日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
急性大動脈解離術後遠隔期に人工血管屈曲による溶血性貧血を来した1例
内田 直里 薦岡 成年平田 昌敬
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2020 年 29 巻 3 号 p. 181-183

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抄録

症例は7年前に急性大動脈解離で上行大動脈置換術を受けた58歳男性,血液検査でHb 6.9 g/dL, LDH 2684 IU/L, T-Bil 6.9 mg/dLと黄疸と伴った溶血性貧血と診断された.CTで弓部大動脈の解離が残存し,遠隔期に偽腔拡大することで,術直後から認められていた人工血管の屈曲が増していた.再手術はオープンステントグラフトを内挿して弓部全置換術を行い,人工血管の屈曲を解除した.術後すみやかに溶血は消失した.屈曲の原因として不適切なグラフト長に,遠隔期に末梢側の残存解離腔の拡大が推測された.

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