日本医療マネジメント学会雑誌
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原著
救急体制の強化 “断らない救急医療” は病院収益に寄与する
立花 栄三坂田 一美國本 聡八木 司
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2020 年 21 巻 2 号 p. 79-84

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抄録

 近年、川口市立医療センターでは、DPC導入による在院日数の短縮や地域医療支援病院への移行等もあり、新規入院患者数確保が急務となった。そうした背景をもとに、新規入院患者の獲得を目指し、2017年6月より他院紹介を含めた救急車の応需率のアップを病院全体の取り組みとして行っている。今回、我々は “断らない救急医療” の体制構築が病院収益に寄与するか否かを検討した。本研究では、2次救急車応需率の目標値を月平均75%以上として設定し、2017年6月から2019年5月までの強化群とそれ以前の2015年6月から2017年5月までの非強化群に分け、月ごとの平均にて比較検討した。その結果、強化群において2次救急車の転院搬送を含む受入件数、応需率、病床利用率、新規入院患者数は増加し、入院収益も有意に上昇した。救急体制の強化= “断らない救急” を構築していくことは、病院全体のさらなる新規入院患者の獲得を可能にし、入院収益を増加させる可能性が示唆された。

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