土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
宇宙線中性子観測に基づく火山灰土斜面の土壌水分量の推定
平嶋 雄太徳本 家康中村 真也宮本 英揮
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 160 巻 p. 29-41

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抄録
宇宙線土壌水分観測システム(COSMOS)による火山灰土斜面における土壌水分計測の可能性を評価するため,5 地点3 深度に設置した土壌水分センサーの体積含水率(θ )に対するCOSMOS の熱外中性子数(N)の応答を解析した.各地点· 各深度におけるθ との比較検討により,COSMOS の最大有効観測深度は約17 cm であると推定した.この推定値に基づき,10 cm 深度のTDT センサーによる平均体積含水率(θAvg)とN,さらに両者の3 時間,12 時間,24 時間平均値の計4 種類のデータセットを構築した.いずれの組合せにおいてもN とθAvg の相関は低く,被覆植生の有無がN に大きな影響を及ぼすことが示唆された.そこで,カメラ画像を用いて被覆植生の存在する期間と非存在期間にデータを分類し,期間ごとに異なる校正式を適用した結果,COSMOS によって推定されたθ とθAvg の適合性が大幅に向上した.間隙率の非常に高い火山灰土斜面において,COSMOS による表層土壌水分観測の有効性が示された.
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© 2025 土壌物理学会

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