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山本 順司, 芳野 極, 山崎 大輔, 下宿 彰, Sun Wei
2018 年6 巻1 号 p.
1-5
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
本研究では、天然スピネルの熱膨張率をSPring-8におけるその場粉末X線回折によって推定することを試みた。3 GPa におけるセル体積の温度依存性を見ると、300 K から 1500 K までの温度変化においてセル体積は約 11 Å
3 増加している。300 K におけるセル体積を 538 Å
3 とすると熱膨張率は 1.7 × 10
-5 K
-1 となる。この値は MgAl
2O
4 スピネルで報告されている値より低く、化学組成依存性の可能性が考えられる。
しかし、本研究では加圧初期段階にセル体積の不規則な変化が見られており、また、本研究で見られたセル体積の圧力依存性は、スピネルの体積弾性率から推察される体積膨張率より小さい。これは加圧中に生じたセル内部の圧力不均質に因るかもしれず、今後、推定された熱膨張率の精確度を検証する作業が必要である。
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藤橋 雅宏, 三登 一八, 岩田 有希, 廣瀬 加奈, 渡辺 文太, 邊見 久, 三木 邦夫
2018 年6 巻1 号 p.
6-8
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
ゲラニルゲラニル基還元酵素(GGR)は、イソプレノイドに存在する二重結合を還元する酵素である。本研究では古細菌
Sulfolobus acidocaldarius 由来GGRを対象に、基質であるゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)との複合体構造を決定し、その反応機構を明らかにすることを目指した。BL38B1において、Sa-GGRとGGPPの混合溶液から得た結晶より1.85 Å 分解能のデータを取得したが、基質に相当する電子密度はGGPPとは断定できないものであった。
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町田 晃彦, 綿貫 徹, 木村 通, 市川 貴之, 小島 由継
2018 年6 巻1 号 p.
9-12
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
テルビウム3重水素化物 TbD
3 の高圧力下における長周期積層構造の形成をX線回折により調べた。常圧相の六方格子構造から高圧相の面心立方構造への変化する間、8.6 GP aから 17.3 GPa の広い圧力領域で中間状態の形成を示すX線回折パターンが観測された。しかしながら以前に YH
3 で決定した構造モデルではパターンが再現できない。これは異なる積層シーケンスの長周期構造が形成されている可能性を示唆している。
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野平 博司, 岡田 葉月, 高嶋 明人, 室 隆桂之
2018 年6 巻1 号 p.
13-16
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
放射光を用いた角度分解光電子分光法により、クリプトン窒素プラズマ(Kr : N
2 = 97 : 3)を用いたラジカル窒化処理で形成した SiON/4H-SiC の化学構造と窒素の深さ方向分布を調べた。N 1
s 光電子スペクトルは、C面では、結合エネルギー 397 eV (LBE)、399 eV (MBE)および 401 eV (HBE)の3つの成分からなり、一方、Si面では、MBEとHBEの2つの成分のみであった。また、C面のMBEに関連する窒素原子は、SiO
2 中に分布して存在するのに対し、C面のHBEとLBE、Si面のHBEとMBEに関係する窒素原子は、SiON/SiC界面に存在することを明らかにした。
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佐藤 充孝, 中平 敦
2018 年6 巻1 号 p.
17-21
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
高い抗菌性を有する高組織代替材料の開発を目指し、ハイドロキシアパタイト(HAp)合成時にAgおよびCuを添加した試料に対して、Ca、AgおよびCu K吸収端XAFS測定を行った。その結果、Agは添加した量の大部分が金属Agとして存在しており、HAp構造中に固溶し難いことがわかった。また、いずれの元素添加試料においてもリン酸化合物と類似した局所構造を有しており、HAp構造中への固溶の可能性が示唆された。
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橋本 敬, 本多 定男, 森脇 太郎, 池本 夕佳, 木下 豊彦
2018 年6 巻1 号 p.
22-26
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
覚醒剤メタンフェタミン塩酸塩を赤外顕微鏡で非破壊透過測定した。測定光源は赤外放射光とグローバー光源(熱輻射光源)について測定し、結果を比較したところ5 µm以下の微小な試料では赤外放射光が優位であることが確認できた。
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橋本 敬, 本多 定男
2018 年6 巻1 号 p.
27-30
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
放射光を用いた非破壊的な高感度X線回折法によって、乱用薬物の覚醒剤メタンフェタミン塩酸塩の結晶構造解析を行った。測定は結晶をメノウ乳鉢で粉砕しリンデマン製ガラスキャピラリー(内径0.3 mmΦ)に入れ粉末X線回折測定を行った。測定データの解析はEXPOを用いた直接法により初期構造を決定し、精密化を行うことができた。
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沼本 修孝
2018 年6 巻1 号 p.
31-34
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
ヘモグロビンの酸素結合と解離に伴う構造変化の中間体を構造解析した例はこれまでにない。本研究では、無脊椎動物由来巨大ヘモグロビンの酸素結合型結晶を浸漬法により酸素非結合型へと結晶を破壊することなく移行させ、その中間状態のX線結晶構造解析を行った。得られた結晶構造から酸素の部分的な解離を確認し、本手法の有効性を実証した。また、巨大ヘモグロビンの四次構造変化は、大部分の酸素が解離しない限り生じないことが示唆された。
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加道 雅孝, 江島 丈雄, 刀祢 重信, 篠原 邦夫
2018 年6 巻1 号 p.
35-37
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
アポトーシスを誘発したHeLa S3細胞の単離核を赤外顕微分光ビームライン(BL43IR)の試料セルに封入し、赤外顕微分光測定を行い、得られたスペクトルを解析することによりDNAの断片化過程を調べた。アポトーシスを起こしていない正常な細胞核および、アポトーシスの進行を制御した細胞核を用い、リング形状、ネックレス形状、崩壊状態のそれぞれの各ステージにある個々の細胞核の赤外線吸収スペクトルを測定した結果、アポトーシスによる強度の減少が指摘されている 1000 cm
-1付近の PO
2- モードのスペクトルにアポトーシスのステージによる特徴的な差異が確認できた。
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高橋 聡, 小井川 浩之, 関口 博史, 佐々木 裕次
2018 年6 巻1 号 p.
38-41
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
タンパク質が変性状態から天然状態にフォールディングする過程の解明を目指し、プロテインAのBドメイン(BdpA)のゆらぎ運動をX線1分子追跡法(DXT法)を用いて観察することを試みた。金基板にBdpAと金ナノ結晶を滴下した試料についてDXT測定を行い、多数の回折点を検出した。変性剤濃度が低い条件では回折点の揺らぎ運動は制限されており、金ナノ粒子と基板の間の相互作用が示唆された。一方で、変性剤濃度が高い条件では比較的速い運動が検出される場合があった。この条件では、変性したBdpAの鎖の揺らぎ運動を観察できた可能性がある。
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田中 るみか, 慶澤 景子, 渡邉 朋信, 川口 辰也, 今田 勝巳
2018 年6 巻1 号 p.
42-45
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
YFPは発色団近傍の7番目のβ鎖にアミノ酸を挿入すると、蛍光の圧力応答性が著しく向上した変異蛍光タンパク質が得られるが圧力応答性が生じる原因は不明である。本研究では、系統的に挿入変異を行ったYFPについて様々な圧力下での構造解析を行い、蛍光圧力応答の構造基盤を明らかにすることを目的として、加圧セル材のテストとYFP1残基挿入変異体YFP-Qの構造解析を行った。
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石井 賢司, 佐藤 研太朗, 浅野 駿, 藤田 全基, 中尾 裕則
2018 年6 巻1 号 p.
46-49
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
CuO
2面が三層重なったBi系銅酸化物高温超伝導体 Bi
2Sr
2Ca
2Cu
3O
10+δ(Bi2223)における電荷密度波を探索するため、高エネルギーX線回折実験を行った。低温で出現し、温度上昇により消失する超格子反射は観測されたが、銅 L
3 吸収端では等価な波数位置には観測されないため、電荷密度の変調に由来した超格子反射ではないと結論づけた。結晶中のCuO
2面間でホール濃度が不均一である三層系における電荷密度波の特徴とその超伝導との関係について議論を行う。
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裏出 令子, 伊中 浩治, 古林 直樹, 東野 ゆうき, 松﨑 元紀, 奥田 綾, 加茂 昌之
2018 年6 巻1 号 p.
50-54
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
脳神経細胞の小胞体に高発現する分子シャペロンER-60はアルツハイマー病の原因と考えられているアミロイドβペプチドの線維化を阻害する。生化学的な解析から、ER-60の
bb’ 領域がアミロイドβペプチドと結合することで線維化を阻害することが明らかとなっている。本研究では、結晶構造解析により
bb’ の境界領域にアミロイドβペプチドが一定の決まった配位ではなくフレキシブルな結合様式で結合することを明らかにした。
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岡田 真, 池本 夕佳, 森脇 太郎
2018 年6 巻1 号 p.
55-59
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
ナノインプリントグラフォエピタキシーによって作製した分子配向を有する液晶微細構造物の分子配向を評価するため、BL43IRによる局所領域における偏光IR測定を行った。測定の結果、ラインアンドスペースパターン内の分子が配向していることが分かった。
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吉田 力矢, 後藤 遼平, 松浦 徹, 丹田 聡, 香村 芳樹, 田中 良和, 西野 吉則
2018 年6 巻1 号 p.
60-64
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
本実験課題では、コヒーレントX線回折による電荷密度波物質の研究に向けた事前検討を目的として、X線光学系・測定装置系の設置と、1T-TaS
2 をテスト試料に用いた評価をBL29XUにおいて行った。室温における評価では、1T-TaS
2 の衛星反射におけるスペックルパターンを測定できることを確認した。試料に電流を印加して行った測定では、コヒーレントX線回折パターンに有意な変化は観測されなかったが、電流印可方法に問題があった可能性があり、断定的な結論は得られなかった。温度依存性の測定に向けた検討では、低温測定用クライオスタットのベリリウム窓材がコヒーレントX線回折パターンに影響を与えることが確認された。更に、ヒーターを使用して試料を 〜370 K まで加熱した測定では、ブラッグピークの強度分布に揺らぎが観測され、高温では測定系が十分に安定していないことが示された。
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黒田 靖, 李 定, 細木 康弘, 宮石 壮
2018 年6 巻1 号 p.
65-67
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
可視光照射によって、抗菌・抗ウイルス性能を発揮する、銅(II)化合物担持酸化チタン(昭和電工(株)「ルミレッシュ®CT-2」)について、表面の銅化合物の構造や、光照射時の銅の価数を明確にすることを目的として、SPring-8 BL14B2ラインを使用して、XAFS分析を行った。抗菌・抗ウイルス挙動から考慮して、光照射によって酸化チタン表面にて銅(I)化合物の生成が強く示唆されるが、今回の測定では、銅(I)に帰属できる結果を得ることはできなかった
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平田 和久, 水野 弘之, 柴田 慎弥, 小川 賢, 久保田 是史, 栗山 明子, 伊藤 広一
2018 年6 巻1 号 p.
68-71
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
リチウム ビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)はリチウムイオン電池の主電解質としてだけでなく、添加剤として使用することにより電池の性能を向上させることができる。本検討ではLiFSIをリチウムイオン電池の添加剤として使用し、満充電状態での高温保存試験を行った。高温保存試験の結果、LiFSIを添加することにより電池の容量維持率を向上させることが可能であった。また、保存試験後の正極をXPSおよびHAXPESによる分析を行った結果、LiFSIの添加により正極最表面のコバルト原子の価数変化が生じないこと及び正極上の堆積物が低減することが確認された。
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福谷 (野田) 実希, 妹尾 政宣
2018 年6 巻1 号 p.
72-74
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
優れた化学的安定性を有するシリコーンゴムは、様々な用途で使用されているが、引裂き強度の弱さが課題である。我々は補強材としてナノシリカを充填することにより、高引裂き強度を備えたシリコーンゴムを開発している。本研究では、延伸過程における構造変化を極小角X線散乱および小角X線散乱測定により評価した結果、高次構造の変形が観察された。
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三原 諭, 網野 直也, 菅原 優輝, 西辻 祥太郎, 佐藤 翔, 和泉 英二, 山口 薫, 竹中 幹人
2018 年6 巻1 号 p.
75-81
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
シリカ充填ゴムに周期的なせん断変形を与えながら、時分割超小角X線散乱と粘弾性特性の同時測定を行ない、ゴムの内部構造と粘弾性特性の関係を調べた。ゴムに50%せん断ひずみを周期的に与えても散乱プロファイルに変化は見られなかった。せん断ひずみが200%に達するとシランカップリング剤配合の有無に関わらず、不可逆な散乱プロファイル変化を示した。また、シランカップリング剤未配合のゴムは、せん断変形による散乱プロファイルの変化が大きくなった。これらの散乱プロファイルの変化は、繰り返しせん断変形における応力-ひずみ曲線より得られるリサージュ面積の変化に対応することから、フィラー充填ゴムのエネルギーロスは、変形に伴うフィラー構造の変化に起因することが示唆された
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岡本 薫, 岡部 崇志, 武田 一樹, 阿部 芳巳
2018 年6 巻1 号 p.
82-85
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
電圧印加により発光した状態の有機EL素子について硬X線光電子分光(HAXPES)測定を行った。電圧印加に伴うXPSピークのシフト幅を比較した結果、発光層とホール輸送層の間に最も大きな差があり、印加した電位差がこの領域の電荷移動で費やされていることを直接的に観測できた。
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谷屋 啓太, 今井 智太, 桶本 篤史, 市橋 祐一, 西山 覚
2018 年6 巻1 号 p.
86-92
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
SnまたはCoカチオンを水素雰囲気下の液相中で Pt/SiO
2 上に還元析出させた、Sn-deposited Pt/SiO
2 触媒および Co-deposited Pt/SiO
2 触媒における各添加金属種の局所構造についてX線吸収微細構造(XAFS)測定を行った。XANESの結果から、Pt/SiO
2 上に析出したSn種およびCo種はそれぞれ4価および2価で存在していることがわかった。また、EXAFSの結果から、SnおよびCoの最近接にはO原子が存在することが示唆されたが、それぞれの化合物種の同定には更なる検討が必要である。
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高垣 昌史, 井上 大輔, 古川 行人, 本間 徹生
2018 年6 巻1 号 p.
93-95
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
BL14B2において開発を進めている遠隔XAFSシステムを構成する、自動光学調整、自動試料搬送ロボット制御、およびQuick XAFS測定プログラムの完成を受け、総合動作試験、およびBL-USER-LANの外部からの遠隔操作試験を行った。
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簗瀬 香織, 藤崎 裕子, 八田 一郎
2018 年6 巻1 号 p.
96-100
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)適用によるヒト皮膚角層構造変化と、多価アルコールの添加が構造変化に与える影響を、X線散乱測定により観察した。SDSの適用により、角層細胞間脂質の長周期ラメラ構造は明らかに膨潤し、短周期ラメラ構造はほとんど変化しなかったが、多価アルコールはラメラ周期に影響を及ぼさなかった。細胞間脂質充填構造はSDS単独ではほとんど変化しなかったが、多価アルコールを添加すると、格子間隔が増加し、充填構造を緩めた。
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山口 展史, 梅木 孝, 順毛 直憲, 樋口 弘幸, 小原 真司
2018 年6 巻1 号 p.
101-104
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
硫化物系固体電解質ガラスLi
3PS
4において、ラボで合成可能なメカニカルミリング法(MM法)と量産化が見込める溶媒を用いた製法(新プロセス法)によるÅ~nmスケールの構造差を、HEXRD (High Energy X-Ray Diffraction) により調べた。両製法を比較した場合、二体分布関数
G(
r)による局所構造評価では有意な差は見られず新プロセス法においてもMM法と同等の局所構造を有する材料を合成できることが分かった。一方で構造因子
S(
Q)において、新プロセス法により合成した材料は
Q が0.5 Å
-1以下の低波数領域に強い散乱が見られたことから、ナノサイズよりも大きい領域で、異なる製造法により構造差があることが分かった。また、SAXS (Small Angle X-ray Scattering) 測定の結果から、これは球形近似で数十nmの構造体であることが分かった。
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秋田 貢一, 中谷 隼人, 荻原 慎二, 菖蒲 敬久, 城 鮎美, 井川 直樹, 下条 豊
2018 年6 巻1 号 p.
105-108
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)とチタン箔(Ti)を交互に積層した CFRP/Ti 積層板に機械的曲げ負荷を与え、それに伴う各 Ti 層のひずみ挙動を放射光X線回折により測定した。実験結果から、CFRP/Ti 積層板内の各 Ti 層の弾性ひずみ挙動が、放射光X線回折によって非破壊的に測定できることが示された。
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日良 聡, 上田 厚志, 鈴木 健治, 武田 龍二, 沼子 千弥
2018 年6 巻1 号 p.
109-114
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
バイオマス燃料の発熱・発火原因を究明するため、バイオマス燃料に含まれる鉄について、BL14B2のXAFS測定システムを用いて鉄K吸収端XAFS測定を行った。標準物質で調製した模擬試料の測定結果より、炭化物製造過程で安定な三価の鉄化合物から、Fe
3O
4 に変化する可能性が示唆された。
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小野 道雄
2018 年6 巻1 号 p.
115-124
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
ポリプロピレン/熱可塑性エラストマーブレンドの長周期及び格子定数の温度変化を小角X線、広角X線散乱測定を用いて調べた。PP長周期は温度と共に増大した。エラストマーブレンドによりPP長周期は大きく増加し、高メルトインデックス(低粘度)のエラストマーブレンド系ほど長周期の温度変化が大きくなることがわかった。またPP格子定数は
a、
c 軸はエラストマーブレンド系において大きく増加したが、
b 軸は若干小さくなることがわかった。各格子定数の温度変化はエラストマーのメルトインデックスと強い相関があることもわかった。
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岩井 広幸, 齋藤 正紀, 高橋 洋祐
2018 年6 巻1 号 p.
125-128
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
固体酸化物形燃料電池(SOFC)電極に用いる酸素イオン伝導材料として、現在もっともよく利用されているのがぺロブスカイト型酸化物 La
0.6Sr
0.4Co
0.2Fe
0.8O
3−δ(LSCF)である。長期信頼性の確立、さらなるコスト低減を推し進めることで、SOFCの普及拡大が期待されている。SOFCの作動温度条件におけるLSCFの主要な劣化要因は、微量存在する不純物との反応による材料組成変化(高抵抗相の形成等)である。LSCFの合成条件や発電条件が異なる場合において結晶構造の安定性について工業的に重要な知見が得られた。製造時から発電時まで、材料の結晶性を安定させるために合成温度を高くすることが有効であるという指針を得られた。
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羽深 朱里, 難波 美沙, 小林 加奈, 大畑 哲也, 山田 武, 八田 一郎
2018 年6 巻1 号 p.
129-132
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
保湿剤として汎用されるグリセリンや 1,3-ブチレングリコールの角層に対する保湿機構を解明するため、前検討でこれらを作用した角層の乾燥時の構造変化を小角・広角X線回折により測定した。その結果、保湿剤の種類により乾燥時の構造の変化に差は見られたが、湿潤時の影響をあわせて評価することの重要性が示唆された。そこで本検討では、保湿剤を作用した角層の湿潤、乾燥による一連の変化を連続的に測定する方法の確立に向け、検討を行った。試料セルに固定した角層について保湿剤の作用から乾燥までを同一の試料を用いて連続的に評価したところ、小角・中角領域に見られる角層構造の格子面間隔(
d)は作用により拡大し、乾燥により縮小することが確認された。また、その変化は作用する保湿剤により異なった。今後、この方法を用いて保湿剤の影響の評価が可能と考えられる。
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岩井 広幸, 齋藤 正紀, 高橋 洋祐
2018 年6 巻1 号 p.
133-136
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
固体酸化物形燃料電池(SOFC)電極や集電材に用いる酸化物イオン伝導材料として、現在もっともよく利用されているのがぺロブスカイト型酸化物 La
1-xSr
xCo
1-yFe
yO
3-δ(LSCF)である。長期信頼性の確立、さらなるコスト低減を推し進めることで、SOFCの普及拡大が期待されている。SOFCの作動温度条件におけるLSCFの主要な劣化要因は、周辺部材の耐熱合金から蒸散してくるCrとの反応により、電極としての活性が低下することである。本実験にて微量存在するCrとLSCF組成による反応性の変化を確認した。材料の安定性や不純物相などの情報は工業的に重要な知見である
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大畑 孝司, 廣沢 一郎, 渡辺 剛, 牧浦 理恵
2018 年6 巻1 号 p.
137-140
発行日: 2018/01/25
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
配位高分子は、有機分子を主成分とした多孔性物質であり、有機分子の設計性を生かし、細孔サイズや形状を多様且つ容易に変化させることができる。そのため、ナノシート化により、透過性と選択性を兼ね備えた分離膜としての応用が期待される。これまでに、気液界面を用いて配位高分子ナノシートの作製に成功しているが、ナノシートの形成状態(厚さ、面積、結晶化度)に影響を及ぼす条件因子、ガス選択性や透過性は未解明である。本課題においては、固体基板に転写した配位高分子ナノシートの構造評価及び気液界面におけるナノシート形成過程解明のためのその場測定に向けた条件確認を行った。波長 0.124 nm における微小角入射X線回折(GIXRD)測定を行い、in‒plane および out‒of‒plane 測定の両方に関してピークが得られていることから、配位高分子ナノシートは高い結晶性を有し、さらに基板に対して配向していることがわかった。また、ビーム打ち下ろし設定における水表面からの全反射の確認を行った。
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