アンサンブル
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16 巻, 1 号
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学術賞受賞寄稿
特集「反応経路探索」
連載
  • —凝縮系の第一原理計算の方法論について—
    高橋 英明
    2014 年16 巻1 号 p. 51-54
    発行日: 2014/01/31
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
    大規模系の電子状態計算において要となるKohn-Sham の密度汎関数法(DFT)について,そのいくつかの問題点をレビューする.その1つは,Kohn-Sham 法において変分探索する電子密度の集合にある.通常のやり方では,実際には,相互作用の無い参照系の「基底状態」電子密度の集合のみを探索することになる.この密度の集合は,本来探索すべきN-表示可能な密度の部分集合にしかなっていないので,正しい電子密度に辿りつけない可能性がある.また,全エネルギーへの寄与の大きな交換汎関数Ex[n]について,これまでの主流の汎関数開発の経緯とその設計指針を論じ,それらとは異なる始点を持つBecke-Roussel 汎関数の概要と利点を紹介する.現在の主流の交換汎関数は一様な電子ガスの交換ホールをモデルとして構築されているが,このモデルは,原子や分子のように,その外縁部の密度が一様性から著しく逸脱する場合には適切ではない.Becke-Roussel のモデルは,原子,分子系の応用にとって理にかなった描像を与えるものである.
  • 志賀 基之
    2014 年16 巻1 号 p. 55-58
    発行日: 2014/01/31
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
    近年の大型並列計算機の発展とともに分子シミュレーションと電子状態計算を統合した第一原理シミュレーションが普及し,国際標準になりつつある.これを用いて,従来では扱えなかった複雑な化学反応動力学や,光吸収や電磁場応答のような電子状態由来の物性などを対象に,さまざまな応用研究が広まっている.本稿では,電子状態理論の基礎をなすHartree-Fock 法について,分子シミュレーションとの接点を少し意識しながら再考したい.
最近の研究から
  • 芝 隼人, 野口 博司
    2014 年16 巻1 号 p. 59-64
    発行日: 2014/01/31
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
    本稿では,オニオン相と呼ばれる界面活性剤の高次構造を伴う状態に関する,最近の著者らによる大規模粗視化分子シミュレーションの紹介を行う.剪断流下で多層ベシクル状態が形成される実験が1990 年前後に提出されて以来,この問題は典型的なソフトマターの動的構造形成の問題として知られるようになったが,その起源と物理機構は知られていない.我々はモデルの粗視化と計算規模の拡大,という2つをかけあわせた手法を用いることによりこの問題の解明に向けて取り組んでいる.本稿では研究内容についての簡潔な紹介に加えて,シミュレーション手法も記述する.
研究室だより
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