環境情報科学
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最新号
「環境情報科学」54巻1号
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表紙
目次
特集:持続可能な都市・社会に向けたモビリティシフト
  • 武内 和彦
    2025 年 54 巻 1 号 p. 1-
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2025/07/21
    ジャーナル 認証あり
  • 森本 章倫
    2025 年 54 巻 1 号 p. 2-6
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2025/07/21
    ジャーナル 認証あり
    人口減少社会における持続可能な都市モデルとしてコンパクトシティ政策が日本各地で進められている。一方で,情報通信技術(ICT)を活用したスマートシティ政策が国内外で大きな注目を浴びている。このような AI や ICT などの進展や,自動運転を始めとする新技術が都市にどのような影響を与えるかは不明瞭な点が多い。どうすれば新技術とこれまでのコンパクト化政策を賢く融合することができるのか。本稿では次世代交通として ICT を活用した「人中心の交通システム」を紹介し,土地利用と交通の相互関係をもとに,持続可能な都市へと誘導する望ましいモビリティのあり方について解説する。
  • 谷口 綾子
    2025 年 54 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2025/07/21
    ジャーナル 認証あり
    本稿では,持続可能な交通社会に向けて人々の交通行動変容を促すソフト施策,モビリティ ・ マネジメントが正当化され得る条件について,社会的ジレンマという概念を用いて論じるとともに,その拡張可能性を述べた。さらに電動キックボード,自動運転システム,MaaS といったモビリティのイノベーションにおいて,人々の態度・行動変容を促す説得的コミュニケーションを公共政策として実施する際の留意点について論じた。モビリティ・マネジメントという営みは,この社会が享受している利便性とリスクを考え,最悪の状況を覚悟してそれに備えることで社会的ジレンマの緩和につなげていくことなのである。
  • 今 佐和子, 淺見 知秀
    2025 年 54 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2025/07/21
    ジャーナル 認証あり
    本稿は,ウォーカブルシティについて,その概念,参照すべき海外事例,必要な施策,地方都市での実践について,筆者ら個人の見解,経験をまとめたものである。筆者らは,ウォーカブルシティとは,単に歩きやすい街ではなく,国土交通省が示す「歩きたくなる」に加え「誰もが移動の自由がある」まちであると考える。その実現には,都市空間(特に道)を「クルマ中心」から「ひと中心」へ,移動手段(モビリティ)を「クルマ中心」から「徒歩・公共交通中心」へと変化させること,つまり単にインフラ整備にとどまらずライフスタイル自体を転換していくことが必要である。
  • 本田 信次
    2025 年 54 巻 1 号 p. 22-29
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2025/07/21
    ジャーナル 認証あり
    富山市では,2006年4月の富山港線路面電車化事業(ポートラム),2009年12月の路面電車南北接続事業(セントラム)に続き,2020年3月,「公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくり(以下,コンパクトなまちづくり)」の一つの到達点である路面電車南北接続事業が完成し,全長約15kmに及ぶLRTネットワークが形成された。これにより路面電車の利便性が飛躍的に向上するとともに,1908年の富山駅開業により南北に分断されていた市街地の一体化が図られ「市民百年の夢」が実現した。限られた時間のなかで整備できた背景には,市長のリーダーシップや国のタイムリーな支援,官民連携などがある。また,コンパクトなまちづくりの一環として,京都大学などと連携して交通と健康のモニタリング調査を実施し,歩くライフスタイルの意義を検証してきた。本稿では市民のQOLの向上につながるこれらの事業の苦労した点や課題さらには,「富山市スマートシティ推進ビジョン」や「富山市総合交通計画」に基づく公共交通のDX化などの取り組みについて述べる。
  • 松村 暢彦
    2025 年 54 巻 1 号 p. 30-34
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2025/07/21
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    松山の都市構造は同規模都市と比較して,公共交通沿線地域の人口密度も高く,比較的利用されやすい環境にある。にもかかわらず,松山市の公共交通は十分利用されている状況ではない。そこで,松山市は歩いて暮らせるまちづくりに1999年から取り組み,ロープウェー通り,道後温泉周辺整備,花園通りの整備等で効果を上げてきた。また,地域主体が郊外部でのフィーダー交通の創出をめざす「チョイソコ」は,関係者一丸となったモビリティ・マネジメントの取り組みが功を奏し,良好な運営と利用につながっている。松山市の経験は,レジリエントな公共交通の実現には,モビリティ・マネジメントが欠かせないことを示唆している。
  • コペンハーゲン市のクラウドバーストプランを事例として
    中島 直弥, 八木 弘毅, 星野 裕司
    2025 年 54 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2025/07/21
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    気候変動により洪水リスクが世界中で高まっている。社会基盤整備手法であるグリーンインフラは,気候変動適応と都市のネイチャーポジティブ経営の観点から期待を寄せられている。コペンハーゲン市の気候変動適応に向けたクラウドバーストプランは,議会承認を経て2015年から20年かけて事業が推進されている。本稿は,行政計画とコペンハーゲン市・ランドスケープ設計事務所へのヒアリングから,クラウドバーストプランの継続的な実施と展開を明らかにすることを目的とした。結果,計画から空間整備へ至る具体的な事業がウォーカブル都市を目指した道路再編と領域横断で進んでいること。課題を踏まえた市のプロジェクトフレームワーク見直しの実態を明らかにした。
  • 西山 敏樹
    2025 年 54 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2025/07/21
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    高齢者や障がい者の増加,外国人の労働者や観光客の増加,子育て支援の脆弱性等が都市の問題として明らかになっている。都市交通の分野でも同様である。SDGsの具現化が日本国内でも関心事である。誰一人取り残さない=みんなが使いやすいという観点で,都市交通もユニヴァーサルデザインの需要が高まり,エコデザインとの融合ニーズも高い。しかしDXを中心に技術的な変化も大きく,それに応じるためには未来のあるべき姿をしっかり見つめ,あるべき方向性に向かい対応策を考えて,未来に近づいていく探索的アプローチ,即ちスペキュラティヴ・デザインを大切にしてバックキャスティングの姿勢を重視する必要がある。
  • 長束 晃一
    2025 年 54 巻 1 号 p. 46-49
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2025/07/21
    ジャーナル 認証あり
    近年,全国の地域公共交通における担い手不足を背景に,各地で自動運転技術を活用したサービスの実証実験が行われている。担い手不足の解消に資する無人運行については,鉄道の廃線跡等,自動運転車両専用の道路空間を確保できる場所から運営が開始されている。一方,仮に車両を無人運行する場合であっても,遠隔監視する人の役割は重要である。当社としても車両やシステムないし運営する人の役割も含めた統合的なオペレーションの開発を進め,東急グループが開発事業を行ってきた多摩田園都市においても実証運行を行っているが,今後の普及に向けては法制度や運営コストの負担といった諸課題を関係者が連携して解決していく必要がある。
  • 中山 秀之
    2025 年 54 巻 1 号 p. 50-56
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2025/07/21
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    つくば市は,筑波山や筑波研究学園都市を有し,自然と科学が調和した街である。1985年のつくば科学万博を契機に国際的な知名度が向上し,2005年にはつくばエクスプレスが開業,人口が急増している。市内には約150の大学・研究機関があり,研究従事者が多く,科学技術への理解が深いのが特徴である。つくば市は「世界のあしたが見えるまち」を目指し,リビングラボとして先端技術の実証を進めているところ,2022年にスーパーシティ型国家戦略特区に指定され,社会課題の解決に向けた取り組みが進行中である。特に,都市と郊外の二極化や多文化共生等の問題に直面しているが,モビリティに関しては,搭乗型移動支援ロボットや医療MaaS,パーソナルモビリティ,自動運転バスなどの実証実験を行い,利便性向上を図っている。今後も市民や研究機関と連携し,地域課題の解決に取り組む姿勢を強化していく方針である。
  • 楠田 悦子
    2025 年 54 巻 1 号 p. 57-64
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2025/07/21
    ジャーナル 認証あり
    クルマの運転免許証の返納後でも,生活に困らない地域づくりが注目されている。公共ライドシェアなど送迎サービスが注目されているが,自分で移動できる移動手段(パーソナルモビリティ)の活用も併せて検討しなければ移動手段がない。安全に使える道路空間が不可欠だが,見落とされがちだ。クルマがなくては生活がしづらい地方での移動手段の確保とその道路整備に着目した。高齢者の移動手段の確保と子どもの安全な通学路づくりの関係を整理しながら,利用者視点,地区の視点,行政の視点の3つの視点から,住民参画を促しながら,デジタルを活用して,移動に困らない地域社会づくりの仕組みを構築することが大切だ。
  • 清水 弘子
    2025 年 54 巻 1 号 p. 65-71
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2025/07/21
    ジャーナル 認証あり
    団塊の世代が後期高齢者となり,高齢社会のピークを迎える中,公共交通だけでは移動の需要を満たされず,くらしの足の確保が喫緊の課題となっている。かつて自然発生的に地域のたすけあいで行われていた移動支援は,2006年福祉有償運送として制度化されることになったが,多くの地縁団体の撤退を招き,地域に課題を残した。そこで,神奈川県内では,買い物ツアーやコミュニティバスなど住民主体で地域の実情に応じた多様な移動支援の試みが始まった。NPO法人かながわ福祉移動サービスネットワークも,住民主体の支援活動を創出し,自治体と協働を進め,制度の壁を乗り越えながら,持続可能な移動支援のあり方を模索している。
  • 髙橋 若菜, 横田 樹広, 荒金 恵太, 高山 範理
    2025 年 54 巻 1 号 p. 72-77
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2025/07/21
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第21回環境情報科学ポスターセッション 報告・発表要旨集
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