岩手医科大学歯学部附属病院小児歯科所蔵の永久歯列模型 1085 例のうち, 中心結節を有する 28 例を観察し, 以下の結果を得た。
(1) 出現頻度は 2.58% であり, そのうち男子は 0.74%, 女子は 1.84% で, 女子に多かった。
(2) 上顎より下顎に多く出現し, 歯種では,下顎第 2 小臼歯が 56.45% と最も多く, 次いで上顎第 2 小臼歯, 下顎第 1 小臼歯, 上顎第 1 小臼歯の順であった。
(3) 左右同名歯に対称的に結節の出現が認められたものは, 71.43% であり, このことは患歯発見の一助になると思われた。
(4) 結節の出現部位は, 頬側三角隆線が 53.23%, 中央溝が 33.26% を占めており, その他は舌側三角隆線, 近心舌側であった。
(5) 結節の形態がシリンダー状のものは, 46.72% 認められ, 大半が頬側三角隆線または中央溝に位置していた。形態が三角形のものは 25.81% であり, 頬側三角隆線に位置するものが最も多かった。形態が露滴状のものは 4.84% で, 中央溝にのみ認められた。結節が破折していたものは 22.58% であり,その出現部位は頬側三角隆線または中央溝であったが, 中央溝部のものは, 歯髄障害を起こしている場合が多いことから, 早期予防処置が必要と思われた。
(6) 中心結節の大きさは, 平均値で近遠心径 2.01mm, 頬舌径 2.36mm, 舌側の高さ 1.31mm, 頬側の高さ 0.63mm であった。
(7) X 線所見で結節内に歯髄腔を認めたものは, 61.36% であった。
(8) 中心結節保有歯の大きさは, 近遠心径および頬舌径とも大きな値を示し, カラペリー結節の出現, 咬頭の突出, 辺縁隆線や三角隆線の発育良好な所見が認められた。
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