2022 年 31 巻 4 号 p. 209-212
症例は51歳男性.主訴は間歇性跛行と運動時の右下腿の易疲労感.初診時,ABIは正常範囲内,下肢の脈拍は両側とも膝窩動脈,足背動脈まで触知可能であった.超音波検査にて右膝窩動脈周囲に半周性に囊胞性病変を認めたが,動脈の狭窄は認めなかった.1カ月後再診時,運動負荷後のABIを測定したところ,ABI右0.27と低下を認め,超音波検査でも膝窩動脈の狭窄を認めた.膝窩動脈外膜囊腫と診断し,全身麻酔下に,外膜囊腫切除を施行した.術後経過良好で退院し,間歇性跛行症状も消失した.術後3年以上経過観察しているが,再発はなく,外膜囊腫に対して負荷ABIを使用した診断は適切で,外科治療は有効であった.