家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
3 巻, 2 号
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特集 : HNPCC の診療と研究
解説
原著
  • 西上 隆之, 田村 和朗, 指尾 宏子, 武田 直久, 嵯峨山 健, 沖村 明, 平野 博嗣, 中正 恵二, 山村 武平, 宇都宮 譲二, ...
    2003 年3 巻2 号 p. 79-84
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/11/28
    ジャーナル オープンアクセス
    現在のアムステルダム診断基準II においてはHNPCC 関連癌が3 名以上認められない家系は遺伝性非ポリポーシス大腸癌(以下HNPCC)とは認識されない.したがって,当然のことながら新鮮突然変異例のHNPCC 例はHNPCC とは認識されないことになる.そこで,Japanese Clinical Criteria の診断基準の1 項目である多発性大腸癌症例に注目し,遺伝子不安定性検査を用いて絞り込みを行い,HNPCC 例のスクリーニングが可能か検討した.また,ミスマッチ修復蛋白(以下,MMR 蛋白)の免疫染色による発現解析を行い,遺伝子不安定性検査同様にスクリーニングの有効性を検討した.多発大腸癌19 例31 病変を対象にマイクロサテライト不安定検査(MSI)とミスマッチ修復システムの標的遺伝子と考えられるTGFBR2,BAX,MSH6 遺伝子の遺伝子解析を行った.多発大腸癌におけるMSI-High は19 例中6 例(31.6%),31 病変中11 病変(35.5%)に認められた.MSI-High あるいはMSI-Low は19 例中16 例(84.2%),31 病変中26 病変(83.9%)に遺伝子不安定性が検出された.MLH1およびMSH2 の免疫染色結果は,MLH1 染色陰性は15/31(48.4%),MSH2 染色陰性は6/31(19.4%),MLH1 およびMSH2 ともに陰性病変は6/31(19.4%),双方陽性病変は16/31(51.6%)であった.MSI-Highの11 病変中MLH1 およびMSH2 ともに陰性病変は5 病変(45.5% ),MLH1 陰性でMSH2 陽性が4 病変(36.4%),いずれかの蛋白発現陰性例は9 病変(81.8%)であった.MSI-High の状態とMLH1 およびMSH2 発現異常に相関が認められ,HNPCC のスクリーニングの手段と考えられた.また,同一症例に発生した異なる腫瘍の解析結果は高い確率で一致していた.MSI-High,標的遺伝子群であるTGFBR2,BAX,MSH6 遺伝子等の異常,MMR 蛋白であるMLH1 およびMSH2 の発現異常は併用することでHNPCC 例の絞り込みに有用であると考えられた.
症例報告
  • 権田 憲士, 野水 整, 山田 睦夫, 片方 直人, 渡辺 文明, 山口 佳子, 渡辺 秀一, 和知 栄子, 藤田 隆史, 佐久間 秀夫, ...
    2003 年3 巻2 号 p. 85-91
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/11/28
    ジャーナル オープンアクセス
    遺伝性非ポリポーシス大腸癌(Hereditary nonpolyposis colorectal cancer : HNPCC)の原因遺伝子であるミスマッチ修復遺伝子のうち主たる役割を果たすhMLH1 とhMSH2 の二つの遺伝子は染色体の3p21–23 と2p21–22 にそれぞれ位置する.それらの胚細胞変異により,消化管,子宮体部や尿管系に腫瘍が発生する.我々は,HNPCC 家系の多発癌(胃癌,大腸癌,脳腫瘍)の患者におけるhMLH1 およびhMSH2 の胚細胞変異の解析を試みた.long RT-PCR でhMLH1 のexon2 に欠失があることがわかり,genomic DNA においてはexon2 のdonor site にGT2 塩基の欠失を認めた.今回の遺伝子変異はこれまで報告がないいわゆるnovel mutation であると考えられた.また,遺伝性大腸癌と脳腫瘍の合併に関してTurcot 症候群にも言及し文献的考察を加えた.
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