JAXA のたんぽぽ計画により、地球低周回軌道において超低密度多孔質物質（シリカエアロゲル）を用いた宇宙塵の捕集が試みられた。エアロゲルに衝突した微粒子が作るトラックの３次元形状と捕獲粒子の Fe の有無について、Ｘ線 CT を用いて調べたところ、突入した微粒子は、宇宙デブリのような人工物だけでなく、比較的高速で突入した岩石質および有機物に富む隕石質の宇宙塵、超高速で突入した彗星塵の可能性が大きいことがわかった。

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　日本古来の植物色素を用いる染織布について、色素、媒染剤（定着剤）の同定、染色方法の解明につながる媒染剤中金属イオンと色素分子/繊維分子の結合状態を、原子・分子レベルで明らかにすることを目的として、BL27SU にて奈良～江戸時代の染織布をサンプルとした軟Ｘ線 XAFS 分析を行った。

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　電位依存性ホスファターゼ VSP は、Ｎ末端側に電位依存性イオンチャネルと相同のドメイン（VSD）を、Ｃ末端側にガン抑制因子として知られる脱リン酸化酵素 PTEN と相同の酵素領域（CCR）を持ち、電位依存的に脱リン酸化活性を制御することが知られている。本研究では、VSD の活性化状態の違いによる構造変化を捉えることをめざし、変異体を用いて VSD の構造変化を捉える研究を進めた。

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　To develop an approach to obtaining nanoscale structural information of highly textured thin films, we investigated the structures of ground Mg thin films of 200 and 400 nm thicknesses deposited on thin quartz glass substrates by the atomic pair distribution function (PDF) analysis of synchrotron X-ray total scattering data. The PDFs of both thin films showed clear peaks up to the high interatomic distance region indicating the presence of well-defined long range structural order. For the case of the Mg thin film of 200 nm thickness, it was difficult to subtract glass substrate signals completely and, as a result, large SiO₂ peaks remained leading to inaccurate structural information. On the other hand, SiO₂ peaks were not noticeable in the PDF of the Mg thin film of 400 nm thickness and its lattice parameters obtained by PDF refinement agreed well with the reported values of bulk Mg. Our analysis suggested that one of the most critical parts of this approach is the removal of the substrate signals completely.

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　水溶液中で球状ミセルをなすドデシル硫酸ナトリウム（SDS）ミセルについて、異常小角Ｘ線散乱測定を行うことにより、ミセル上に親水基が作る表面構造を抽出する解析方法を提案する。ここで、表面構造とは、ミセル表面上において親水基がつくる密度揺らぎによる濃淡構造を指す。SDS ミセルは、理論的な検討から親水基がミセルの表面の一部しか覆っていないと言われてきた。しかしながら、その表面での親水基の分布については、球面側方向の構造を測定することの困難さから、未だ直接実測されていない。本手法は、球面上の構造に対して実施された散乱実験の解析を可能にするものであり、これにより実測によるミセル上の親水基ドメインの大きさについての情報が抽出できる。

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　その場観察圧縮試験機及び放射光 CT を用いて、長周期積層規則相型 Mg 合金中のキンク構造の発生過程を観察した。結晶粒径の大きな材料では結晶粒界を吸収コントラスト CT で捉える事に成功し、これを用いて、結晶粒界の折れ曲りとして、キンクの発生を四次元的（三次元的＋時間発展）に捉える事に成功した。一方、結晶粒径の小さな材料では、発生するキンクそのものが小さくなり、キンクの発生を確認することが出来ていない。発生を確認出来たキンクでは、圧縮応力を逃がす方向に試料から飛び出す形で試料の両側に向かってキンクが発生していた。今後は XRD を用いたイメージング手法を適用し、ロードセルを用いて応力ひずみ曲線を取得し、応力とキンクの発生の様子の相関を、定量的に調べる手法を開発する。

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　DNA 周辺での Rb⁺ および Sr²⁺ の分布について、各カチオンの K 吸収端近傍の入射Ｘ線を用いた異常小角Ｘ線散乱により検討を行った。Rb⁺、Sr²⁺ は、DNA の周辺に二重らせんの軸方向に沿って、それぞれ数密度 2 nm^-3 および 1 nm^-3 に濃縮されることが分かった。また、Sr²⁺ の方が Rb⁺ より、コンパクトに DNA 周辺に濃縮されることが分かった。さらに、DNA が対カチオンとして Rb⁺ を持つとき、Sr²⁺ を共存させると、Rb⁺ が Sr²⁺ へ交換されるが、DNA 周辺の対カチオンの電荷が一定に保たれることが分かった。

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　本研究では、励起子絶縁体（Excitonic insulator, EI）の候補として近年注目されている Ta₂NiSe₅ の関連物質で、通常のバンド絶縁体である Ta₂NiS₅ を対象として、19 GPa までの高圧において遠赤外領域（波数 200 -700 cm^-1、光子エネルギー 0.025 ~ 0.09 eV）における光反射スペクトルを測定した。実験は SPring-8 赤外ビームライン BL43IR の高圧赤外分光実験装置を用いて行った。その結果、遠赤外領域の反射率はおよそ 6 GPa までは大きな変化を示さないが、それ以上の圧力では急速に増加した。この反射率増加の原因は、加圧によりエネルギーギャップが閉じて生じた自由キャリヤに起因するプラズマ反射であると考えられる。また、4 GPa 付近で、光学フォノンに起因するピークが顕著な消長やシフトを示しており、圧力誘起構造相転移を強く示唆している。

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　ポリプロピレン（PP）の結晶化に対する低立体規則性ポリプロピレン（LMPP）の影響を、SPring-‍8 での時分割小角・広角Ｘ線散乱法を用いて調査した。LMPP を添加すると、WAXS では結晶化度の上昇が遅延し、また SAXS では結晶ラメラの長周期の成長が遅延することが明らかとなった。これらは LMPP が結晶成長を抑制することを示している。本研究は、PP/LMPP の結晶化過程と高次構造形成メカニズムを解明する一助となる。

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　ラボ向けに開発されたコンパクト設計のポリクロメーター分光器を放射光ビームラインに設置し、その応用可能性を検証するために３つの実験を行った。その結果、以下の成果を得た。(1) NiO の Ni-K 吸収端において、明瞭な RIXS と HERFD-XANES のスペクトルを観測した。(2) Y₂O₃ の Y Kα スペクトルを取得し、同一分光器で倍エネルギーの蛍光分光が可能であることを確認した。(3) Kβ_2,5 スペクトルを用いて、価電子や配位子の状態解析に適用可能であることを確認した。

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　液体アンモニアなど低沸点液体燃料の燃焼利用時には燃料噴射時に急激な相変化を伴う減圧沸騰噴霧が観測される。この減圧沸騰噴霧の特性が燃焼過程の第一段階である混合気の空間分布制御を困難にしている。そこで減圧沸騰噴霧における相変化と微粒化メカニズムを明らかにするため、BL40XU の高輝度Ｘ線を用いて減圧沸騰噴霧の可視化を検討した。Ｘ線の透過率、強度、耐熱性に優れたポリイミドノズルを用いることで減圧沸騰噴霧の細孔内部とその近傍の噴霧状態の同時可視化できることを確認した。

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　128ch のリニアアレイ APD 検出器を利用して、核共鳴前方散乱の配置での時間スペクトル⾼速取得のフィジビリティテストをおこなった。1秒で判別可能な時間スペクトルが測定でき、データ転送によるデッドタイム約 2.3 秒を加えて約 3.3 秒間隔で時間変化を追えることが確認できた。

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　TR-WAXS at SACLA BL3 examined structural dynamics in rhodopsin after retinal photoisomerization. We collected profiles up to 10ps post-green laser activation, using red light as control. SVD analysis showed one main signal per experiment. The rhodopsin response in green light differed from red light and from the CHAPS solvent control, suggesting distinct structural changes.

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