女性における肥満と大腸ポリープ (腺腫) との関連性を, 年齢の変化を加味して検討した。
対象および方法は1998年10年4月から2004年3月までの女性受診者で大腸内視鏡検査を受けた4, 053名について, 肥満の判定は日本肥満学会を基準 (肥満; BMI≧25) に準じ分類し, 年齢階級別 (30歳代以下: 30s, 40歳代: 40s, 50歳代: 50s, 60歳代: 60s, 70歳代以上: 70s) に大腸ポリープ発症との関連性を解析した。なお, 閉経年齢は日本産婦人科学会の閉経中央値50.54歳とした。大腸ポリープのデータの構造解析はロジスティック回帰分析を行い, 大腸ポリープを目的変数, 年齢, 肥満の有無を説明変数とした。
分析の結果, 女性全体を解析した場合, 年齢が1歳増加するとオッズ比 (OR) は1.03倍 [95%信頼区間 (CI) , 1.02~1.05] と有意にリスクの増大がみられた。また, BMIが1増加することに1.03倍 (95%CI, 0.99~1.07) , 非肥満者に対し現在の肥満者のORは1.26倍 (95%CI, 0.94~1.69) と増大傾向にあったが, 有意な差はなかった。これらを50歳 (閉経) 前後で比較検討するため, BMI, 年齢を補正しORを算出した。50歳以上であることは, 50歳未満を1とした場合1.61倍 (95%CI, 1.23~2.09) とリスクが有意に増大した。50歳未満はBMIが1増加することにORは1.06倍 (95%CI, 1.00~1.12) , 肥満者は非肥満者に対しては1.68倍 (95%CI, 1.18~2.53) と有意にリスクは増大した。これに対して50歳以上はBMIが1増加に対するORは1.00倍 (95%CI, 0.94~1.06) , 非肥満者に対して肥満者のORは0.97 (95%CI, 0.63~1.49) と有意差は認めなかった。
以上から, 女性は加齢により有意に大腸ポリープ発症率を増大させ, 肥満度との関連は50歳未満 (閉経前) のみにみられた。
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