地質学雑誌
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114 巻, 2 号
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論説
  • 貴治 康夫, 沓掛 俊夫, 中野 聰志, 西村 貞浩, 澤田 一彦, 杉井 完治, 多賀 優, 竹本 健一, 天白 俊馬
    2008 年114 巻2 号 p. 53-69
    発行日: 2008/02/15
    公開日: 2009/02/21
    ジャーナル フリー
    東西6 km・南北7 km規模の比叡花崗岩体は,琵琶湖周辺の白亜紀末山陽帯花崗岩体のうちで,最も西寄りに位置する.これまで琵琶湖コールドロン形成に関係した琵琶湖南部環状花崗岩体の西端部の岩体と考えられてきた.比叡花崗岩体は,中心相と考えられる中粒斑状黒雲母花崗岩とそれを取り囲むように分布している中粒等粒状黒雲母花崗岩からなる.両者は漸移関係にあり,活動時期は100 Ma頃と推定される.比叡花崗岩は,年代値,岩相,化学的性質において琵琶湖南部の他の花崗岩類とは異なるので,およそ70 Maの琵琶湖コールドロン形成に直接関与した環状岩体を構成するものとしては考えられない.本岩体中には,岩体西縁部で南北方向に貫入している花崗斑岩脈と花崗閃緑斑岩脈のほかに,優白質微花崗岩,流紋岩,玄武岩,ランプロファイアの小岩脈が岩体全体に点在している.そのうちの花崗斑岩と花崗閃緑斑岩の岩脈は,琵琶湖コールドロンの外縁を画する環状岩脈の一部であると考えられる.
  • 中島 礼, 水野 清秀, 古澤 明
    2008 年114 巻2 号 p. 70-79
    発行日: 2008/02/15
    公開日: 2009/02/21
    ジャーナル フリー
    渥美半島に分布する中部更新統渥美層群の田原層と豊橋層に挟在する2層のテフラの岩石学的特徴を記載・分析した.田原層赤沢泥部層に挟在するAt-3upテフラは,多孔質型と低発泡~無発泡のその他型の火山ガラス(n=1.505-1.508)と緑色普通角閃石(n2=1.674-1.683)によって特徴づけられ,その屈折率と火山ガラスの化学組成から,六甲山地西麓に分布する高塚山テフラに対比される.また,豊橋層寺沢泥部層に挟在するガラス質テフラを伊古部-1(Ikb-1)テフラとして新たに記載した.このテフラは主に扁平型で,その屈折率がn=1.501-1.503の火山ガラスから構成され,その屈折率と化学組成から,南九州を給源とする広域テフラの加久藤テフラに対比される.これらのテフラの対比に基づき,田原層と豊橋層の堆積した時期がそれぞれ主に海洋酸素同位体比ステージの11と9に対応することを明らかにした.
  • Fumio Kobayashi
    2008 年114 巻2 号 p. 80-87
    発行日: 2008/02/15
    公開日: 2009/02/21
    ジャーナル フリー
    龍野-相生地域の舞鶴テレーンは,夜久野岩類のほかに,模式地の舞鶴層群中部層・上部層と夜久野層群わるいし層にそれぞれ対比される上部ペルム系龍野層と中部三畳系平木層から構成される.従来知られている平木層と新たに確認された平木層は泥岩・砂岩を主体とし,3層準に径20 m以下の石灰岩を介在する.Meandrospira dinarica Kochansky-Devidé and Pantic, Meandrospira pusilla(Ho)など年代決定に有効な有孔虫化石が検出されたことから石灰岩の年代はアニシアン前期(Aegean)といえる.石灰岩は成層し,砕屑性石英粒を多く含み,大半が海百合・二枚貝などの生砕物を含む陸棚浅海相のウーイド石灰岩からなる.平木層の石灰岩の産状や岩相は,黒瀬川テレーンに分布する貝沢層や田浦層のものに酷似する.一方,7属8種から構成される平木層の有孔虫フォーナは,貝沢層や田浦層のフォーナに比べ種の多様性が低く,両層やテーチス海域のアニシアン後期(Pelsonian・Illyrian)のフォーナに特徴的なPilammina densa PanticやInvolutinid科の属種を欠くなど群集組成も異なる.
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口絵
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