岩手医科大学歯学雑誌
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6 巻, 2 号
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原著
  • 一12症例の臨床的検討一
    杉 幸晴, 伊藤 信明, 二瓶 徹, 石橋 薫, 沼口 隆二, 宮沢 政義, 石沢 順子, 藤岡 幸雄
    1981 年 6 巻 2 号 p. 83-89
    発行日: 1981/07/15
    公開日: 2018/12/29
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    我々は最近の4年3ヶ月間に本学第1口腔外科外来で経験した小唾液原発の多形性腺腫の12症例について, 臨床的検討を行い, 従来の報告とも比較し, 若干の考察を加えた。

    患者の年齢は22歳より93歳までの各層にわたり, 平均は51.5歳で, 性差はなかった。発生部位は10例が口蓋部(硬口蓋4例, 硬軟口蓋4例, 軟口蓋2例)で, 2例が上口唇部であった。硬口蓋, 硬軟口蓋に発生したもの8症例のうち, 圧迫性の軽度骨吸収が6例にみられた。ほとんどが腫脹や腫瘤が気になるとの主訴で来院しているが, 来院までの期間は1ケ月以内から40年と幅が広く, 全般に比較的長い経過をたどっていた。 腫瘤の外形は類円形のものがほとんどであり, 大きさは20~30mmのものが半数を占め, 硬さは弾性硬と弾性軟のものが各6例ずつで, 被覆粘膜表面はほとんどが平滑であったが, 潰瘍とびらんを示したものがそれぞれ1例ずつにみられた。治療法としては, 切除および摘出術が行われたが, 現在のところ再発はみられていない。

  • 佐藤 方信, 畠山 節子, 鈴木 鍾美
    1981 年 6 巻 2 号 p. 90-97
    発行日: 1981/07/15
    公開日: 2018/12/29
    ジャーナル フリー

    人舌筋におけるLipofuscin(Lfc)の沈着態度を病理学的に検索した。

    材料は剖検例の舌を用い, 舌尖, 舌体および舌根部を前額断として切り出した。標本はパラブィン切片とし, H・E., PAS, Masson-Fontana, Sudan Black B 染色などを行ったほか, 未染の標本を螢光顕微鏡にても検索した。Lfcの沈着度はDayanらの基準に従って3段階に分け, 個々の症例の総合的な沈着度は検索した3部位のうち2部位以上で示されたDayanらの基準をあて, それぞれGroup I, Group Ⅱ, Group Ⅲ とした。

    検索した89例のうち72例(80.9%)の舌でLfcの沈着がみられた。 Lfc沈着度別の症例数は Group I が9例(12.5%), Group Ⅱが45例(62.5%), Group Ⅲが18例(25.0%)であり, 若い年代では Group I に属する症例が多く, 年齢を増すに従って Group Ⅱ がこれに代り, 高年者ではGroup Ⅲ に属する症例が多くなっていた。平均年齢はGroup l が33.7±9.4歳, Group Ⅱ が63.3±10.1歳, Group Ⅲ が73.1±9.8 歳であり, これらの群の平均年齢の間には有意の差がみられた(P<0.001).

  • 本田 寿子, 金子 克
    1981 年 6 巻 2 号 p. 98-106
    発行日: 1981/07/15
    公開日: 2018/12/29
    ジャーナル フリー

    Streptococcus mutans (以下S. mutans と略す) の分離を確実にそして迅速にできる培地を得る目的で Linke3) のMSFA培地の改良を試み, これを成人, 小児の歯垢からの分離に応用し, 次の成績を得た。

    1) MSFA 培地では歯垢からの分離培養が困難であったが, tryptone を添加することにより S. mutans のコロニーを他の口腔レンサ球菌の中から明瞭に識別できるようになった。

    2) MSFA培地組成中の窒素源であるyeast extract を 5g/1000mlにし, tryptone 15g/1000mlを加えたMSFA変法培地では S. mutans はピンクないし赤色の特徴あるコロニーとして観察された。

    3) Gold培地, MSFA培地, MSFA変法培地の3培地を使用して, 歯垢から S. mutans の分離を試みたが MSFA変法培地は, MSFA培地, Gold培地に比較して10~19%高い分離率を示した。

    4) Gold培地, MSFA培地, MSFA変法培地の3培地で分離したS. mutansをbiotypeに分類するとGold培地由来分離菌株ではC型のみで, a型, b型はみられなかった。 MSFA培地ではa型5株(3 %), b型1株(0.6%)が分離された。また, MSFA変法培地では, a型22株(12.2%), b型11株(6.1%)が分離された。

    S. mutans 分離に際し, MSFA変法培地を用いると型に偏りなく分離でき, S. mutans について疫学的にさらに詳しく検討しうる可能性をみい出した。

症例報告
  • 佐島 三重子, 武田 泰典, 鈴木 鍾美, 都筑 文男, 野坂 洋一郎, 金沢 重俊, 岩渕 憲次郎
    1981 年 6 巻 2 号 p. 105-112
    発行日: 1981/07/15
    公開日: 2018/12/29
    ジャーナル フリー

    It has been noted that metastatic tumor to the oral region, especially to the jaws, are rare, since they have seldom been reported critical analytical studies dealing with the distribution of such lesions throughout the body. We report a case of metastatic lesion to the maxilla, and review some literatures.

    A patient was 49-year-old male. The symptoms of onset were lumbago and maxillary swelling, and clinical diagnosis of maxillary tumor was made. At necropsy, there were large tumor masses of the left maxilla, bilateral adrenal and many small tumor nodules of various organs. Histological exami ation revealed relatively well differentiated adenocarcinoma originated from the adrenal cortex, and a large mass of left maxilla was metastasized. This case is the first report of metastasis to jawnbone from adrenocortical origin.

例会記事
岩手医科大学歯学会第11回例会抄録
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