日本消化器内視鏡学会雑誌
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46 巻, 8 号
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  • 荒川 泰行
    2004 年 46 巻 8 号 p. 1453-1463
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    高齢者の消化器疾患,特に,逆流性食道炎と大腸癌について内視鏡検査成績を踏まえ検討した. 逆流性食道炎は日本人の高齢者人口の増加と食生活の変化並びに内視鏡検査法の進歩により逆流性食道炎の患者は増加し,5年間で3.1%から8.1%に増加している.逆流性食道炎の自覚症状は胸やけを認めることが多く,高齢者では喘息や慢性咳嗽などの非典型的症状を伴う傾向があり,内視鏡所見ではロサンゼルス分類のgrade C,Dが加齢と共に増加する傾向にある.また,Gastroesophageal flap valve (GEFV)の程度は高齢者ではgradeの高い3,4が多く,食道裂孔ヘルニアの頻度と一致した.逆流性食道炎の治療は年々PPI製剤による治療例の増加を認め,PPIが初期治療の段階から処方されるようになっている. 一方,大腸癌は食生活の欧米化に伴い増加の傾向を認め,大腸癌罹患率が増加している.5年間の大腸癌比率は,非高齢者3.9%に対し,高齢者7.3%であった.大腸癌の発症部位は高齢者では右側結腸が増加する傾向にあり,来院時の主訴は非高齢者・高齢者ともに無症状者が84%を占め,高齢者では下血,便通異常,腹痛などの有症状者が55%を超え,イレウス症状を認める割合が増加している.早期大腸癌の治療はポリペクトミーやEMRが積極的に行われ,進行大腸癌では手術が可能であれば積極的に切除術を行うべきであり老化の進行には個人差が大きく,「暦年齢」と「生物学的年齢」との隔差が存在することを常に念頭において,高齢者消化器疾患の特徴を理解して,日常診療に反映していくことが重要である.
  • 中里 勝, 山野 泰穂, 今井 靖, 前田 聡, 松下 弘雄, 佐藤 健太郎, 山中 康生, 関 仁史, 作左部 大, 大内 慎一郎
    2004 年 46 巻 8 号 p. 1464-1471
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】大腸腫瘍の中でも特徴的な腫瘍群であるLSTが多発する症例について,その臨床的特徴を明らかにする目的で検討をおこなった.【方法】1993年1月から2002年2月までの期間に当センターにおいて経験したLST症.例315症例(403病変)を対象とし,臨床病理学的項目について,多発症例と単発症例を比較検討した.【結果】LST多発症例群は全LST症例の18.4%(58症例)を占めていた.肉眼形態の特徴として,LST.多発症例群は単発症例群に比し非顆粒型を示す病変の割合が有意(p<0.01)に高かった.腫瘍局在の特徴として,LST多発症例群は,横行結腸を中心に,右半結腸に存在する割合が高く,直腸・盲腸に存在する割合が低いという傾向が認められた.また,LST多発症例群は,担癌率が有意(p<0.05)に高かった.【結論】LST多発症例においては,その担癌率の高さより,注意深い内視鏡観察が必要であると考えられた.
  • 齋藤 心, 細谷 好則, 荒井 渉, 横山 卓, 倉科 憲太郎, 平嶋 勇希, 安田 是和, 永井 秀雄
    2004 年 46 巻 8 号 p. 1472-1477
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は67歳の女性.主訴は食欲低下・嘔気・吐血.内視鏡検査にて,上切歯列より25cm遠位の食道粘膜が全周性に脱落し,高度の狭窄を伴っていた.また,胃体中部に多発する潰瘍が認められた.食道プジーを行いながら複数回生検を施行したが,異型細胞は認められなかった.診断に苦慮したが,家族を含めた詳細な問診により「熱い粥を冷まさずに食べる生活習慣」がある事が判り,反復性の熱傷が本症例の病態と考えられた.
  • 高橋 由至, 小川 芳雄, 山本 一仁, 山村 進, 杉浦 篤, 福岡 猛, 沖野 哲也, 宮下 正夫, 山下 精彦, 田尻 孝
    2004 年 46 巻 8 号 p. 1478-1482
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    84歳女性.下血,貧血を主訴として入院.上部内視鏡検査では中下部食道に打ち抜き状の潰瘍が認められた.生検組織ではスリガラス様の核内封入体を認め,免疫染色と合わせヘルペス食道炎と診断した.アシクロビルの投与にて症状,内視鏡所見とも速やかに改善した.ヘルベス食道炎において出血で発症することは比較的多く,大量出血をきたすこともあり本症例のごとく診新,治療を迅速に行うことが重要と考えられた.
  • 中島 健, 関屋 亮, 河野 文彰, 内野 広文, 篠原 立大, 宮崎 哲真, 土田 裕一, 椎葉 淳一, 松崎 泰憲, 鬼塚 敏男
    2004 年 46 巻 8 号 p. 1483-1487
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は61歳男性.腹痛,腹部腫瘤を主訴に来院した.横行結腸右側に6cm大の腫瘤性病変を認め,大腸内視鏡検査での生検にて悪性リンパ腫疑いの診断のもと,横行結腸切除術と腹壁合併切除を施行した.術後の病理組織学的検索にて初めて放線菌症と診断された.本症は比較的稀な疾患で,術前の確定診断は困難である.しかし,様々な検査法を駆使することで診断率の向上を目指すことができるのではないかと考えられた.
  • 宇野 良治
    2004 年 46 巻 8 号 p. 1488-1494
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    患者は61歳,女性.後縦靱帯骨化症の手術後に神経因性大腸による便秘となり,便通のコントロールを目的に入院した.順行性浣腸を目的に経皮内視鏡的盲腸瘻造設術をIntroducer法で施行した.盲腸瘻からの順行性浣腸で便秘は軽快した.患者は自分で順行性浣腸が出来るようになり,施行後8カ月を経た現在でも便通は順調で外来通院中である.
  • 向井 伸一, 竹原 佳彦, 平田 真由子, 北村 正輔, 野間 文次郎, 青木 信也, 伊藤 博之, 國田 哲子, 中山 宏文
    2004 年 46 巻 8 号 p. 1495-1502
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は34歳,男性.主訴は発熱,全身倦怠感,心窩部痛.近医で肝障害を指摘され当科に紹介された.血清抗サイトメガロウイルス(CMV)抗体価の上昇およびCMV抗原血症を認めCMV感染症と診断した.上部消化管内視鏡検査で胃体部大轡から前庭部に多発びらんを,下部消化管内視鏡検査では回盲弁,回腸末端部に多発潰瘍を認めた.酸分泌抑制剤の内服や腸管安静により軽快した.健常成人のCMV感染症で胃および小腸に病変を認める例は極めて稀であると考え報告する.
  • 住吉 信一, 小林 良正, 早田 謙一, 川村 欣也, 熊岡 浩子, 本城 裕美子, 松下 雅広
    2004 年 46 巻 8 号 p. 1503-1509
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    直腸静脈瘤は,胃・食道静脈瘤に比べ,頻度は少ないが,出血した際には大量の血便をきたすことが多く,その治療に難渋することがある.症例は5年前に食道静脈瘤破裂をおこした際,硬化療法による治療歴のある特発性門脈圧充進症の患者である.今回,直腸静脈瘤破裂に対して内視鏡的結紮術にて止血し,硬化療法を追加することにより,直腸静脈瘤を消失させた上,1年後の現在,再発なく良好な経過をたどっている症例を経験した.内視鏡的結紮術は,破裂時の一時止血には優れているものの,静脈瘤の再発を考慮すると硬化療法による追加治療が必要であると考えられた.
  • 中村 和人, 武田 一弥, 篠原 靖, 糸井 隆夫, 武片 和夫, 祖父 尼淳, 糸川 文英, 森安 史典
    2004 年 46 巻 8 号 p. 1510-1514
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は86歳,女性.10年前に総胆管結石で内視鏡的乳頭括約筋切開術,今回結再発と急性胆管炎の診断で経皮経皮経レナージ術を施行した.截石後の胆道内視鏡で肝内胆管癌を認め,非観血的治療を施行した,ESTとと胆道癌発生の因果関係は明らかでないが,腸液の胆管内逆流が結石再発の原因となり、癌が発生するルートの存在する可能性が示唆された.
  • 清水 慎一, 重戸 伸幸, 佐竹 哲典, 松本 志郎
    2004 年 46 巻 8 号 p. 1515-1519
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    背景・目的異物誤嚥があった場合,その性状を把握し,最適な摘出法を選択することが重要である.方法針を飲み込んだ28歳てんかん男性と釘を誤嚥した53歳大工男性に対し内視鏡的摘出術を行った.結果胃内まで進めたロングオーバーチューブ内へ異物を収納することで,粘膜損傷なく容易に摘出することができた.結論ロングオーバーチューブ法は鋭利端を有する異物や大きな異物の摘出に極めて有用であると考えられた.
  • 中原 朗, 谷中 昭典
    2004 年 46 巻 8 号 p. 1520-1521
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 隆啓, 山崎 克, 豊川 成司, 狩野 吉康, 大村 卓味, 赤池 淳, 桑田 靖昭, 須賀 俊博
    2004 年 46 巻 8 号 p. 1522-1526
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    食道静脈瘤における電子ラジアル型内視鏡的.超音波カラードプラ法(ECDUS)の使用経験について述べる.13例の食道静脈瘤症例を対象とした.使用装置はPentax EG3630-UR(直視),先端部径は12mmで,電子ラジアル型トランスデュサーを具備し,周波数は5.07.5,10.0MHzの切り換えが可能である.B-モード,カラードプラ,パワードプラによる観察を行なえる.超音波観測装置はHitachi EUB6500で走査角は270度である.食道静脈瘤,傍食道静脈,貫通血管の血流信号の観察を行なった.食道静脈瘤,傍食道静脈の血流信号は13例全例で観察できた.また,貫通血管の血流信号は13例中4例(30.8%)で検出可能であった.食道静脈瘤の血流速度は3.0~11.7%cm/sec(平均6.3cm/sec)であった.内視鏡機能の観察方向が直視であることより挿人は容易になったが,先端硬性部が長いためスコープの反転走査に難があった.血流信号の検出率に関して電子ラジアル型ECDUSは従来のコンベックス型ECDUSと同等の成績であった.電子ラジアル型ECDUSは内視鏡機能の観察方向が直視で,走査角が270度という利点を併せ持った検査法である.
  • 責任者:佐竹 儀治
    下崎 伸夫, 佐竹 儀治
    2004 年 46 巻 8 号 p. 1527-1529
    発行日: 2004年
    公開日: 2024/01/29
    ジャーナル フリー
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