本研究の目的は,下顎第1大臼歯抜去後,隣接する小臼歯群および第2大臼歯がどのように動き,萌出してくるかを探求するものである。その動態については各段階の45°斜位頭部X線規格写真上で計測し, 累年的に分析を行った。 その結果は,以下のとおりであった。
①小臼歯群の萌出前に下顎第1大臼歯が抜去された時,小臼歯群の歯胚は遠心に移動していた。それに対して,小臼歯群がすでに萌出している時は,これらの歯軸は遠心傾斜を示していた。
②下顎第2大臼歯は,萌出途中,萌出完了にかかわらず著しい近心傾斜を示していた。
③小臼歯群と第2大臼歯がまだ未萌出で,第2大臼歯の歯胚の石灰化が第2小臼歯に先行している時,第1大臼歯の抜歯空隙は自然に閉鎖され,歯軸も良好であった。
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