2024 年 80 巻 8 号 論文ID: 24-00047
これまで起重機船を用いた海上工事における吊荷の動揺に関して,MBD(Multibody Dynamics)の船体と吊荷の連成運動計算が行われているが,線形近似に基づくポテンシャル理論をベースとした非粘性流体力を仮定した流体力を用いている.そのため,外洋に面した離島港湾などの非線形性の卓越した波が生じる場合には適用が困難である.そこで,本研究では,乱流モデルや重合メッシュを使用したCFD(Computational Fluid Dynamics)ソルバーとMBDソルバーを統合した船体と吊荷の連成運動シミュレーションシステムを開発した.開発した解析システムの精度の検証のため,水理実験も実施し,波浪場での船体と吊荷運動の時間発展を解く双方向弱連成解析手法の精度が十分に確保されていることを確認した.