本論文では, エントロピーの概念を用いて条件付確率場を推定する理論を提案した上で, 複数観測点のデータに基づいて未観測点での最大エントロピー推定値, 条件付エントロピー, 条件付平均エントロピーなどの性質を星谷・野田・稲田の理論 (1997) と比較分析した. 6つのタイプの確率場 (正規, 対数正規, 指数, レイリー, グンベル, 一様分布) を検討した結果, 1) 最大エントロピー推定値, 条件付エントロピーは観測値に依存すること, 2) 条件付平均エントロピーは観測配置のみに左右され, 無条件平均エントロピーよりも大きくならないこと, 3) 不偏推定・最小誤差分散に基づく最適推定値, 条件付分散, 推定誤差分散と同一の性質を有すること, 4) 正規確率場の Kriging と最大エントロピー推定法の結果は等価であることなど, 新たな知見が得られた.
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