家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
2 巻, 2 号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
原著
  • 平家 勇司, 佐々木 晴子, 福岡 しのぶ, 谷水 正人, 大住 省三, 土井 俊彦, 藤井 大輔, 菅 英樹, 江口 研二, 高嶋 成光
    2002 年2 巻2 号 p. 37-44
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/11/28
    ジャーナル オープンアクセス
    四国がんセンターでは,平成12 年に研究目的の家族性腫瘍相談室を立ち上げ,その活動の中で家族歴調査とそのデータベース化を行っている.家族歴調査は調査票を用いて全入院患者を対象として原則主治医が行い,その実行状況を毎週1 回家系調査員が確認することとしている.確認後,未調査症例に関しては家系調査員による直接調査を含めて再調査の試みを行っている.この方法によって,実施前と比較し家族歴調査の補足率ならびに調査内容は徐々に向上してきている.回収された調査票は家族性腫瘍相談医がチェックし,家族性腫瘍の診断基準にあてはまる症例ならびに強く疑う症例は,家族歴を含むデータベースに登録することにしている.データベースは市販の家系図管理ソフト・プロジェニーを用いて構築されている.当院のデータベースの特徴として,家系図・患者基本情報に加えて,当院イントラネットより生化学データや画像データを直接取りこむことができる.このデータベースは,今後の家族性腫瘍の診療において有力な基盤になると期待される.
症例報告
  • 金田 真理, 吉岡 俊昭, 小野 次朗, 樋野 興夫, 吉川 邦彦
    2002 年2 巻2 号 p. 45-50
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/11/28
    ジャーナル オープンアクセス
    結節性硬化症は全身の過誤腫を特徴とする常染色体優性遺伝性の疾患で,近年その原因遺伝子TSC1,TSC2が染色体の9 番,16 番上に同定された.本症の好発部位は,中枢神経系,皮膚および腎であり,腎病変は本症の80%以上に認められるが,大部分は良性の血管筋脂肪腫 (AML) あるいは腎嚢腫で,腎癌の発症はまれである.また,現時点では,本症と腎癌の関係については不明な点が多い.今回我々は腎癌を伴った結節性硬化症の一例を経験した.症例は,18 歳の女性で,典型的な結節性硬化症の臨床症状を呈し,16 番の染色体上にpoint mutation が確認されたTSC2 の孤発例である.腎症状は血尿と腹痛のみで,腎エコーやCT 検査でも多発性の AML と血腫の所見のみで,腎癌の所見は認められなかった.突然の腎出血のために,腎摘出術が施行され,摘出腎の組織検査の結果,AML に合併する多発性の腎癌が判明した.腎癌は病理組織学的にはclear cell carcinoma で,免疫組織化学的にはAML 部で認められたHMB-45の発現が陰性で,cytokeratin, anti-human epithelial membrane antigenの発現が認められた.
feedback
Top