機と実模型の間でデータのやり取りをオンラインで行う実時間ハイブリッド震動制御実験を実施し, 実験結果と計算機による数値解析結果を比較することで可変減衰装置を用いた構造物の震動制御への適用性に対して検討を与える.
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貝沼 重信, 川本 恭朗, 高松 大輔, 山田 健太郎
2000 年2000 巻647 号 p.
435-445
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
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鋼橋の製作では, 部材の加工や組立ての精度に起因して, 十字すみ肉溶接継手の未溶着部にルートギャップが生じることがある. ルートギャップが生じると, すみ肉溶接ののど厚は外観ののど厚よりも小さくなる. そのため, のど厚断面に発生する応力範囲が大きくなり, 疲労寿命が低下することがある. そこで, 溶接姿勢とすみ肉溶接の溶込み深さ, 未溶着部先端の形状や溶接欠陥の発生の有無について検討するため, ルートギャップを有する十字すみ肉溶接継手の溶接施工試験を行った. 疲労試験を行うことで, ルートギャップ, および溶接姿勢が疲労挙動に及ぼす影響について検討した. これらの検討から, ルートギャップを3mm以下とし, 立向き下進溶接を用いない方が良い, などの結果が得られた.
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断面辺長比4の矩形断面の場合
平野 廣和, 渡邊 茂, 丸岡 晃, 佐野 健一
2000 年2000 巻647 号 p.
447-452
発行日: 2000/04/21
公開日: 2010/08/24
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数値流体解析の分野において, 軸方向変動を考慮した3次元解析の必要性が論じられている. しかし, 軸方向の長さならびに分割数に関しては, 研究者の今までの解析実績に委ねられてきた. このようなことから, 本論では, 一つの試みとして断面辺長比4の矩形断面を選び, 軸方向の分割幅を固定し, 分割数をパラメータとする解析を実施した. これにより, 軸方向長さの違いによる空気力, 軸方向変動流を比較し, 軸方向の境界に周期境界条件を用いる際の必要な軸方向長さの検討を行った. その結果, 断面辺長比4の矩形断面の3次元解析を行う場合の軸方向長さに関する一つの指針を得ることができたので, ここでその結果を報告する.
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