日本ベンチャー学会誌
Online ISSN : 2433-8338
Print ISSN : 1883-4949
21 巻
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寄稿論文
  • ―世界における特殊性は、日本の地域間でどこまで当てはまるのか―
    高橋 徳行
    原稿種別: 寄稿論文
    専門分野: 経営学
    2013 年 21 巻 p. 3-10
    発行日: 2013/03/15
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー
    わが国の起業活動は他の先進国と比べて低迷しており、その大きな要因の1つが起業態度にある。 第15回日本ベンチャー学会全国大会(2012年)でも報告したように、日本では起業態度を有する人の割合が圧倒的に少ない。つまり、グローバル・アントレプレナーシップ・モニター(Global Entrepreneurship Monitor: GEM)のモデルにおける起業家予備軍(Potential Entrepreneur)が少ないことが、起業活動に従事している人の少なさにつながっている。しかし、日本の場合、起業家予備軍からの起業率を見ると、多くの先進国を上回り、米国並みの水準になることもあわせて報告した。本稿では、他の先進国の中での日本の特徴が、国内の異なる地域間でどの程度まで当てはまるのかを検証した。つまり、GEMのデータによると、日本国内でも、地方圏は大都市圏に比べて起業活動は低迷している。そして、活動水準の違いは態度水準の違いに反映されている。ここまでは、世界の中の日本の特徴が、日本の地域間の特徴になって表れているが、起業家予備軍からの起業率を見ると、地域間に違いはない。以上から、起業態度に働きかける方法は、日本においては地域を問わず有効である一方で、地域間の起業活動の違いは起業態度だけでは十分に説明できないことも明らかになった。
研究論文
  • 藤原 孝男
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 経営学
    2013 年 21 巻 p. 11-20
    発行日: 2013/03/15
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー

    本稿では、資源制約が大きく且つ製品の上市まで10年以上かかる創薬系バイオベンチャーが、金融危機などのシステミックショックに対して研究開発を継続するための耐性向上に向け、リアルオプションの応用可能性を検討する。本稿の構成として、先ず、バイオベンチャーの研究開発継続に向け投資環境の現状分析を行ない、続いて、リアルオプションの決定留保機能に関する基礎理論を検討する。その後、仮想的な医薬開発プロセスを前提にベンチマークとしての単独開発と共同開発とを途中で選択できるシーケンシャル・コンパウンド・スイッチングオプションによる柔軟性の価値を考察する。さらに、当該データを基に、市場・共同開発のリスク(ポテンシャル)に関する選択マッピングを試み、各リスクに対応したNPVの推移の3次元化や、ボラティリティとの関係のグラフ化によって、指標による意思決定の支援を目指す。

  • ―ケンブリッジ地域の事例分析―
    田路 則子, 露木 恵美子
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 経営学
    2013 年 21 巻 p. 21-32
    発行日: 2013/03/15
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー

    ハイテク・スタートアップのグローバル展開のモデルは、知識ベース型と知識集約型に類型化することができる。本稿では、グローバル展開のタイミングと資源調達に関する命題を提示し、英国ケンブリッジ地域における4つの事例を検証した。知識ベース型は、設立初期より標的はグローバル市場であり、急速な市場浸透をはかる。コア技術、資金、人材等の資源調達のグローバル度は高くなる。一方、知識集約型は、限定的なローカル市場からスタートし、コア技術、資金、人材等の資源調達のグローバル度は高くない。しかし、利便性の高いビジネスモデルを確立することによって、次第にグローバル市場へと事業を拡大していく。

  • ―社内ベンチャー推進組織に関する一考察―
    橋本 良子
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 経営学
    2013 年 21 巻 p. 33-43
    発行日: 2013/03/15
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー

    企業は自らの成長と存続を目指し、新たな事業分野へ進出するためのイノベーション活動を積極的に推進する必要性に迫られている。イノベーション活動を成功させるための手法として、コーポレートベンチャリング(以下CVと称する)は、企業成長を目指し、企業を存続させるための一つの有用な手法である。本稿では、CV推進組織を投資スタイルから、社内ベンチャーへの投資と社外ベンチャーへの投資に分類した。さらに社内ベンチャーへの投資は、組織の底辺から湧き上がった事業アイデアを基に新規事業を立ち上げる創発性重視型と、企業の将来の柱となる事業をつくることを目的としトップの関与が強い戦略主導重視型の2つに分類される。本稿では、社内ベンチャーへの投資から導き出されたCV推進組織の2つのタイプ別にその推進者像について論じることにする。また、その推進者像を従来型組織のマネジャー像と比較することで、その違いを明らかにし、今後のCV推進組織における推進者任用に必要な要件を考察する。

  • 小澤 哲夫
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 経営学
    2013 年 21 巻 p. 45-59
    発行日: 2013/03/15
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー

    本研究は、現場主導の新規プロジェクトの成功要因とプロジェクト・ブランディングによる資源動員に関する研究である。現在の経済環境の下では、企業はイノベーションと新規事業の創出により長期的な競争力を高めていく必要がある。現場社員は日々、顧客に接し、顧客のニーズやウォンツを熟知している。そのため、新規プロジェクトは現場社員の活用が有効であると考える。現場主導の新規プロジェクトが成功するためには、当該プロジェクトが正当化され、資源が投入される必要がある。投入資源としては、当然のことながら経営陣からの経営資源(ヒト・モノ・カネ)の投入があり、さらにプロジェクトに優秀なメンバーがプロジェクトに参画することも必要である。先行研究および定性分析により、成功要因となる変数を設定し、それらを定量分析で検証した。その結果、経営陣の支援と優秀メンバーのプロジェクトへの参画という資源動員がプロジェクトに影響を与えることが明確となった。さらに、そのような資源動員にはプロジェクト・ブランディングが有効であることも併せて確認された。

  • ―潜在顧客から“探し当てられる”戦略の効果と課題―
    名取 隆
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 経営学
    2013 年 21 巻 p. 61-74
    発行日: 2013/03/15
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー

    本研究は、中小企業に必要な技術マーケティングとその具体策としての潜在顧客から“探し当てられる”戦略の効果と課題について論じたものである。研究方法として最初に命題を設定し、予備的アンケート調査を行い、課題を抽出した。次にインタビュー調査によって課題の内容を具体的に探り、新たな知見を得る方法を採った。設定した命題の第一は自社技術を「見える化」して、潜在顧客から「探し当てられる」戦略の有効性である。第二は潜在顧客から「探し当てられる」手法としてのウェブサイトの最適性である。第三は模倣リスク対策と顧客の秘密情報保護の問題である。これらの命題を検討した結果、ほぼその妥当性が認められたほか、課題に関する新たな知見が得られた。それらは次の通りである。第一は競合企業による模倣リスク対策としての製造工程の秘匿の必要性である。第二はBtoB取引のため生じる自社技術の説明困難性と顧客の限定性である。第三は顧客の問題を解決する提案力及びそのための社内体制整備の必要性である。結論として、ウェブサイトは中小企業が潜在顧客から「探し当てられる」ためには最も効果的な手段であると同時に、克服すべき複数の課題が存在することが明らかとなった。

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