本研究は,上層に粗大な半円筒ろ過材,下層に粒径の細かい石英砂を配した二層ろ過層を対象として,ろ過層内での土砂の捕捉を通じた土砂懸濁液の粒径分布の深さ及び時間的な変化を検討することを目的とした.最大粒径70 及び10 μm,濃度約4,600 mg L−1 の土砂懸濁液を流入させた後,60, 120, 240 分でろ過を打ち切り,上層,境界,下層における土砂捕捉量の経時変化,及びレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いた土砂懸濁液及び捕捉された土砂の粒径分布を測定して,土砂懸濁液の粒径分布の深さ及び経時変化を検討した.その結果,(i) 最大粒径70 μm の場合,ろ過の経過に伴って主要な捕捉部位が上層から境界へ移行したこと,(ii) 上層と境界における土砂の捕捉によって,下層に達した土砂の粒径分布は下層内部に侵入しうるほど細粒側にシフトしたこと,(iii) 下層では相対的に粗い土砂が捕捉された結果,流出土砂の粒径分布は土砂懸濁液の最大粒径及びろ過の経過時間によらず概ね類似したこと,を明らかにした.
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