日本集中治療医学会雑誌
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横紋筋融解と橋中心髄鞘崩壊症をきたした高浸透圧性非ケトン性糖尿病性昏睡の1症例
伊藤 誠又吉 康俊宮脇 宏森 由香福田 志朗川端 徹也
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1999 年 6 巻 4 号 p. 373-377

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抄録
患者は41歳の女性。意識障害,四肢脱力感を主訴として来院した。来院時検査所見で高Na血症(185mEq・l-1),高浸透圧血症(388mOsm・kg-1)を呈していた。血糖は来院2日前には800mg・dl-1まで上昇していた。尿ケトン体が陰性であることから高浸透圧性非ケトン性糖尿病性昏睡と診断した。横紋筋融解(血清ミオグロビン240,000ng・ml-1)を併発したが,大量輸液と利尿薬投与により約5日間で改善した。高Na血症,高浸透圧血症も輸液療法とインスリン投与により数日で改善したが,意識障害と四肢麻痺は増悪した。意識が清明となった4週後には磁気共鳴検査でcentral pontine myelinolysis (CPM)と診断され,この所見は運動機能が改善した3ヵ月後まで継続した。一般にCPMは低Na血症の急激な補正時に認められるが,本症例は横紋筋融解と併せて血清浸透圧の急激な変化がその成因と考えられた。
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