2025 年 14 巻 5 号 p. 241-244
症例は73歳男性.2型糖尿病,脂質異常症で通院中であった.前医で両側胸水を認め,当院を紹介受診した.精査の結果,膵癌に伴う癌性胸膜炎と診断した.胸腔ドレナージで胸水は排出されたが肺の再膨張は不十分であり,エアリークが出現したことからex vacuo pneumothorax(陰圧性気胸)と診断した.自己血による胸膜癒着術を3回施行後にドレーンを抜去した.癌性胸膜炎に対する胸腔ドレナージではex vacuo pneumothoraxの発症に注意が必要である.