抄録
症例は65歳の男性. 下血を主訴に近医に救急搬送された. 内腸骨動脈瘤直腸瘻を疑われ当センターに紹介, 緊急手術を施行した. 動脈瘤は手拳大まで拡大. 剥離による損傷が懸念された直腸との癒着部以外の瘤壁は全て切除した. Bacteroides fragilis, Provotella melaninogenica, Peptostreptococcus sppの3種類の嫌気性菌が瘤壁の培養で検出された. 延べ27日間の抗生物質の点滴投与を行い, 退院後も経口での抗生物質投与を継続, 術後20カ月で経口投与を中止したが, 術後25カ月現在, 感染徴候なく経過している. なお, 術後一度も下血は認めていない.